旅行記本編はコチラから。

 
 
 
 それでは、1ヶ月半近くかかって本編完結した南三陸旅行記の総括を書かせて頂きます!
 
 夏場の旅行であったが、体調不良や大きなトラブルなく旅行を終えることができた。当日の宮城は雨が降っていたこともあり、さほど気温が上がることはなかった。
 
 旅行自体の反省点といえば、大きなトラブルは特になかったが、強いて言うなら、南三陸から仙台へ向かう高速バスに乗るときだろうか。宮城交通が運行するあの高速バスは乗車定員制であり、満席であっても2号車は出ないこともある。しかも、私が乗る15:33の高速バスが最終便である。そのため、当初は13:33のバスに乗って帰ろうかと考えていたが、それでは南三陸で見たかったものの半分も見られずに帰ることになってしまう。
 万が一15:33のバスに乗れなかったときのことも考え、志津川駅からBRTと在来線を乗り継いで仙台駅へ向かうルート(志津川→柳津・前谷地→小牛田→仙台)も検索しておいた。結果的には15:33のバスに空席があったため乗ることができたが、代替交通手段・ルートを探しておくことは重要だと感じた。
 
 
 そしてここからは南三陸で感じたこと、過去に訪れた被災地と比較しながらの考察を書いていく。
 
 今回の南三陸訪問で、東日本大震災の被災地慰霊の旅は4回目となった。南三陸を訪問するきっかけとなったのが、南三陸ホテル観洋の「語り部バス」の存在だった。これまでに数々の震災伝承施設や震災遺構を見学して東日本大震災のことを学んできたが、「被災された方」からの話はまだ聞いたことがなかった。

 ホテル観洋の「語り部バス」に乗車して感じたことは、テレビや新聞等で報道されてこなかった話題の多さだ。犠牲者の数や被害の大きさだけで比較してはいけないが、「表に出てこなかった話題」のほとんどは、犠牲者が出なかった(あるいは少なかった)地域や施設のことばかりだった。実際、旧・戸倉中学校のことや戸倉小学校跡地のこと、高野会館のことは「語り部バス」に乗車して初めて知った。

 震災の話題からは外れるが、闘病もののドラマやブログなどでも同様のことが言える。闘病の末に亡くなられた方のエピソードは大きく取り上げられるが、完治(寛解)した方のエピソードが取り上げられることは非常に少ない。
 私のあるブロ友さんは、子宮がんで闘病していたある女性アイドルのエピソードを取り上げていた。女性アイドルの闘病中は、テレビなどの取材が沢山来ていたのだが、寛解した途端に取材がパタリと途絶えてしまったという。そのことに対し、ブロ友さんは「治ったらいけないの?」と問題提起していた。

 震災関連の話題でも同様のことが言える。生きていてはいけないのだろうか?もちろん、「助かったあとの生活」のことを考えると、素直には喜べないかもしれない。しかし、生きていなければ、命がなければ「その後の生活」を描くことはできないのだ。そして、「生かされた者」だからこそ語れることは沢山ある。

 早いもので、東日本大震災から12年半が経った。瓦礫は片付けられ、ライフラインは復旧し、新しい商業施設や観光施設もできた。しかし、復興事業に終わりはなく、今も現在進行形で続いている。そして、震災から12年以上が経ち、「伝承」という課題も出てきている。

 「伝承」というと、被災した人から被災していない人への伝承という意味合いが強いが、被災した「当事者」同士での伝承も大切なのだと強く思う。旅行記本編でも書いたが、語り部バスのガイドさんが仰った言葉で特に印象に残っているのが「『風化』以上に『なかったこと』になっていく」というものだ。現在は更地になっている戸倉小学校跡地を通った際、ガイドさんは「震災前から南三陸町で暮らしているけれど、(戸倉小の跡地が)以前から『何もなかった』ところのように思えてしまう」と仰っていた。
 岩手県大船渡市出身のシンガーソングライター・濱守栄子さんは、震災前の大船渡と陸前高田を歌った「あの大船渡」「あの陸前高田」をリリースしている。この2つの曲の中に「忘れたくないのに 忘れてしまうんです あの大船渡(陸前高田)」という歌詞がある。「忘れたくないのに忘れてしまう」という言葉が胸にささる。


 私はアメブロ更新の際、Twitter(X)で「アメブロ更新しました〜」のツイートを流しているのだが、南三陸ホテル観洋や南三陸さんさん商店街などの公式アカウントから「いいね」をもらえた。また、アメブロの公式ハッシュタグや「アラサー」ジャンルの人気記事にランクインしたものも多数あり、「#東北旅行」の公式ハッシュタグで1位にランクインしたこともあった。「読んでくれる人」の存在は本当に励みになる。改めて、お読み頂き本当にありがとうございます!

 東日本大震災から12年半、亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。


 以上をもちまして、「2023 南三陸慰霊の旅」は完結となります。お読み頂きありがとうございました!
 そして次回からは「新連載」が始まりますのでお楽しみに〜!