2010.11.5 スタンドのおじさん
昨日の夕方、熊本市内を走り回った車にガソリンを入れたときの話。
「レギュラー満タンで」
言い捨ててぼくは次の訪問先への道筋を考えていた。時間ぎりぎりだったので、言葉もなげやりだ。スタンドのおじさんが、レシート持ってきて突然聞いてきた。
「つかぬことをお伺いしてもよろしいでしょうか。その、トランクの中に…」
ガソリンスタンドでものを尋ねられることは滅多にない。スタンドでのイレギュラーな会話って、せいぜいこっちが道聞く程度だもの。
見た感じ50代。頭頂の寒くなってきた、どこにでもいるタイプの気弱なおじさんだ。おじさんは、オドオドとしながらなかなか二の句が出ない。若くて綺麗なお姉ちゃんに声かけられたのならまだしも、目の前にいるのは気弱なおじさんだ。こういうとき、まず「おれ、なんかしたかな」という思考がぐるぐるするあたり、ぼくの将来はこのおじさんのような気弱な中年なのだろう。そして「なんか知らんけど、おれをカモろうとしているのかもしれん」と疑心暗鬼になる。おじさんの沈黙数秒の間に、自分の小さい器がまる見えだ。
「トランクの中にある雑誌を、一部譲っていただけませんでしょうか」
ぼくは今、広告を売る仕事をしている。社用車のトランクには当然、売るべき媒体の見本が山とある。かといって、その辺に歩いている人に配っているようなものではない。進学情報誌なのだ。おっさん、いまさら進学せんだろうよ。で、反射的に聞いてしまう。
「構いませんが、何にお使いで」
「―…娘が今年、受験生なもので」
あ、なるほど。窓ガラスを拭いているうちに、トランクの中の雑誌がおじさんの目に入ったのだろう。大学、短大、専門学校と、これでもかと内容明確なコピーの踊る表紙だ。おじさんのメガネはしっかりと働いている。
おじさんは、一生懸命働いているのだ。なんのために。年頃の娘がお家で待っているからだ。子どもを高校以上に進学させるのって、本当に大変なことだと最近よく思う。とくに、ぼくらのような中小零細に勤めるサラリーマンは尚更だ。公務員や大企業に勤める人と違い、将来に何の保証もないまま月々僅かな給料で家族を養い、子どものために金を貯め…。
そしておじさんは、体力勝負の仕事中も娘のことを忘れないのだ。いちげんさんの車を拭きながら、娘の将来につながるモノを見つけ、常連でもなんでもないぶっきらぼうなハゲ客に声をかけるのだ。
「そうですか、それは大変ですね」 ぼくはトランクから3種類の雑誌を出しておじさんに手渡した。3冊の薄い雑誌を片手に、おじさんは車道に車を誘導してくれた。
「ありがとうございました」 おじさんの言う言葉には二重の意味が込められている。
ぼくは軽く会釈して車の流れに乗る。「がんばってください」って言えばよかった。娘さんも、おじさんに対しても。
たまにこういう出来事があると、外回りの仕事もなかなか悪くないと思える。
約束の時間には遅れた。
2010.9.27 しとしと雨
前の職場だったら、原稿の最終仕上げでバタバタだったなあ。
と、前職先輩のブログを読みながらぼんやりと考えてしまいました。
人生、どこでどう転ぶかわかりませんな。
初出勤早々に鹿児島出張で疲れちゃったのか、土日は身体の調子悪くて寝込んでしまいました。
こんなんあると、ぼかぁ営業に向いてないんだー、と感じずにはおれないんだけれども、早く慣れるといいなと願うばかりです。はい。
今回の職場も、個性的な面々が揃っています。
それはまた追々。
明日は宮崎です。
車が嫌いになれる。
2010.9.21/22 鹿児島は晴れていた
先日は鹿児島。
一泊だったんで、夜はカラオケ仲間のTKR(仮名/鹿児島在住)と遊んできました。
ホテルが繁華街のど真ん中で、周辺がいかがわしいお店ばっかりでウキウキするも、結局そういう遊びは出来ない小心者なので延々と歩いて回っただけ。
桜島がモクモクしてなくて残念、とTKRにこぼしたら
「モクモクしてたら、二度と鹿児島来たくなくなるから」と。
帰ってから友達に言うと、
「桜島がクッキリ見えたなんて羨ましい」と言われました。
噴火した後は灰に霞んで桜島が見えないんですって。友達は見えなかったらしい。
鹿児島でいちばん感動したのは、森とか山の深さ。高速走ってると、遭難できそうな山々がたくさんあるんだもの。
デカいとか深いとか、スケールが大きいものは人間をひどくちっぽけに見せます。
もっと桜島の光景を大切にしとけば良かった、と帰福して後悔しましたとさ。
一眼レフが欲しい。
もう仕事で使うことないから、優先順位低いんだけど。
まずパソコン新しくしないと写真撮っても編集できないし。
仕事は比較的ラクなんだけど、将来的には先細りだからなあ。
身も心もラクな仕事なんて、なかなか無いもんですな。
来週は宮崎です。
「小さい」と言わないで
狭い、短い、いろいろあるけど総じて小さい。
今日は靴を買いに西新へ出た。
靴なんて、デザインだけ見ていつも適当に買うからあんまり試着なんてしないんだけど、今日は試着した。
仕事で使う靴だからだ。
普段履いている靴が、だいたい 25cm か 25.5cm くらい。
とりあえず 25cm の靴を出してもらうが、どうにも踵がスカスカする。
「24.5 出してみましょうかね」
小さい。
普通の男性って26とか27だよね。24.5なんて、大きめの女性サイズじゃないか。
店員さんが可愛い娘だったこともあって恥ずかしい。
「あれー。おかしいなー。いつもは26くらい履いてたりもしたりしなかったり、ねえ?」
別に足が大きけりゃいいってことでもないのに、意味不明な見栄を張るあたり、人間が小さい。
「ちゃんとサイズに合った靴を履いたほうがいいですよ」
店員さんに促されて 24.5cm の靴を購入。
小さいのは、いろいろと劣等感を生むよね。男として、とか。
ミスドで一服
一服に寄ったミスドで、隣の席が美人。テンションが向上する。
ストレートのセミロング、ばっちりスーツが「出来る女」の雰囲気を醸す。赤縁メガネのワンポイントに無邪気な性格が感じられてなおグッド。
美人は読書中だ。
平日の夕方前、営業まわりの空いた時間に珈琲飲みながら読書しちゃう女性像。素敵。
美人は文庫本を置き、煙草に火をつけた。カバーの取られた、無骨な文庫本はミーハーなイメージから遠く、スーツ姿の美人に合う。
何読んでんだろう、と思って背表紙を見てみた。
「美少年」団鬼六
わあ。