30年前「拉致事件」の授業をしたら校長に怒られた!20年後、文科省から授業をするように言われた! | 元中学校教師が教える学校のウラ話

元中学校教師が教える学校のウラ話

公立の中学校で25年間、勤務していた私が「クラス替えの仕方」「修学旅行」「部活」「未納」「モンスターペアレント」「学級崩壊」「いじめ」「不登校」「人事異動」など、今まで話すことができなかった、学校のウラ話をお伝えしていきます。

「アニメ:めぐみ」使って授業をしたら教育長に褒められた!



1.教職員組合に入らされた!?
2.国家斉唱の時に起立しない教師
3.道徳の授業で拉致問題を取り上げた!
4.北朝鮮が拉致した証拠はどこにある!
5.道徳のプリント回収命令!
6.道徳=修身=軍国主義になるから注意が必要?
7.「アニメ:めぐみ」のDVDが教育委員会から送られてきた!
8.道徳の授業で「拉致事件」を取り上げなさい!
9.他にも道徳の授業で怒られたことが・・・・




1.教職員組合に入らされた!?

私が教員として働いた地域は、組合の活動が盛んというか、盛んではないというか、どちらとも言いづらい地域でした。

その理由としては、以下の3つがあげられます。

①教員が組合に入っている割合がそこそこ高い。
②「文科省と戦う!」「日の丸反対!」などの活動は全くない
③組合の役職につくと「必ず管理職になれる」という暗黙の了解があり、1つの出世コースとなっている。

私が組合に入ったのは、今から30年以上前の新規採用された年の4月です。

私の配属された学年に、その地域の副支部長がいました。

その先生は私のお世話係でもあったため、私にこう言ってきました。

「西川先生!この書類にサインして!」
「組合はみんなが入るものだから!」

もちろん、これからお世話になる先生です。

私は何の疑いも、何のためらいもなく、その書類に印鑑をおしました。

(今でも、新採教員として組合に入った最速記録保持者ではないかと思うくらいです。)


2.国家斉唱の時に起立しない教師

毎年、入学式や卒業式で「君が代」を歌わず、起立もしない教師のことが問題になります。

ただ、私がそのような先生と一緒の学校で働いたのは1回(1人)だけです。

私が教員をしていた地域には、そのような教師はその先生だけでした。

そのため、同じ学年になった先生たちは、とても気を使って仕事をしていた覚えがあります。

職員会議では、いろいろと理想を語るのですが、基本的に仕事ができない先生だったため、人望もほとんどありません。

そして、自分の意見が通らないと、このようなことをよく言っていました。

「この学校には民主主義がない!」
「人権侵害だ!」


3.道徳の授業で拉致問題を取り上げた!

20台後半。

北朝鮮による拉致問題のニュースが表面化してきたころです。

拉致被害者5人が帰国する前で、北朝鮮が日本人を拉致しているという確信がなかった時代です。

北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)が結成されたころ(?)だったように思います。

この事件に興味を持っていた私は、道徳の授業で「北朝鮮の拉致問題」を取り上げることにしました。

「北朝鮮は悪い国だ!」
「社会主義や共産主義は間違っている!」

もちろん、このような意図はまったくありません

単純に子どもたちに、このようなことを考えて欲しかっただけです。

「家族が突然いなくなった時の辛さはどんなものだろう?」
「中学生の自分が、異国に連れ去られたとしたら、どんな気持ちだろう?」
(今振り返るとお、設問や考えが安易に感じます。)


4.北朝鮮が拉致した証拠はどこにある!

私が職員室で「拉致問題」を取り上げたことを学年の先生に話していると、あの先生が私に話しかけてきました。

「北朝鮮が拉致した証拠はあるのか!」
「あなたは、子どもたちに北朝鮮の間違った知識を植え付けようとしている!」
「そんなに、北朝鮮をおとしめたいのか!」

もちろん、そんな意図がなかった私は、必死に自分の考えを伝えます。

しかし、その先生は、全く私の話に耳を傾けません。

すると教頭が、私とその先生を校長室に連れて行きました。


5.道徳のプリント回収命令!

校長と教頭は、口論(?)をしている理由を聞いてきました。

私が道徳で「拉致問題」を取り上げたことが口論のきっかけであると伝えると、校長と教頭はこのような顔をします。

『あちゃ~!』
『こいつ、やっちまったな~!』

もちろん、隣であの先生は怒っています。

すると校長は、このように言いました。

「授業で使ったプリントを回収して下さい!」
「子どもたちに理由は説明しないで下さい!」

また、このようなことも言われます。

「今後、道徳で副読本以外のものを使用するときは、事前にその資料を教頭先生に提出して下さい。」
「必ず、教頭の許可を得て行って下さい!」


6.道徳=修身=軍国主義になるから注意が必要?

その後、先輩教諭に教えていただいたのは、このような事でした。

「道徳は気をつけた方がいいよ!」
「修身や軍国主義と結びつけて考える人がいるから!」

また、このように言う先輩もいました。

「政治の話も注意した方がいいよ!」
「社会主義や共産主義の国が最も素晴らしいと思っている先生もいるからね!」

当時の私(現在もですが)は、意味がよく分かりませんでした。

ただ、その一件があってから、私は政治や戦争の話を子どもたちの前では控えるようになってしまいました。


7.「アニメ:めぐみ」のDVDが教育委員会から送られてきた!

それから20年後。

道徳主任をしていた私の所に、このようなDVDが送られてきました。

「アニメ:めぐみ」

そして、DVDと一緒に教育委員会から、このような文書も送られてきました。

「教職員にこのDVDの存在を伝えること」
「DVDを使って道徳を行うこと。(最低でも1クラスで授業を行って欲しい)」
「添付の指導案を参考にしてもよい。(オリジナル指導案も可。その場合、指導案を教育委員会に送付。)」

どうやら、文部科学省から教育委員会にアンケートや使用実績の確認が来たようです。


8.道徳の授業で「拉致事件」を取り上げなさい!

20年前に「拉致事件」の授業を行ったときは、管理職に指導されました。

しかし、時代が移り変わり、その時は教育委員会や管理職から「拉致事件」の授業を行うように指示されたのです。

もちろん、私は「アニメ:めぐみ」を見て指導案を1から作成し、授業を行いました。

その後、指導案を教育委員会に送ったところ、教育長からお褒めの言葉をいただくと同時に、その指導案が市内の全ての学校に配られることになりました。

私の指導案が良かったからと言うよりは、文科省にアピールする意図があったのではないでしょうか?

「○○市では拉致事件が風化しないように、これだけのことをやっています!」

実際、○○市で「アニメ:めぐみ」の授業を行ったのは私だけだったようです。


9.他にも道徳の授業で怒られたことが・・・・

現在、道徳は教科となり、教科書を使って授業を行っています。

もちろん教科になったため、通信票には評価をつけることにもなっています。

学校内では、道徳の教科化に反対の意見が多かったようですが、もともと道徳という授業が好きだった私は、道徳の授業ができなくなったことを寂しく思っています。

先月、横田めぐみさんのお父さんである、横田滋さんがお亡くなりなったことで、この記事のことを思い出しました。

また、それに伴い下記の内容で、道徳を行ったことも思い出しました。

「民のかまど」
「月にウサギがいる理由」
「地蔵菩薩」
「秋葉原無差別殺人事件」

これらは、私が道徳で扱った内容ですが、「拉致事件」と同様に、主任や管理職から指導を受けた内容です。

次回はこれらの道徳について、どのように怒られたかを書きたいと思っています。

もし、お時間がありましたら読んでいただけると嬉しいです。

 

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