高校受験の会場にいるあの人たちは誰? | 元中学校教師が教える学校のウラ話

元中学校教師が教える学校のウラ話

公立の中学校で25年間、勤務していた私が「クラス替えの仕方」「修学旅行」「部活」「未納」「モンスターペアレント」「学級崩壊」「いじめ」「不登校」「人事異動」など、今まで話すことができなかった、学校のウラ話をお伝えしていきます。

ここにもあった競争社会の現実?!

 

 

1.高校受験の集合は高校の校門前
2.初めての高校受験担当
3.生徒を励ますお兄さん達は誰?
4.力以上のものを出して合格してほしい!
5.子どもが希望校に合格できればいい!
6.なぜ、この学校には塾の先生がいないの?
7.商売の世界の厳しさ!




1.高校受験の集合は高校の校門前

公立高校の入試の前日。公立高校を受ける3年生が体育館に集まります。そして、それぞれが受験する学校を担当している先生の回りに集まり、最後の確認をします。

翌日、担当の先生はそれぞれの高校の校門の前で自分の学校の生徒を待っています。そこで、全員が高校受験に来ているかを確認するのです。

→集合場所を中学校の校門前と間違った子の話はコチラ


2.初めての高校受験担当

今から20年程前、私は初めて中学校3年生の担任をしました。もちろん、担当の高校もあり、高校受験の当日の朝はその学校の校門の前で生徒を待つことになっています。

高校受験の当日。私は担当の高校の校門の前に行きました。

すると、他の学校の知っている先生がいました。もちろん、他にも近隣の学校の先生も多数、来ています。ただ、私はこう思いました。

「(近隣の)学校の数より、先生の数の方が多いな?」


3.生徒を励ますお兄さん達は誰?

知り合いの先生と話しをしていると、私の学校の生徒が受験会場に来はじめました。私は、知り合いの先生と話すのをやめ、担当の生徒に声をかけ励まします。

最初の生徒が来てから、続々と他の生徒もやってきます。

ただ、ほとんどの生徒が私の所に来る前に別の先生?の所に行っています。そして、そこで、その先生と握手をしたり話しをしたりしています。

「私が赴任する前に(私の学校に)いた先生なのかな?」

最初はこう思っていた私ですが、明らかに若い先生も多くいます。また、服装も学校の先生ぽくない人たちです。

そこで、私は生徒にこう聞いて見ました。

「ねえ、ねえ、あの人ダレ?」

すると、生徒はこう答えます。

「塾の先生だよ!」


4.力以上のものを出して合格してほしい!

塾の先生は、自分たちの教え子を応援するために、高校受験の会場に来ていたのです。そこで、自分の教え子と握手をし励ましの言葉をかけていたのです。

私の教え子でもある生徒たちに声をかけてくれることはとてもうれしいことです。私の顔をみて安心する子もいれば、塾の先生と話して落ち着く子もいるはずです。

コチラとしても、生徒が受験で力を発揮してくれればいいわけです。

生徒の確認が終わり、生徒を受験会場へ送り出した後、私は塾の先生に話しかけて見ました。

私「塾の先生も大変ですね!」

塾「いやいや、そんなことありませんよ!」
塾「子どもたちが合格してくれればいいんで!」

私「そうですね!」
私「力を発揮して、合格してほしいですね!

塾「力以上のものも出して合格してほしいですね!」


5.子どもが希望校に合格できればいい!

先生たちの中には塾のことを毛嫌いする先生が多くいます。その理由はコレです。

「塾はテストの点数の取り方ばかりを教える。」
「過去問をやらせたりする!」
「『教科書の進度が遅い(早い)!』など文句を言ってくる。」

私は、自分が学生時代に塾講師や家庭教師をしていたので、塾を嫌いではありません。さらに言うと、学校が塾とが協力すればいいとも思っています。さらにこういう考えを持っています。

「子どもが希望校に合格することができればいい!」
「塾だろうと学校だろうと、方法は関係ない。」

もちろん、裏口やカンニングはダメだと思っていますよ。


6.なぜ、この学校には塾の先生がいないの?

翌年、また3年生の担任になりました。もちろん担当の高校も決まり、高校受験の当日の朝はその高校に生徒の確認にいきます。

当日、去年とは違う高校に担当として行きました。すると、何となく去年と比べて寂しい雰囲気が漂っています。

「この寂しい雰囲気の理由は何なんだろう?」

こう思いながら、あたりを見回すと、「寂しい雰囲気」の理由が分かりました。

塾の先生が来ていないのです。

生徒と握手をしたり、励ましの声をかけている塾の先生達が一人もいないのです。

「がんばれよ!」
「大丈夫!」
「絶対合格できるぞ!」
「緊張するな!」

このような声が全くないのです。


7.○○高校50人合格!

「高校から苦情があったの?」

最初はこう思った私ですが、よくよく考えてみると、その学校に塾の先生がいない理由が分かってきました。

そうなんです。

去年、私が担当したのは地域で「成績トップ」の学校でした。

今年、私が担当したのは「工業高校」だったのです。

我々、教員からすると、「成績トップの高校」も「工業高校」も同じ高校です。生徒が自分の進路を考え、どちらに入るかを決めるものなので、上も下もありません。

しかし、塾にとっては違います。

「(成績トップの)○○高校50人合格!」

このような宣伝文句がほしいわけです。

こう考えると、去年、話をした塾の先生の言葉がさらに理解できたように思います。

塾「力以上のものも出して合格してほしいですね!」

現在、少子化の影響で塾の経営も大変なんでしょう。公務員の私が商売の厳しさを感じた出来事でした。(ちなみに私は現在、自営です!)

 

※ 必ずしも全ての塾がこうではないと思います。

 

このブログは、筆者の経験を元に作成しています。ただし、個人情報や学校が特定ができないように事例を変えて作成しております。掲載している情報により生じたいかなる損害に関しても、筆者が責任を負うことはできません。