第18回 AMED理事長人事を通じて官邸が示す見識

 

AMEDの理事長人事が大詰めを迎えている。

 

理事長人事は、以下のように進められる。(再任、新任いずれも同じ。)

 

正式な手続きに先立って、水面下の事前調整・根回しがあるがここでは深入りしない。

 

正式な手続きは、官邸の人事検討会議から始まる。官房長官と3名の官房副長官がメンバーである。

次に、理事長に対して内示がなされる。官邸に出向くことになろう。

そして、閣議了解。

それから、健康・医療戦略推進本部における意見聴取。

日本医療研究開発機構法第8条の「理事長を任命しようとするとき(略)は、あらかじめ、健康・医療戦略推進本部の意見を聴かなければならない」との規定を受けたプロセスだ。

最後に、発令。総理から辞令の交付を受ける。

 

 

具体的な日程も見えてきた。

官邸での人事検討会議が今週開催されるという情報はすでに先週耳に入っていた。

16日は重要な手続きのデッドラインであるが、「狡猾なシナリオ」に関係するため、何の手続きかは今は書けない。いずれ明かそう。

いずれにせよ、内示は16日よりも後のはずだ。おそらく18日か19日である。

そして、健康・医療戦略推進本部は27日開催だ。

閣議了解は24日、あるいは戦略本部と同日だろう。

国民が知るのは3月下旬というわけだ。

 

私の承知する限り、内示があったという情報はまだない。

 

4月からの新体制が3月半ばを過ぎて、いまだに確定していないという異常さ。末松理事長が続投するかどうかが確定していないのである。万一、末松理事長が続投しないとなれば、新しい理事長が着任するのである。

 

健康・医療戦略室はこれまで常にAMEDに「組織のガバナンス」を声高に要求してきた。対して、司令塔としての対応の実態がこれだ。「組織のガバナンス」を最大に阻んでいるのは一体どこの組織なのか。そもそもここまで意思決定を遅らせたのは和泉補佐官の意向であろう。相当部分が、和泉補佐官のシナリオに沿って進んできていると考えざるを得ない。

 

 

しかし、今回の判断は官邸の見識を示すものとなる。

 

私は末松理事長を支持する。続投を渇望している。

このブログでずっと書いてきたように、和泉補佐官と大坪審議官、それに対して、末松理事長と山中先生が対立構造にある。

和泉補佐官と大坪審議官は間違っている。国民を裏切っている。国益を損なっている。それに対して、末松理事長と山中先生は、立場は異なるが、健康医療の研究開発を具体的に進め、自ら担い、良くしようと努力を重ねている。

 

理事長人事を巡る今回の判断は、端的にいえば、末松理事長を選択するのか、和泉補佐官を選択するのかを明確に示すものとなる。果たして官邸は、末松理事長と和泉補佐官のどちらを選択するのか。

 

私が末松理事長を支持するのは、個人的な好き嫌いではなく、理事長が原理原則の人であるからだ。その原理原則とは、日本の医療研究開発の向上を最優先すること、サイエンスに基づくこと、公平であることである。ここでいう医療研究開発の向上とは、患者さん、国民の利益を守るということだ。自分の利益ではない。理事長人事は、官邸が、こうした「原則」を守ろうとする見識を示す機会だ。

 

信なくば立たず、という。官邸が、万一和泉補佐官を「選択」した場合、信頼はどうなるか。立っていられるか。

 

理事長人事を巡る官邸の決断を関係者が固唾をのんで見つめている。

 

 

日本の医療研究開発が歪められている。