猫の腎不全・慢性腎臓病 お薬の分子量 (尿毒素吸着、リン吸着)
おつかれちゃんでございます。
実はこの記事、ちょうど3年前に書いた記事なんですが、
僕がアップした記事の中で常にアクセス数の多い記事なんです。
そんなにたいそうな内容でもないので、何を調べて辿り着いてるか分からないですが、
せっかくのアクセスなので、ちょいちょい加筆修正してきました。
何度か手を加え、今回もやや多めに加筆したところ、
もはや原文から大きく変わってしまったので日付を今日に変更して再投稿いたします。
~ココから~
* 分子量について訂正しました。(2021/08/13)
* 加筆しました。(2024/05/18)
ふくちゃんは断固拒否なので飲んでいませんでしが、後から飲めるようになりました。
ちょっとづつ書いてた記事なのでもったいないからUPします。
猫の腎臓病でリン吸着剤とか尿毒素吸着系のサプリって、今はいろいろ出てますよね。
10数年前は活性炭や並行輸入のアゾディル、レナルガードくらいでした。
選択肢が増えるのはいい事ですが、それでも“コバルジン”がいいという獣医師もいます。
海外では活性炭による吸着自体が選択肢にないみたいですね。
(動物用:コバルジン、人用:クレメジン)
コバルジン以外にサプリメントのネフガードというのもあります。
吸着範囲は違いますが、吸着能力の違いはデータで明らかにされていません。
コバルジンって、ある特定範囲の分子量をもつ成分を吸着して排出しますが、
特定範囲内であればお薬とかサプリの主要成分などの毒素以外の成分も吸着してしまいます。
なので、飲み合わせに注意して、必要なら時間をズラして下さいって言われます。
ズラす時間は与えるタイミングやお薬の種類でやや変わりますが、1~2時間ぐらいでしょうか。
ここで注意したいのは、あくまでも“コバルジン”を後にズラして与えるという事です。
お薬をズラして“コバルジン”を先に与えてしまってる方がいますが、基本的にはお薬が先です。
お薬を後にすると、いくら時間を空けても“コバルジン”によりお薬の効果が落ちてしまいます。
ただし、効果が無くなる訳ではないので、効果が落ちても効いているのであれば気にしなくていいです。
ちなみに尿毒素って1種類じゃなく沢山あって、全てを100%吸着することは出来ません。
代表的な尿毒素物質は、“インドキシル硫酸”、“ p-クレシル硫酸”、“トリメチルアミン-N-オキシド”です。
しかも、“コバルジン”は直接尿毒素物質を吸着してBUNを下げる効果があるのではなく、
尿毒症物質の元になる成分を吸着した結果、尿毒症症状が改善されてBUNが下がるという事です。
例えば“インドキシル硫酸”の場合。
①食事 (蛋白質)
↓(加水分解される)
②トリプトファン (必須アミノ酸の1つ)
↓(腸内細菌により代謝されて)
③インドール (インドキシル硫酸の前駆体)
↓(肝臓で代謝)
④インドキシル硫酸となります。
基本的に“コバルジン”は③インドールを吸着して“インドキシル硫酸”の産生を抑えます。
また、“トリメチルアミン-N-オキシド”については代謝後に分子量が100以下となってしまいます。
“トリメチルアミン-N-オキシド”の元である“L-カルチニン”の分子量は161.1ですが、
腸内細菌叢と肝臓で代謝されて“トリメチルアミン-N-オキシド”になると、分子量が75.1となります。
という事は、数種類のサプリを併用する事で全体的に尿毒素を減らすのが理想なんでしょうが、
猫には大敵の「ストレス」や代謝の問題もあるので飲ませすぎもどうかな?って思います。
漢方薬を用いた「浣腸透析」とかいうのもあるみたいですけど・・・
で!
あくまでもイメージですが、“コバルジン”がどうやっていろんな成分を吸着するのかというと、
1粒に大きさの違う穴が沢山あり、その穴にジャストフィットするものが入り込む感じ。
「大きさ=分子量」が成分によって違うので、吸着するものとしないものに分かれます。
そのコバルジンが吸着してしまう分子量の範囲が、200~3000の物質です。←(100~1000です。)
↑正しくは、100~3000でした。
クレハとエランコジャパンで記載数値が違います。
(現在はクレハHPに記載なし。)
クレハ ・・・100~1000
エランコ・・・200~3000
100~200と1000~3000は吸着能が低く、200~1000が優位に吸着するそうです。
(ネフガードは100~90000の分子量を吸着してしまいます。)
てことは、この範囲(100~3000)以外なら同時服用出来るってことですし、
吸着能が低い範囲なら効果は落ちますが服用は可能という事。
ちなみに、クレハとエランコジャパンでの検証結果の違いについては、
検証結果や解釈の違いから記載数値に差が出ているそうです。
分子量が100~200と1000~3000の範囲では吸着能力が下がります。
200~1000の範囲に比べて大体20%程度、薬効が落ちるそうです。
とりあえず、一般的に腎臓病で服用するお薬やサプリの主要成分を調べてみました。
ちなみに、レンジアレンは終売となってますが、過去記事なのでそのまま記載しています。
小数点第二位以下は切り捨ててます。
数字はあくまでも分子量であり、含有量では御座いません。
赤数字は吸着されてしまう分子量です。
主成分以外は吸着されてしまうものもありますが、気にしたらキリがないので無視です。
【リン吸着剤】
『リンケア』:時間あけて!
・クエン酸第二鉄:244.9
レンジアレン終売後の数少ない鉄系吸着剤です。
薬剤のリオナ錠と同じ成分で、貧血対策としても有効。
『レンジアレン』:大丈夫!!(終売)
・炭酸ナトリウム:105.9
・塩化第二鉄:162.2
どちらの成分も100以上の分子量ですが、レンジアレンとしての分子量は50000以上です。
全ての成分を鎖で繋いだような製法なので分子量が大きくなりコバルジンに吸着されません。
『カリナール1』:時間あけて!
・重炭酸ナトリウム:84.0
・炭酸カルシウム:100.0
・キトサン:数千~数十万
『リオナ錠』:時間あけて!
・クエン酸第二鉄:244.9
『ホスレノール錠』:時間あけて!
・炭酸ランタン水和物:601.9
『レナジェル錠』:時間あけて!
・セベラマー塩酸塩:不明
【リン・尿毒素吸着】
『イパキチン』:時間あけて!
・炭酸カルシウム:100.0
・キトサン:数千~数十万
『PE キドキュア』:時間あけて!
・炭酸カルシウム:100.0
・キトサン数千~数十万
・天然ゼオライト
『リノパワー』:時間あけて!
・クエン酸第二鉄:244.9
・キトサン:数千~数十万
リオナ錠やリンケアと同じ“クエン酸第二鉄”を使用。
『プロネフラ』:時間あけて!
・炭酸カルシウム:100.0
・炭酸マグネシウム:232.7
・キトサン:数千~数十万
【その他 お薬】
『フォルテコール』:時間開けて!
・ベナゼプリル塩酸塩:460.9
『セミントラ』:時間開けて!
・テルミサルタン:514.6
『ラプロス』:時間開けて!
・ベラプロストナトリウム:420.4
『アムロジン』:時間開けて!
・アムロジピン:408.8
『プリンペラン』:時間あけて!
・メトクロプラミド:299.8
『ガスター』:時間あけて!
・ファモチジン:337.4
『アテノロール錠』:時間あけて!
・アテノロール:266.3
ん・・・キリがないな。
っていうか、全部やねw
どちらにしても“お薬”は吸着されてしまうので、
ある程度の時間はあけたいところです。
それぞれどの程度時間をあけるかは、最高血中濃度に達する時間によります。
お薬のインタビューフォームに書かれているのでそちらを参考にしてみて下さい。
ただ、分子量がちょうど100の炭酸カルシウムなどは一緒にあげたらダメなんでしょうかね?
厳密にはダメでしょうが、100~200は吸着能力が低いので少し効果が落ちる程度なら・・・
投薬から血中濃度がMAXになるまでの時間により様々ですし、
食前食後により吸収されるまでの時間が大きく変わります。
“レンジアレン”や“PEキドキュア”なども時間差が必要な飲み合わせがあるので、
厳密にするならメーカーに問い合わせた方がいいですね。
獣医師が大丈夫といっても、メーカー側は違う回答の場合が多々あります。
あと、“コバルジン”は空腹時にも与えておくことが良いとされています。
詳しい事は、『ぎゃおす王国』に載ってますのでそちらをどーぞ。
ご存知の方も多いと思いますが、念のためリンク貼っておきます。
内容はかなり以前のものですが、とても役立つ情報が満載です。
便秘にならなければふくちゃんにも飲ませたいですが、
そのままだと絶対に食べてくれません。
ある日突然、ウェットフードに混ぜて食べました!
動物用の“コバルジン”と全く同じもので人用でカプセルタイプの“クレメジン”がありますので、
小さなカプセルに“コバルジン”を詰めて与えても問題ありません。
とりあえず腎臓病で処方されそうな薬とサプリを書きました。
なにか気が付いたら教えて下さいね。追記します。
たしか、主要成分の含有量も調べてた書きかけ記事があったハズなので、
そちらも見つけ次第、完成させてアップします。
でわでわ!