我々の任務は、隣のビルの屋上に囚われた、ライアン(靴下)を救出すること。











ベランダからはさすがに遠い。

マンションの通路に出てみる。

いた。
助けを求めるライアンの声が聞こえてきそうだ。
こちらはマンションの8階。
隣のビルとの間にはほの暗い谷間がぱっくり口を開けている。

ダメだ。
ライアンのためにこれを飛び越える勇気はなかった。
ベランダから物干し竿をとってきた。

ダメだ。
これで棒高跳びのようにして飛び越えることはできない。
こいつには伸縮機能がついているが、せいぜい3m。
こちらから、こいつを伸ばしても、隣のビルに触るのがやっとだろう。
次に、ゴミ箱を持ってきた。
紐を結んでこいつを投げ込んで、ライアンを中に掬い取って引っ張りあげることはできないか。

ダメだ。
そもそもこれをライアンの所まで投げることさえ至難の技。その上、コントロール不能のこいつを操ってライアンを掬い取るなどできっこない。
もっと硬くて長いもの。
メジャーはどうか。

悪いがこいつは、5mある。
もしライアンに届いて、こちらに掻き寄せることができれば、それだけでも大きな一歩だ。

出来るだけ至近距離から試みようと、下の階に降りてこいつを延ばしてみる。


ダメだ。
途中でふんにゃりと曲がってしまう。
やはり、このビルの谷間を超えるほかないのか。
ライアン救出のミッションは、我々の想像を遥かに越える困難を伴い、作戦は想定外の長期戦にもつれこんだ。
我々は、次なる秘策を求めて、あの場所へ向かった。
そう。小道具の宝庫。
100均へ。

