第25回 末松理事長AMEDを去る

 

3月31日、末松理事長が5年の任期を満了し、職員に見送られてAMEDを後にした。

 

退任にあたり、末松理事長は職員に対し、次のような挨拶をした。

自分は慶応義塾大学医化学教室に戻るが目下の課題は新型コロナウイルス感染症対策である、引き続き自分なりに取り組んでいく、午前中官邸に総理を訪ねて退任の挨拶とともに新型コロナウイルス感染症対策に対して自分ができることに努力したい旨お伝えした、船長は最後に船を下りるものだが自分はやむなく先に下りる等々。

 

そして、感謝の言葉で締めくくる前に、「みなさんには明日から良い仕事をしてほしい」と述べた。深い深い意味、思いが込められたように思えてならない。

 

さらに、記念の花束を手にした末松理事長は、出口に立ち、会場を後にする参加者一人一人に改めて「ありがとう」「お世話になりました」「お元気で」と声をかけたのである。

それは全員が退出するまで続いた。それは挨拶の時間よりも長く続いた。

 

 

大坪次長が健康・医療戦略室を去ることになった。AMED担当室長の任も解かれる。しかし、厚労省審議官としては仕事を続けるのだ。

 

末松理事長退任と大坪次長解任を「喧嘩両成敗」と評するメディアがある。とんでもないことだ。そもそも比べるべきでないし、並べることがおかしい。

末松理事長の退任によりAMEDが失うものは著しく大きい。それは末松理事長が不在となってから、日を追うごとにはっきりと表れるであろう。他方で、大坪次長の残した爪痕はしばらくは消えないであろう。何ら価値が生まれるわけではない、そもそもマイナスを時間をかけてゼロに戻せるかという話である。

 

AMED第2期が始まる。健康・医療戦略室も含めた新体制のもとで、どのような価値を創出できるだろうか。新型コロナウイルス感染症対策もこれからが本番である。まだまだ課題は山積だ。

 

 

日本の医療研究開発が歪められている。