猫の経鼻カテーテル | ふぁんふぁんのしっぽ ~猫の腎臓病・糖尿病 ブログ~

猫の経鼻カテーテル

この記事やっと書けました。

慢性腎臓病のふくちゃんが終末期で選択した処置です。
結論を先に書くと、「やって良かった。」です。

設置の理由は『延命』ではなく、『ストレスを無くして、お腹満たして、投薬を確実に。』でした。
でも、ふぁんふぁんの時はやらなくて良かったと思ってます。
性格や状況によって選択肢って変わりますからね。



いま難しい状況で悩んでおられる方の選択肢の1つになれば幸いです。
今後、加筆修正していきますのでとりあえず簡単に書きます。

【処置の仕方】

めちゃくちゃ簡単です。
鼻から胃又は食道までスルスルとチューブを入れていきます。

スプレー式?の局所麻酔を使う病院と無麻酔で処置する病院があり、
我家の主治医は無麻酔で処置していました。
無麻酔の場合、最初に入れる時に「うっ!」って感じで嫌がりますが大丈夫。

胃の中まで入れる病院と、食道(胃の直前)で止める病院があり、
ふくちゃんは食道で止めてました。
理由は胃の中まで入れると胃の中のフードが逆流しやすいという事でした。

チューブの挿入が終わると、チューブを何ヶ所か皮膚に縫いつけます。

ピンセットでつまんで薄皮に縫う感じで、痛みなどは感じてません。



チューブを鼻の横に出すか上に出すかで縫いつけるポイントが変わりますが、
基本的に2~3ヶ所は縫いつけるようです。

設置後はちゃんと食道に入ってるかレントゲンで確認します。
肺に入ると誤嚥性肺炎になって危険です。

【設置後】

基本はエリザベスを付けるようですが、ふくちゃんは無しで大丈夫でした。
意外と気にしない子の方が多いそうで、主治医の病院ではほとんどエリザベス無しです。



チューブの先にキャップの付いたコネクター(注入口)があり、それは固定しないとブラブラします。
ふくちゃんの場合、最初は包帯を緩く首に巻いて包帯でコネクターを固定してましたが、
百均でシュシュを買ってきて包帯の代わりにシュシュを被せて襟巻のようにして固定しました。

それでもズレるので、結局はつまんだ首の毛にガムテープ止めして一件落着でしたw
シュシュやエリザベスに固定してしまうと回転した時に引っ張られるのでオススメしません。

【使い方】

かなり細いのでリキッドタイプやスープタイプでないと詰まる可能性が高いです。
ペースト状のフードはすり鉢でさらに滑らかにし、水でのばしてサラッとさせます。

 

最初は1回で15~20ml程度入れてストップし、徐々に量を増やしていきます。
ふくちゃんは腎不全末期でしたのであまり多く入れると吐きました。
なので、1回最高40ml程度に抑え、1日で100~120mlを目標にしました。

延命のためのカテーテルではないので必要カロリーの半分しか与えていませんでしたが、
緊急措置で吐かない子ならけっこう入れて大丈夫です。



お薬はかなり細かく砕いてもなかなか水に溶けません!
なので、シリンジで吸って注入する際にどんどん沈殿していき、そのままだと詰まりやすくなります。

薬を溶かした水を吸った瞬間はシリンジ内で攪拌(かくはん)されて溶けてるように見えますが、
お薬によっては数秒後にシリンジ内の先っぽ付近に沈殿してしまい、そのまま押すと詰まります。

途中でお水のシリンジに交換して洗い流しながら数回に分けてもいいです。
その際、シリンジを入れ替える時になるべく空気が入らないようにした方がいいですね。

それか、水ではなくリキッドにパウダー状の乳酸菌系サプリを混ぜます。
そうすると水ほどサラサラではなくなりますので、砕いたお薬が混ざってる時間が長くなります。
1か所にかたまりにくくするだけで通りやすくなります。



その他、ちょっとしたコツのような対処が2通りあります。

対処①

コネクター部分が動かないように指でつまんでおきます。
シリンジの先の接続部分を液体が漏れない程度に緩く浮かし、シリンジを回しながらゆっくり入れていきます。
シリンジは垂直に立てず、30~45度くらいの角度にしておきます。
途中で一旦抜いて2~3回振ってから再度入れてもいいです。
残り1/4程度になったら必ず振って攪拌(かくはん)させて速やかに入れないとシリンジ内に残ってしまいます。

対処②

簡易懸濁法というやつです。
少し冷めたお湯(90℃程度)とお水を2:1の割合で混ぜて55℃のぬるま湯を作ります。
このぬるま湯にお薬を10分程度浸しておけば溶けますが、お湯が少ないと冷めてしまって溶けません。
なので、一旦粉状にすりつぶして出来るだけ多めのお湯で溶かします。
15~20mlくらいはお湯を用意した方がいいかもしれません。
コーティングしているお薬なんかは注意が必要ですが、これも攪拌(かくはん)させながら入れれば大丈夫です。



投薬は必要最低限にし、基本的に設置は短期間なのでサプリなどはやや減らすのが無難です。
最初から粉状のサプリなら少しドロッとしますが複数混ぜなければ大丈夫です。
漢方薬などは沈殿した部分以外の上澄み部分だけでも効果はあると思います。

ロイカナのリキッドにコバルジンを混ぜた事がありますが、詰まりそうでかなり危なかったです。
20mlのリキッドにコバルジンを半袋でしたが、シリンジを回しながらでもすぐ沈殿して悪戦苦闘しました。

どうしてもコバルジンを入れたいなら、先ほど説明したリキッド+乳酸菌系パウダーに少量混ぜて下さい。
その際もシリンジを回転させて攪拌させるのをお忘れなく。

僕は、何回かやって詰まった事はないですが正直オススメしません。
レンジアレンとPEキドキュア、HHラボは少しドロッとなりますが詰まる感じは無かったです。

【設置後の注意点】

・ちょっと涙が出やすくなりますので、こまめに拭いてあげたい。
・縫いつけた糸が切れたり、皮膚の新陳代謝で縫いつけが取れたりする。
・縫いつけた部分が炎症をおこしてカサブタになる事もあるので、鼻穴付近で縫った場合は注意が必要。
・チューブ自体も硬くなって劣化するので、3週間~1ヶ月で交換する場合もある。
・給餌前に少量の水で流れるか確認し、給餌後は10ml程度の水でチューブ内のフードを流し込んで洗います。
・嘔吐した時に口からチューブが出てきてしまう事があり、自分で抜けますが病院行った方がいいかも。
・詰まってしまった時、小刻みに少しだけ引いたり押したりして一瞬強く押せば解除出来ることもあります。
・注意点ではないですが、ある程度最初に期間を決めてやった方がいいと思います。



 

過去記事でも書きましたが、カテーテルはなんとなく“無理矢理延命”的なイメージが強く、
見た目も“可哀想”に見えて最終手段のように感じてしまいます。

しかし実際はそうではなく、設置のタイミングや目的によってはかなり有効な選択肢の1つです。
得られるメリットは大きいです。

・投薬や強制給餌のストレスをゼロに出来る。

・自ら食べられない時でも“満腹感”を与える事が出来る。


動物にとってこの2つはかなり重要ですよね。
しかも取ろうと思えばすぐに取れますので、試す価値は十分です。

経鼻カテーテルをしてるからと言って、口から食べるのであれば食べて問題ないです。
安定した確実な治療をする事も、QOLに必要な条件ではないかと思います。



末期の場合、無理矢理生かす為ではなく、コントロールする為の処置です。

いかに苦痛を減らして最小限の処置で“生”や“死”をコントロールできるか。
 

末期でなければ、一時的にでもストレスを無くして最善の治療がどこまでできるか。
体調や病状を改善させるための“治療”や“生活”をコントロールします。

世話人のストレスや作業も一気に減るので余裕が出てきて結果的に動物達に良い影響を与えます。
笑顔になれなくても、時間の余裕から悲しい表情が減って動物達が喜びます。

カテーテルにしたおかげでふくちゃんのQOLは確実に向上しました。
現状にお悩みの世話人さん、とりあえず主治医に相談してみてはいかがでしょうか?

頑張ってる動物達と世話人さん、まだまだ出来る事沢山ありますよ~

でわでわ!