『あるヨギの自叙伝』(著者:パラマハンサ・ヨガナンダ)からババジについて記述されている内容を紹介したい。ババジは公に姿を現したことはないが、数世紀にわたって人類の進化を助ける仕事をしていたと書かれている。

「わたし(ケバラナンダ)は、ババジについて驚くべき出来事を二度目撃したことがある。ある晩、ヴェーダの儀式が行われたとき、弟子たちが大きなかがり火を囲んですわっていた。すると大師は、突然一本のあかあかと燃えたたきぎを取り上げて、傍らにすわっていた一人の弟子の裸の肩を軽く打たれた。

『師よ、何という事を!』同席していたラヒリ・マハサヤが驚いて抗議するように言った。

『お前は、この男が過去のカルマの定めによって、お前の目の前で焼け死ぬのを見るほうがよいのか』

ババジはこう言われると、その弟子の焼けただれた肩に癒しの手を置かれた『わたしは今夜、お前を無残な死の運命から救ってやったのだ。このわずかなやけどを受けたことによって、お前のカルマは果たされたのだ』

 またあるとき、ババジを囲むこの聖者たちの一団に、一人の闖入者が現れた。彼は、大師のキャンプに近い崖の上の岩棚に、みごとな巧みさでよじ登って来た。

『大師よ、あなたは偉大なババジに違いありません』…」

その男はババジに弟子にしてくれるよう頼んだがババジは返事をしなかった。

「『もし受け入れていただけなければ、私はここから飛び降りて死んでしまいます。大師の、霊のご指導を受けることができないなら、私はもう生きていても無意味でございます』

『では飛び降りるがよい』ババジは冷然とお答えになった『わたしはお前を、今のままでは弟子にすることはできない』

 男は崖下めがけて身を投げた。ババジはぼう然とこのありさまを見ていた弟子たちに、男の支隊を取って来るようにお命じになった。見るも無残な男の死体が運ばれて来ると、大師はその上に手をお置きになった。すると、どうだろう!男はパッと目を開いて、全能の大師の足もとにひれ伏したのだ。

『これでお前は、わたしの弟子になる資格ができた』ババジは、死からよみがえった弟子をにこやかに見ながらおっしゃった『お前は勇敢にも、このきびしい試練に打ち勝った。、死は、もう二度とお前を見舞うことはないだろう。今こそお前は、われわれ不滅の仲間の一員になったのだ』こう言われるとババジは、例によって『デーラ、ダンダ、ウタオ』という出発の合図を口にされた。そして、一行の姿はその山から消えてしまった」

 ヨガナンダはババジが公表してもよいと考えているごく少数の事実をこの本に書いた、と述べている。