
もう、彼女は語れない。彼が伝える、その優しさを。悲しみを、喜びを。
日本橋の一角でひとり暮らしの女性が絞殺された。着任したての刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。
舞台は、日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの40代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が……」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。
東野さんのミステリーは湯川(ガリレオ)物が続いたので、久々の加賀恭一郎シリーズ!
調べてみたら、2006年の「赤い指」以来の3年ぶりでした。
でも、途中で「アレ?どっかで最近読んだような?と思ったら、『小説現代』で「翻訳家の友」だけ読んでいました。短編集で1つずつ読んでも十分楽しめたけど、まとめて読んでみて初めていろいろリンクして一つの事件の全容が浮かび上がるとともに、それぞれの隠し事にまつわる人情劇までがあぶりだされる…。
9つのエピソードがそれぞれ少しずつ時系列ずらしながら同時進行。加賀警部補が聞きこみ調査で立ち寄った下町の店で話のついでにその店の商品を買って、次に立ち寄ったところでそれをプレゼントしたりするのが各話バラバラに出てくるんだけど、その小道具に使い方がうまい!きっと9話全体を加賀目線の時系列で整理してみたら、きちんと整合性とれているんだろうな~、と感心します。東野さんの手腕に脱帽!
「こんなことが出来ればと思った。でも出来るとは思わなかった」--東野圭吾
いやいや、ほんとにあんたは凄い!
ガリレオ先生も好きだけど、最近すっかり福山雅治のイメージが定着しすぎて…。加賀警部補の役って誰が適役かな~?と妄想がふくらみます^^ これは映画よりも、NHKの連続ドラマかなんかで観たい感じ。

「パラドックス13」は、こういうSFも書いてみようか…と思って書いたのかもしれないけれど、なんだか東野さんらしくなくて…。登場人物の誰にも共感できなかったし…
しかし、この2作とも東京が舞台。たまには東野さんらしいコテコテの関西物も読みたいな~!
