動物用血圧計 PES-1700 | ふぁんふぁんのしっぽ ~猫の腎臓病・糖尿病 ブログ~

動物用血圧計 PES-1700

書こうと思って忘れてた。

『エルデ ペットの自動血圧計 PES-1700』
 

病院ではなかなか正確に測れない子もいるので獣医師もかなり消極的な「血圧測定」ですが、

やってみると意外と問題なく測れることもあるのでチャレンジしてみる価値アリです。
ただし、平常時でも変動が大きく、そもそも本当に正しい数値なのか分からないのが難点です。



ふくちゃんの治療中に病院で測ったところ、収縮期血圧(最高血圧)が200前後。
院内測定は確実ではないですが、経験上、高血圧との事で降圧剤を処方されました。
 

それでも自宅ではどうなのか不安でしたし、高血圧なら日々の管理が必要なので購入しました。
ちょっとコツがいりますが、「カフ(腕帯)」をしっかり巻ければ問題なく使えますし、
データ管理用の専用ソフトもダウンロード出来ます。
(そのままではウイルスソフトでブロックされます。)

『エルデ ペットの自動血圧計 PES-1700』



可愛らしい、ちゃんとした箱に入ってます。
個人レベルで購入できる動物用の血圧計は、基本的に『エルデ PES-1700』の1機種のみ。

お値段はメーカーHPから購入すれば、27,885円(税・送料込み)ですが、
楽天などでこれより高い金額で売ってる販売代理店もあります。

なので、購入するならメーカーHPがいいと思いますが、
よく見るとこの価格の1/3~1/5程度の金額で売ってるサイトもあります!
なんでそんなに安い???の理由は・・・

★ポイント1★
お安く販売されているお品は見た目は全く同じですが、型番が違います。

・エルデ製品 『PES-1700』
・エルデ以外 『CONTEC08A-VET』


エルデ製品には『PES-1700』と『ERDE』の文字があります。
『CONTEC08A-VET』には日本語のマニュアルなどは付属しませんし、保証もないのがほとんどです。
違いは型番と流通経路だけで中身は同じだと思います。



まぁ、それはどっちでもいいです。

他のサイトでエルデの『PES-1700』を使って人の血圧を測定したところ、
付属のSサイズカフでは細い手首にしか巻けないので当然いつもと違う数値になったと書いてましたが、
『CONTEC08A-VET』で付属の大きいカフを使って人の血圧を測定すると、
人間用の血圧計と測定結果が変わらなかったと書いてありました。

機器の信頼性は高いと考えられますが、それって言いかえると、
カフのサイズさえ合えば人間用の血圧計使ってもいいという事なんでしょうか?
機器内で動物用に補正してるかと思ってたんですけど・・・これもよう分からんです。

とりあえず、正規品かどうかの問題はどっちでもいいとして、お安く買えるのは魅力です。

約28,000円と10,000円前後との違いは大きいですからね。

お品が同じなら使用後の保証や日本語マニュアルを優先してエルデ製品を買うか、
それとも、そもそもちゃんと測定できるかどうか分からないのでお安く・・・と考えるか。

ちゃんと測らせてくれるなら、あってもいい1台です。
ちなみに、機器は違うメーカーになりますがレンタルしてる会社もあるようです。
 


金額や期間など、詳しい事は分かりませんし、
どんな会社かも知りませんのでご興味ある方は自己責任で問い合わせて見て下さい。
本当は各動物病院でレンタルサービスがあればいいんですけどね。
 

って、すでにめちゃ長文になってるのでサクサク進めます!

【購入~到着】

メーカーHPから購入の場合、お支払いは下記の通り。

・クレジットカード
・銀行振込
・代金引換


注文日の3日後から到着日時の指定が出来るようになってます。
エルデ製品以外を購入された場合、到着まで2~4週間前後必要です。

【開封~設定】

購入時の基本セットには“Sサイズ”のカフ(腕帯)しか付属していません。
猫の場合、体格によっては“SS、XS”サイズでないと大きすぎて測定出来ませんので、
サイズが不安なら注文時に別売りのカフ(腕帯)も一緒に購入がいいと思います。


画像お借りしました。SSとXSサイズのカフ。

痩せていたり小柄な子だと付属の“Sサイズ”では無理かも。
価格は“SS”と“XS”のセットで、3,300円ですが、後からの購入だと別途送料が必要になります。

付属の“Sサイズ”はカフを巻く部分の周囲長が6~13cm内に適応となってますので、
油性サインペンのマッキーの太い方より少し太めなら、ギリギリ“Sサイズ”で対応できます。
(カフを巻く場所はシッポの付け根か、前足の肘上付近。)

体重3~4kgの子の場合、付属の“Sサイズ”カフは大きすぎるかもしれません。
付属品は下記の画像にあるものです。


メーカーHPより画像お借りしました。

本体、カフ、アダプター、電池、マニュアル、専用ケース。
専用ケースはなんか形が歪んでますw
使ってないのでいいですけど・・・さすが中国製。


ちょっとズレてるw

使用前の設定は本体の日付設定だけです。
付属のマニュアルに設定方法は載ってますし、メーカーHPの購入ページにPDFマニュアルがあります。
製品の仕様や使い方などの詳細はメーカーHPより下記のサイトの説明がオススメです。

かなり見やすくまとめられており、使用感なども書いてますので参考になります。
 

 

日付の設定さえ終われば、あとはカフを巻いてスタートボタンを押すだけです。
付属の標準カフはSサイズなので、初期設定は“SMALL”となっています。

カフのサイズを標準より大きいモノに変更した場合はサイズ設定が必要になりますが、
“SSサイズ”や“XSサイズ”の場合は“SMALL”のままでいいです。

メイン画面に表示される項目は・・・

・SYS:収縮期血圧(最高血圧)
・DIA:拡張期血圧(最低血圧)
・MAP:平均動脈圧(平均血圧)
・PR:脈拍


上記4項目が数値で表示され、内部に100回分記憶されます。
記憶されたデータは、リストで表示する事も出来ますし、

パソコンと繋いで専用ソフトで管理することも可能です。

【装着~測定】

上手く測れない方がけっこういるようですが・・・ちょっとコツがいります。

★ポイント2★
嫌がって暴れなければ、あとは巻き方次第です。

・なるべくピッタリときつく巻く。
・巻く場所を濡らすか毛を剃ってもいい。


巻く場所は、シッポの付け根か右前脚がいいです。
脚や左腕だと微妙に数値が狂いました。
あと、測定する場合にもいくつか注意点があります。


後ろ足は毛が多いので難しい。

・毎回同じ部位で計測する。
・計測する時間やタイミングもなるべく毎回同じにする。
・動くとエラーや異常値になるので安静に。
・最低6回以上は連続して測り、最初と最後の値は無視する。
・食後の場合は2時間程度開けて測る。
・寝かせた状態でカフの位置を心臓と同じ高さにして測る。


嫌がったり動いたりして測れないという事が多いみたいなので、
抵抗する子は横になってウトウトしている状態でチャレンジして下さい。
とりあえずピッタリきつめに巻ければOKです。



あとはカフのサイズを画面で選択してスタートボタンを押すだけ。
スタートボタンを押してから20秒~40秒程度で測定できますが、
動いたりカフの巻きが緩かった場合、測定に時間がかかったりエラーや異常値がでます。

最初のうちは時間をおいて1日に何度も測って数値の変動を確認した方がいいですね。
早朝、降圧剤の服薬の前後、日中、食前食後、夜、夜中などなど。

服薬してるお薬の最大血中濃度になるまでの時間や半減期などでの数値も知りたいところです。
ちなみに、ふくちゃんは1回あたり8回程度測定し、多い日で延べ10回以上ました。
けっこうバラつきが出ますが、異常値を除けばなんとなく平均が分かります。
それと、脈拍も測れますがなんとなくバラつきもあります。

★ポイント3★
何回も計測していると。「OVERFLOW」というエラー表示がつきっぱなしになります。

この表示は100メモリーを超えた時に出るエラー表示なので記録を削除すれば消えます。
メーカーHPのPDFマニュアルには記載(恐らく追記された。)されていますが、
僕が購入した際に付属したマニュアルには載ってませんでした。
なので、少し古い在庫分のマニュアルが入っていた場合は記載されていないのかな?と思います。

対応策は、単純にメモリーを消せばいいだけですが、全てのメモリーが消えるので注意して下さい。
残しておきたい場合は、専用ソフトをダウンロードしてデータ保存するか印刷しておいてください。

【測定結果】

測定するたびに基本画面に表示されますが、後からリストで見る事も出来ます。
1画面に5回分の数字だけのリストか、折れ線グラフで表示されます。


メーカーHPより画像お借りしました。
 

先程も書きましたが、下記4項目のうち収縮期血圧を見ます。
もちろん、全ての項目が大事なんですが、収縮期血圧の値を基本に治療を検討します。

・SYS:収縮期血圧(最高血圧)
・DIA:拡張期血圧(最低血圧)
・MAP:平均動脈圧(平均血圧)
・PR:脈拍


治療検討の目安は一般的に収縮期血圧が160以上、確実に治療開始するのが180以上。
治療開始や治療内容については獣医師のさじ加減もあるでしょうし、
疾患の内容や持続的な高血圧の有無によりますので主治医にご相談下さい。

ただし気になるのは、猫の標準的な血圧の認識にバラつきがあるという事。
各病院や各種機関のサイトを見ると、かなり違いがあります。

計測方法の違いや統計データの不足が原因だと思いますので、
僕はイギリス王立獣医大学が実施した780頭での調査結果をベースに考えるようにしてます。


780頭の猫の血圧測定


子猫のへや ~ 猫の高血圧症

https://www.konekono-heya.com/byouki/junkanki/shinzou/hypertension.html

↑コチラはイギリス王立獣医大学の結果を書いています。

これによると、ドップラー血圧検査による収縮期血圧の中央値が120.6mmHgとありますし、
IRISでも収縮期血圧<120mmHgもしくは低血圧を示唆する臨床兆候が起きないようにする。
と書かれています。
『エルデPES-1700』はオシロメトリック方式なのでドップラー式での結果とは違いがありますが、
言いだしたらキリがないのでなんとなく120mmHg以下にはならないようにしています。

 

 

ふくちゃんの血圧管理では収縮期血圧を125~145mmHgに収まる事を目標にしてました。
あと、変動の波をなるべく小さくすることも必要だと思います。

高血圧を伴う猫の腎臓病ケアはかなり難しいですし、
この血圧コントロール次第で状況が大きく左右されると思います。

脱水が進むと血圧が下がるので降圧剤の服薬に注意が必要です。
低血圧による腎虚血から症状が悪化しますので。
アムロジピンやテルミサルタンを上手に使ってコントロールして下さいね。
*以前も記事にしましたが、アムロジピンではなくベニジピンやシルニジピンの方がいいと思うのですが・・・

あ、横道にそれたので話し戻します。

【データ管理】
専用ソフトをダウンロードするとパソコンで測定データを管理できます。
メーカーHPからダウンロードします。

血圧計データ管理ソフトウェア『BPMeter』

 

 

パソコンにインストールして、測定データの入った本体を付属のUSBケーブルで繋ぎます。
メーカーHPからダウンロードできますが、ウイルスソフトによっては途中で削除される事があります。

ウイルスソフトをオフにしても、その後「WindowsによってPCが保護されました」と表示されますので、
“実行しない”のボタンではなく、“詳細情報”をクリックすれば先に進みます。 
詳しくは下記の「BPMeterユーザーズマニュアル」をご覧ください。

 

 

単純な表だけでなく、折れ線グラフや円グラフ・棒グラフで表示可能です。




このソフトの使い方はまた後日に追記します。
実はとりあえず読み込んで保存したり印刷したりしましたが、
あまり触ってないので詳しく分かりませんw

以上、書き忘れとかあると思いますのでまた思いだしたら記載していきます。
高血圧を併発する腎臓病は血圧のコントロール次第で予後が変わりますし、
高血圧だけじゃなく低血圧も腎臓にダメージを与えますから厄介です。

高血圧が持続する事により腎臓の血管が動脈硬化を起こします。
その結果、血管の内腔が狭くなり血液量が減って腎臓にダメージを与えます。

小難しい事沢山書きましたが、使い始めれば何てことないです。
血圧管理、がんばって下さいね!
 

でわでわ!