今日の備忘録。ボードリヤールを引き続き読み飛ばし中。



個性化と呼ばれる地位と生活程度の追求が記号の上に成り立っていること、モノや財それ自体ではなくて差異の上に成り立っていることを理解するのは非常に重要だ。この事実だけが「過少消費」や「目立たない消費」の逆説つまり威信の超差異化という逆説を説明してくれる。それはもはや(ヴェブレンによれば「よく目立つ」)見せびらかしによってではなく、控え目な態度や飾りのなさによって示される行動、反対物に変貌する過剰な見せびらかしであり、より巧妙な差異でもある。差異化は、この場合にはモノの拒否、「消費」の拒否の形を取ることができるが、これはまた極上の消費なのである。


(略)


こうした反消費のきわめて現代的な症候群はいたるところに見出されるが、それは結局メタ消費であり、階級の文化的指数としての役割を果している。もっとも中間階級の方は、この点では一九世紀から二〇世紀初頭にかけての資本主義という巨大なダイノザウルスの子孫であって、見せびらかし的に消費する傾向がある。この点では、彼らは文化的に単純素朴なのだ。階級の全戦略がこのような状況の背後に隠されていることはいうまでもない。


J. ボードリヤール 『消費社会の神話と構造』.



消費スタイルの「差異化」。メタレベルでの差異化は、円環を描くこととなる。




消費社会の神話と構造 普及版/ジャン ボードリヤール

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