高山の街並みをあとにして、

Tさんの車で『深山桜庵』に向かうTさんと私。

 

山奥に近づくたびに少し雲行きは怪しくなり

奥飛騨に着く頃には少し雨がぱらつき出していた。

 

だが気になるほどの雨ではない。

 

「旅館のお風呂楽しみだね♪」

 

私がウキウキしながら話しかけると

 

「奥飛騨なんて初めてだから、ほんと楽しみだよ。」

 

とTさんは言っていた。

好きな人の初めては、

男性も嬉しいと思うが女性も嬉しいものである。

 

 

無事、旅館に到着。

コロナ対策でフロント案内は少しづつ。

フロントに人が溢れすぎないように

呼ばれるまで車で待機させられた。

 

自分たちの番になると検温があり。

記帳を済ませる。

いつもなら、車から降りたら仲居さんさんが荷物を持ってくれるのだが

やはりコロナの配慮で自分たちで持って

宿泊する部屋までも自分たちで荷物を持っていく。

 

 

Tさんにはあえて、いつもはこうなんだよ。とは言わず、

部屋の扉を開ける楽しみの方を大事にした。

 

扉の鍵を開けて、いざ!オープン!!

 

 

「うわぁ~!広いし、オシャレじゃん!」

 

部屋をキョロキョロするTさん。

 

「ね。綺麗でしょw」

 

私がそう言うと

 

「俺、大概は出張のビジネスホテルだし

以前、彼女がいた時も、観光ホテルしか泊まった事ないから。」

 

「あれ?会社とかのイベントは?」

 

私が質問すると、

 

「民宿みたいな、昔からある感じの旅館かな?

それも良いんだけどね。

どこに行くにしろ、野郎と行くより

ふーもちゃんと一緒に行く場所のが100倍楽しい!」

 

と言い。

後ろから抱きしめてきて

 

「ふーもちゃん疲れたでしょ?お疲れさま。」

 

と言ってきた。

私は少しデレてしまった。

 

話しを聞くと

Tさんはプライベートで旅館とか20年は行ってないらし。

東京で就職してこちらで再就職して今に至るまで、

素晴らしいくらい仕事人間だった模様…。

 

 

『深山桜庵』さんは和モダンな部屋の作りで

畳とフローリングの混合。布団も敷布団とベッドの間のような

部屋にマッチした感じのベッド。

寝室が畳でもう一部屋はフローリングで私が寝れるくらいの

横長のソファーと机で窓からは緑と山。

 

私達が予約した部屋は

露天風呂付客室だが、シーズンオフで予約すれば

かなりお手頃で泊まれると思う。

 

私はどこに行くにでも平日の観光シーズン前後で予約するので

今回のような金額で泊まったことは無いが

楽しい思い出に水は差したくないので、

次回またこういった旅行話があったら言おうと思った。

 

こういう時、平日休みの人間はモールでも混む事ないし

ある程度のテーマパークもサービスエリアも

普段より空いているし

ストレスは少ないと思う。

 

 

 

しばらくして、仲居さんが来てお茶を入れてくれて

軽く館内の説明をしてくれた。

 

夕食と翌日の朝食の時間も決めて後はフリータイム。

露天風呂付き客室なのでのんびり出来るw

 

ソファーで説明の紙などを私が読んでいたら

Tさんはしがみついていたのだが、

突如、耳元から

 

「グーグーー…。」

 

といびきが聞こえてきたので、右を向いたら

Tさんは眠っていた。

Tさんはいつも秒で寝れるw

 

私に疲れてない?って心配してくれたけど、

長距離の運転もしてくれて、きっとこの日のために

仕事も頑張ってくれたと思う。

 

「ありがとう。」

 

起こさないような小さな声で

私はTさんにお礼を言った。

 

 

その後、Tさんが目覚めたら今日の疲れと汗を流すため

Tさんと一緒にお部屋の露天風呂でゆっくり過ごした。

 

 

夕食は個室で

地元の食材を使った盛り付けも可愛らしい料理。

どれもとても美味しくて

大好きな飛騨牛も鮎も美味しかった。

量は人によっては少ないと言うかもしれない。

 

そういった人は料理を重要視したプランで良いかもしれない。

 

Tさんは食べてる途中

 

「うまぁ!!」

 

と言ってきたのは意外にも、ちいさなお餅だったw

 

私はクスッと笑ってしまった。

 

「まさか、肉でも魚でもなくて、お餅が1番美味しかったの?」

 

と2人とも食べ終わって、

デザートを食べてる時に私が聞くと。

 

「いやぁ~。どれも美味しかったんだけど、

あのお餅なら何個でも食べれるね!!」

 

とTさんは謎の自信満々の顔をしていた。

 

こういった。Tさんの突然、小学生みたいになるところが

私は好きだ。

 

 

さて、食事も済ませて少しいちゃつきもありつつ

メインの男女別々の大浴場へ。

 

 

深山桜庵さんのおススメの一つは男女別の大浴場の露天風呂

 

露天風呂はとても広く子供なら泳げるほど。

そして夜には露天風呂から見える大きな木にスポットライトを当てていて

晴れていれば星がいっぱい見える。

 

この日は、雨が降っていたものの

まだ小雨だったので露天風呂もゆっくり出来た。

 

Tさんも同じ木を見てるんだろうな。

Tさは今何を考えてるんだろう?

私と同じで楽しんでくれてるかな?

 

私が幸せだからTさんも幸せであってほしい。

 

 

そして、私が大浴場を出ると、

Tさんはまだ出てなくて待っていたらしばらくして合流。

休憩室では湯上り後の牛乳・コーヒー牛乳が無料で

美味しく頂いた。

 

 

さて、時刻も24時手前。

Tさんは仕事柄24時前には寝てしまう。

どんな現場にも8時前に到着しなくてはいけないので

5時6時起きは当たり前。

 

私はずっとアパレルなので早くても仕事の開始は9時半。

なんなら遅番とかあったら11時とか12時出勤なので

睡眠サイクルが違うのである。

 

 

ベッドはツインなので、

Tさんが右側のベッドで寝そべった。

それを見た私は左側のベッドに寝そべったら

 

「ふーもちゃんもこっちでしょ!」

 

とTさんは自分のベッドにスペースを作って

そこを左手でパンパンしていた。

 

「いや。それだとシングルで2人で寝る事になるよw

狭くない??」

 

と笑った答えたら。

 

「ふーもちゃんの部屋のベッドと同じ大きさだよ。」

 

とニンマリしたTさん。

 

結果、左側のベッドは使う事なく

Tさんは私にしがみついて速攻寝て翌朝を迎えるのだった。

 

 

翌朝はやはり天気予報どおり雨は本降り

Tさんは、まだいびきをかいて布団から足を片方出して寝ている。

 

私はプレドニンの量が増えた事で

少し不眠になっていたので小鳥のさえずりと共に目覚めてしまった。

朝も部屋の露天風呂でゆったり浸かって

雨の森林も良いなとか思っていた。

 

 

「あ!ふーもちゃん。1人で入ってる!」

 

唐突に後ろからTさんの声。

振り返るとガラス越しから覗き込んでるTさん。

 

「うわぉwみっかっちゃったw」

 

と明石家さんま風の返しをする私。

 

その後は2人で横並びで混浴。

Tさんが隣りでつぶやく。

 

「もう一泊したいね。」

 

「うん。」

 

「また一緒に来たいね。」

 

「うん。」

 

「いつか夫婦で来たいね。」

 

「内縁の妻でねw」

 

「ふーもちゃんは俺のお嫁さんになるの~。」

 

「じゃあ。梨園も妻でお願いします。」

 

「それじゃあ。俺、歌舞伎役者にならないとじゃん!w」

 

「そうそうw」

 

 

結婚なんかの約束は出来ない。

本当は嬉しいよ。

でも、私の人生を預ける訳にはいかない。

約束できない事や嘘は言えない。

 

 

 

朝食の時間が近づくと朝食会場に。

窓側の緑の森林が見えるカウンターに朝食が用意されていた。

 

朝食も小鉢など色々並んでいて、

地元の食材に、深山桜庵オリジナルの朴葉味噌。

自家製豆腐などおいしく頂いた。

 

 

コロナの影響でサービスのスタイルは多少変わったものの大満足だった。

 

しかし、天気予報はくつがえされる事は無く。

しっかり雨は降っていたので、野外でのアクティビティは出来ないので

帰りは道の駅やサービスエリアめぐりをして

早めに地元に帰った。

 

たくさん運転してくれたTさんに感謝!

 

 

本当は『牧成舎』という牧場で

そこでしか買えない牛乳を書いたかったが

また晴れた日に行きたい。

 

ついでに『牧成舎』さんは

アイス最中を通販でも売っていて

高島屋さんのギフトカタログにも掲載されるくらい。

個人的にはとてもミルクが濃くておススメです。

 

 

 

さて。

1泊だったけど。

Tさんとは今までで1番長く一緒にいたし、

Tさんの素敵なところが見つかった事も嬉しかったけど、

一緒にいて時間が早かった事。嫌なところが見えなかった事。

それがなにより良かったと思う。

 

 

次、またTさんが旅行しよう!言ってきたら

 

 

2日目も晴れていますように!!!