出張ホストを買う孤独な女・りつ子。自殺願望のある風俗嬢・茉莉。
八人の女と同居する中年男性に安らぎを求める加世子。
アイドルのおっかけに夢中の高校生・奈々美。
女になりすましてメールを書く淋しい青年・光。
息子を溺愛する有名女優・黎子
―彼らが求めたものとは?欲しかったのは、
当たり前の幸せだった。
「幸福」にも「愛」にも、色んな貌がある。10篇の天国と地獄の物語。
- 天に堕ちる/唯川 恵
- ¥1,470
- Amazon.co.jp
出張ホストを買う孤独な女・りつ子。自殺願望のある風俗嬢・茉莉。
八人の女と同居する中年男性に安らぎを求める加世子。
アイドルのおっかけに夢中の高校生・奈々美。
女になりすましてメールを書く淋しい青年・光。
息子を溺愛する有名女優・黎子
―彼らが求めたものとは?欲しかったのは、
当たり前の幸せだった。
「幸福」にも「愛」にも、色んな貌がある。10篇の天国と地獄の物語。
東野圭吾 作品の数少ないシリーズキャラクターである加賀恭一郎が、
日本橋での殺人事件に挑みます。
9章立ての構成になっていて、各章では事件周辺の人物に
それぞれスポットがあてられ、
事件とは直接関係のない小さな謎が解き明かされていきます。
その行動が、事件の全体像をくっきりと浮かび上がらせ、解決につながるという
仕立てになっていて、
加賀刑事の慧眼にまたしても唸らされました。
ただ犯人をつかまえるだけでなく、その事件に至るまでの真相をつきとめ、
また同じ過ちが繰り返されないようにしないといけない、というスタンスが、
普通の謎解きミステリーにはない加賀恭一郎シリーズの魅力なのだと思いました。
多彩な作風を持つ伊坂氏が今回は視点が複数の並行進行型のストーリーに挑む。
舞台は伊坂氏馴染みの仙台で、折りしも連続バラバラ殺人事件が起こっている。
登場人物は「重力ピエロ」の黒澤(本作では空き巣役)、
失業者の豊田、
不倫相手の妻の殺害を企む驕慢な精神科医の京子、
高橋と言う教祖的存在を中心とする新興宗教風組織に染まった河原崎、
傲慢な画商の戸田と新進画家の志奈子。
彼等の繋がりは、京子が用意した拳銃を豊田が偶然拾うくらいで良く見えない。
日本人からアンケートを取る白人女性が訳ありそうに描かれるが、
どう関係するかは不明。
老犬、異国の宝クジ、赤い帽子等の鎖の断片も示される。
しかし、黒澤が入った家で出会った佐々岡が、黒澤の元同窓生かつ
志奈子の元恋人と言うのは流石に偶然過ぎるだろう。
黒澤のお得意先の一軒が豊田をリストラした舟木と言うのも偶然過ぎる。
そして、豊田と拳銃の関係は哀愁から復讐へと移って行く...。この小説は何処に向かって行くのか ?
五里霧中な展開の中、京子の不倫相手の青山が人を轢き、
その死体がトランク中で瞬時にバラバラになり、
一方、河原崎が「神」である高橋の解体作業に係る辺りから物語に求心性が出て来る。
更に、トランク中のバラバラ死体が繋がってトランクから抜け出す描写の場面では、新手のミステリかと思わせるが、如何せん結末はすぐそこ...。
新しいタイプの小説である。
本作の趣向は「そんな偶然性の高い人間関係はないだろう」と言う非難を覚悟の上
で、伊坂流"騙し絵"を描いたものと言える。個人的には、黒澤以外は河原崎と豊田
に的を絞った方が上質の作品になったと思うが。「ラッシュライフ」の意味を作者は結
末で「豊潤な人生」としているが、「駆け巡る人生」の方がふさわしいと思った。