1994年、南アフリカ共和国初の黒人大統領に就任したネルソン・マンデラだが、新生国家の船出には多くの問題があった。ある日、ラグビー南ア代表「スプリングボクス」の試合を観戦したマンデラの頭の中で何かが閃いた。南アではラグビーは白人が愛好するスポーツで、黒人にとってはアパルトヘイトの象徴。しかし、1年後に南アで開催されるラグビーのワールドカップで南アのチームが勝てば、それが人種間の和解につながるかもしれない…と。またまたクリント・イーストウッド監督、やってくれました。
俳優としてはあまり好きではなかったんだけど、最近ほんとにいい映画を作ってくれます。
今回の題材はネルソン・マンデラ、英雄視されてるわりには名前だけであまりよく知らなかったと痛感しました。
ラグビーの練習に励む白人達の横を、釈放されて歓喜につつまれたマンデラの車が通り、
「何があったんだ?」「マンデラが釈放されたんだ」「誰それ?」「テロリストだ」「この国もどんどんひどくなっていくなぁ…」なんて感じの会話が続きます。

日本人の私でも知っている、南アフリカの英雄、アパルトヘイトに抵抗して何十年も投獄された不屈の闘士、ネルソン・マンデラ! でも、南アフリカの白人達の中ではその程度の認識だったんですね。
今回、あらためて「国家代表チーム」の意味を考えさせられました。
私たち日本人は、ともすればオリンピックの日本代表に選ばれて、ひたすら重圧に押しつぶされそうになるけど、(最近の若い選手はタフみたいですが…)とにかく日本国民の期待を一身にうける名誉なお仕事であることには何の疑いもないのですが、南アフリカは違うのです。
南アフリカではラグビーはアパルトヘイトの象徴だったので、「スプリングボクス」(略称ボクス)がイングランドと試合をすると、黒人達はみなイングランドを応援する、という図式だったそうで、マンデラも囚人時代はいつもボクスの敵方を応援していたそうです。なので、ラグビーファン層は反マンデラ層でもあるのです。だから、新政権になって黒人達は負け続きのボクスをこの際メンバーもユニフォームも一新して、新しく作り直そう!と盛り上がります。
ところが、マンデラは予定変更してその場に駆けつけ、「今のメンバーでユニフォームもそのままで、ワールドカップに向けて頑張って欲しい」と宣言するのです。
これ、なかなか出来ることじゃないです。だいたい、新政権になって大統領府もスタッフ総入れ替わりにするかと思いきや「新しい南アフリカ共和国のために、共に頑張って欲しい」とスピーチし、自らのSPチームに元公安警察のスタッフを入れ、白人黒人混合チームにします。「君達は新政権の象徴となる」…て言われても、ついこの前まで弾圧していた者と弾圧されていた者がチームを組むなんて…。
でも、今は白人・黒人で対立している時ではない、いかにして新しい南アフリカを作っていくのか…
マンデラの凄い理想は、ラグビーを通して進んでいきます。
「30年も投獄されながら、人を赦すこと、信頼することが出来る」それがマンデラの凄さです。
ボクスのメンバーにも大統領の熱意が伝わって、真の国歌代表として頑張るのです。
やっぱり、スポーツのもつ力って凄いですね。
それにしても、国民の大勢から嫌われていた国家代表ってのも、日本では考えられない話。
それと反対に、国際試合の際に歌われる国歌は新しい国歌なので、白人達にとっては「テロリストの歌なんて、歌えるか!」と拒否されるし…。
まぁ、日本では違った意味で「君が代」を拒否することはありますが、それでも、スポーツの国際試合の時は素直に「君が代」を歌いますし、若い選手が歌っているのを観て感動し、『あぁ日本人だなぁ…』と実感します。
韓国のような分断国家も悲劇ですが、一つの国の中でこんなに分断しているのはある意味もっと複雑です。
原作はもっといろいろ複雑な背景があるようなので、時間があればそちらも読んでみたいと思いますが、私は原作等の予備知識なしでみて、素直に感動できました。
クライマックスのワールドカップの試合のシーン。応援するみんなが、肌の色の差なく一丸となって国歌代表を応援する姿が感動的でした。街角でラジオの実況に耳を傾けるパトカーのそばで、ゴミひろいするフリしながらラジオを聞くストリートチルドレンなど、それぞれの小さなエピソードが素敵です。
ラグビーあまり詳しくない私も、結末わかっていながらもなんか力入って応援してしまいました。
そう言えば、最近こんなに力入れてスポーツ観戦したことがない…。
そうなんです。私は20年ほど前から「応援すれば、応援した方が負けてしまう」という呪いにかかっていて、そのせいでスポーツの生中継を見ないようにしているのです。
「そんなの、気のせいやん!」とよく言われますが、でも、自分がTVのスイッチを付けたらいきなり逆転されたりすることが何度も続けば、いい加減観るのが嫌になります。だいたい、負ける確率80%くらいでしょうか?とにかく、たまたま生で観れなかった試合の勝率の方が断然いいのです。
昨年のワールドベースボールなんか、「日本優勝のために、私は絶対観ない」と決めているのに、職場でも親切に実況してくれたり、休憩時間はTVついているし、電車では隣の人がワンセグで観ているし…で、絶対観ないように逃げ回るのに、本当に苦労しました。
なので、今回のボグスとニュージーランドの試合は久々にスポーツ観戦の醍醐味を感じさせてもらいました^^(私事ですが…)
モーガン・フリーマンもよかった。アカデミー主演、無理かなぁ?マット・デイモンも、先日みた「インフォーマント」のアホみたいな営業マンとはうってかわってバリバリのスポーツマン、なかなかよかったです。
エンディングに本物のマンデラとボクスの試合の映像がでます。
いやぁ、スポーツってほんとにいいもですね。
そうそう、こんなギャグがあるそうです。
「サッカーはならず者がする紳士のスポーツ、
ラグビーは紳士がするならず者のスポーツ」
ラグビーの試合のシーンを観てると納得です^^