Tさんの本心に、また触れた事で気持ちが楽になった私。

 

 

なんとか翌月の診断結果は、少し回復。

まあ、ステロイド錠剤のプレドニンの量が

ピーク時の量と同じになったので当然なのだが…。

 

正直、薬の量を増やすのは簡単なのに

またここから薬の量を減らす事の方が大変なのだ。

 

 

 

そして9月後半に

脳神経内科の先生に診察してもらった時。

先生からとある相談をされた。

 

「ふーもさん。今年の夏はよく耐えたね。

なんとか入院も免れたわけだし。良かったよ。」

 

いつも明るい脳神経内科の先生。

 

「いやあ~。ステロイド増やしましたし。

そりゃ、結果出ないと困りますよ。

それに、やっぱり太っちゃいましたし。」

 

苦笑いしながら話す私に先生は

 

「いやいや。ふーもさんがしっかり頑張ったからだよ。

好き勝手やってたらSLEの数値も安定しないよ。」

 

 

脳神経内科の先生はいつも前向きな発言をしてくれる。

 

そして、先生から真面目な話が始まった。

 

「前も話したとおり、ふーもさんには

アクアポリン抗体ってあって

その他にも視神経脊髄炎に関わるものが当てはまってるんだよね。」

 

「はい。聞きました。

聞きなれない名前なので、あまり理解出来てないんですが…。」

 

先生は私の返事を聞いて、続けて話し始めた。

 

「私としてはステロイドは体に良くないもので、

ふーもさんから減らしてあげたいと思っている。

それで、提案があるんだよね。」

 

減らす事が出来るなら私も減らしたい。

 

「この前も話したけど、

視神経脊髄炎に使う薬が使えれば、

SLEの症状も抑える事も出来るかもしれないんだ。

もしかしたら今より目も回復するかもしれない。」

 

 

「!!!」

 

私は少し驚いた。

 

「でもね、SLEの難病資格ではその薬は減額出来ないんだよ。

3種選択肢があるけど、ふーもさんに向いてるのは2つで、

それが海外の薬だから高額なんだよ。」

 

私は先生の話の区切りを見て質問した。

 

「え…。高額っていくらなんですか?」

 

先生は私の方に椅子を向けて

 

「一番効果がある薬がアメリカからので年3000~4000万かかる。

効果としては95%病気の進行を抑えてくれている。

それとは別にもうひとつは85%の効果が出るのがあって、

それでも年1500万くらいかかる薬があるんだ。」

 

正直、絶望的な数字だった。

 

「そんなお金無いです。

しかも、前回も視神経脊髄炎の指定難病の審査落とされましたし。」

 

そう。私は前回も前々回も

この目の病気で医師の診断書としての点数は足りていたが、

国の基準に足りていなくて落とされていた。

 

先生は引き出しから冊子を取り出した。

 

「そうなんだよね。

前回の指定難病では月にかかった医療費が

金額が満たないって事で落とされたわけだ。

そこも、考慮しつつ、まずこの薬について候補にあげてほしい。」

 

 

先生が私の目に前に見せた冊子はソリリス(エクリズマブ)とと書かれた物と

エンスプリング(サトラリズマブ)と書かれた物。

 

「可能性がある事は分かってほしい。

高額だからご両親と話してもらって考えてもいいから。」

 

 

可能性……

あまりにもハードルの高い可能性。

 

 

「これ、限度額適用認定証取っても年間ですごい金額になりますね。

私、今ほとんど仕事してないですし…。

親も年であまり難しい話が分からなくて。

カタカナの変な言葉ならべると分からないってなっちゃって。」

 

うつむく私。

それを見た先生は明るい声で

 

「私ももっと金額とかが変わらないか模索してみるから、

ふーもさん諦めないで!

すぐに始めるわけではないし、効果が出てる事は実証されてるんだ。

今日はこの冊子を持ち帰って理解してくれればいい。」

 

「ありがとうございます。

前までは話しの中でなんとなくの内容だったんですが、

こうやって金額や冊子など見ると現実味が出てきました。

やはり、金額がすごいので、ちゃんと考えます。」

 

 


 

その日は先生が色々考えてくれるという

一縷の望みをかけて、話しだけ聞いて病院を後にした。

 

 

高額医療とか他人事の様に思っていたけど、

自分の予想を超える金額を聞いた時、

こんなにも人って諦めようと思えるんだと思った。

 

 

 

SLEの特定疾患医療費受給者証を取得している私。

どうしても月の医療費の上限が決まっていて、

月33333円は超えない。

 

そして、

視神経脊髄炎に使える薬はSLEの医療費受給者証は使えない。

 

 

でも.……ちゃんと私も考えよう。ちゃんと。