日本の人々は中国の軍事力を恐れているが、それは長いあいだ平和憲法を掲げて、
自分で国を守る体制を作ってこなかったせいである。

日本は、艦艇や航空機というハードウエアは持っているが、
それをいかに使うかという戦いのソフトを持っていないので、
ひたすら中国の軍事力を脅威に感じるのだ。

だが中国軍の実力はミサイルや衛星攻撃ミサイルの一部を除けば、技術的に劣っているため、
恐ろしく思う必要は全くないとアメリカの専門家は指摘している。


「アメリカの原子力潜水艦一隻で中国海軍の百隻の潜水艦を相手にすることができる」


アメリカ海軍の首脳がこう言っていたが、中国が作っているという航空母艦についても、
アメリカの専門家は少しも心配していない。中国海軍の増強についてもこう述べている。


「遠洋型海軍を運営しようと思えば、世界的な情報収集体制や通信体制が必要になる。
また抑止力としての戦力を維持しようとすれば、最低四つの機動艦隊、つまり四隻の空母が必要だ」


中国海軍が作っている潜水艦や艦艇の能力は総合的に見れば、日本の海上自衛隊にもかなわないと、
この専門家は指摘している。


「中国の潜水艦を恐れる必要は全くない」


アメリカ海軍のラファエッド海軍作戦部長もこう言った。
アメリカ海軍は中国の軍事力増強の目的が不透明なことについて苛立っているが、
中国の軍事力そのものは少しも恐れていない。

中国は驚くべき経済の拡大を実現し、軍事力を強化しているが、
実際には国のまわりを敵性国家に囲まれている。

このため指導者たちは常に「国が危険な状態にある」と心配している。
軍事力増強の最大の理由はこの心配をなくすためであろう。

中国の危機は、経済問題だけが理由でやって来るのではない。
中国はいまや統一国家として存続していくには、あまりにも多くの問題をかかえている。
まず中国の政治体制がいつも不安である。

中国は共産主義革命に成功し、共産党による国家を設立したが、
国内は依然として安定していない。

内戦に勝ちそれに続く数々の動乱を乗り越え、
経済を発展させてきた中国共産党の首脳には依然として幾つかの心配の種がある。

その第一は、中国人民解放軍に敗れた蒋介石の軍隊にいた数百万を超す人々が逃げ散って、
民衆の中に入り込んだことである。

蒋介石は四隻の軍艦に、北京の故宮博物館から持ち出した美術品を積んで台湾に逃れたと言われているが、
自分に味方した人々をすべて連れて行ったわけではない。

国民党の指導者や兵士たちは、内戦に負けたが滅ぼされたわけではないのである。

北京政府が懸念しているのは、国民党軍とその末裔が野に潜んで反撃する機会を伺っているのではないかということである。
そうした人々が台湾と連携して事を起こすことを恐れいている。

中国大陸に比べれば、小指の先の大きさもない台湾の独立を恐れているのもそのせいである。



”その3”へつづく