都議会議員の木下ふみこです。

 

本年4月の東京都の待機児童数は、8586人から3690人へと57%の減少となりました。

待機児童削減は、子育てしながら、仕事も続けたいというカップル、女性達にとって重要な取組です。

保育所の開設、保育士の待遇改善、多様な保育の推進を柱に、都政の最重要課題として取り組んできた成果であり、引き続き2020年3月末の「待機児童ゼロ」の公約達成に向けて努力を続けます。

 

そんな中東京のベビーシッター利用支援事業はちょっとアリエナイ」と題したブログが話題になりました。

https://www.q-p.work/entry/2019/09/15/234616?fbclid=IwAR0jjWg9-ztzfEKJfMGlOSRIDqbBKphG-fvJjbnEVAk9Zn9sVqX_BvW6tmE

 

ブログの要点は

この制度の利用者が少ない。なぜかと調べたら、「ベビーシッター料が都の補助で1時間250円(平均で2000円かかるところ)になる。」でも、確定申告の際、都の補助となった分の金額が「雑所得」扱いになり、総年収に加算され、結果「課税されてしまう」。これを知らずに利用すると、失敗する。 というものです。

 

これが本当なら、大変!!

ということで、早速、事実確認をいたしました。

 

まず、少ないとされる利用者数ですが、事業開始時期が年度末にずれ込んだため、確かに昨年度の実績は14名(5区市)と少なかったのですが、今年度(8月末時点)は 145名(13区市)と伸びています。

 

 

また、後から課税されるのか?について調べると、大変残念ながら課税されることは「事実」であり、総年収に応じて異なります

 

 

例えば、年収総額がこの補助の総額と併せて700万円となるの世帯の場合23%の課税となります。

この家庭が、ベビーシッター制度を利用した場合、1時間250円になる!と思っていたら、2000円から250円を引いた1750円に23%と区市町村の住民税10%が併せて課税(33%)され、577.5円、を確定申告で追加納税することになります。

すなわち、ベビーシッターの負担は1時間250円(もともとの負担分)と577.5円(後からの課税分)あわせた827.5円の支払いだった。ということになります。250円でベジーシッターが雇える、やったー!と思ったら、最終的に827.5円かかる。これは確かに知らないと後から「あれれ??」ということになりますね。

ま、冷静に考えれば、もともとシッター料1時間 2000円もかかるところが、827.5円で済むので、制度利用で得することには変わりないのですが。

 

 

↑ 事業の案内をするパンフレットには課税についてこのように紹介されています。

 

なんか「騙された」みたいな話にも聞こえますが、「都によるベビーシッター補助」に「課税」するとしているのは「国」であり「所得税法」によることがわかりました。都には手の施しようがないんです。。

 

さらに調べていくと、「所得税法」には除外規定があり、その中で「教育費の補助」は課税対象としない。と そもそも定められている。なので、東京都が行なっている「私立高校の実質無償化」での家庭への補助は、ベビーシッターの補助とは異なり「雑所得課税」されることはありません。でも、所得税法で除外されていない「子育て支援の補助」は課税される。何か納得が行きませんよね。

 

10月からの「幼保無償化」により、国により家庭に支給される補助はどうか?と思い調べてみると、「子ども子育て支援法」にて、所得税課税の対象としない旨、予め規定されていることがわかりました。(国は問題点を把握していたから、この法律で除外していたんだと、腑に落ちないけど、、納得。)

 

地方自治体の予算で、子育て支援したお金に国が課税するのはおかしい!

東京都は、「子育て支援につけた都の補助を課税所得扱いにすることは、仕事と家庭の両立、女性活躍の促進が喫緊の課題であるという現状に鑑みて正しくない。非課税にすべきである。」と国に要望を出し続けています。が、現在のところ色よい返答がない。という状況です。

 

↓ 以下は本年6月に都から国に提出された要望より当該部分

 

 

 

そもそも「所得税法」で東京都などの地方自治体が税金を原資とする予算から、手続きを経て必要(子育て社会推進のため等)として支出したものに、国が「課税」するのは、どう考えてもおかしいと思います。

 

子育て支援以外にも、都民・市民・住民に直接支給する形での行政支援はあると思います。同様な構造になってやしないか?心配は尽きません。

 

国の制度改善に向けてどのような働きかけをしていけるか?いくべきか?引き続き動いていきたいと思います。

 

また、ブログの筆者が訴えている「いくらの年収だといくらの課税になるのか?」などの情報提供については、都のより丁寧な対応を併せて求めていきたいと思います。