あらゆる点で、一流国である日本が尊敬されないのは、あまりにも遅れ
た政治の仕組みのせいである。

アメリカをはじめ、世界の民主主義国家では、政治家というのは国内の
ことだけでなく、世界のことを考えるべきだと思われている。
ところが日本は長いあいだ日米安保条約に守られてきたために、世界の
安全に責任を持つという考えが消えてしまった。

世界の安全に責任を持たなくなった結果、日本の政治家の多くは権力と
保身、そして金儲けのみを考える物質主義の人々になってしまった。
昔は「井戸塀政治家」という言葉があった。自分の政治理念を実現する
ために自身の金を使い果たし、残ったのは井戸と塀だけになった政治家
が大勢いたのである。だが、当今の政治家は政治で儲ける。

資産家の出身ではない元首相が富士山をのぞむ別荘地に二つの豪邸を構
えており、一つは純和風、もう一つは洋館で息子のものだ。

つまり政治家になってから金持ちになったわけだ。

こうした政治風土の中では当然のことながら汚職が横行する。
日本が国際社会で尊敬をなくし、結果的に国家利益を失っているのは
この政治のせいである。六ヵ国協議で拉致問題に同情が集らないのも
そのせいである。


中国をはじめ日本に批判的な国々の指導者は、日本は日米安保条約という
アメリカの強力な傘の中で安全を維持してきた弱虫だと思っている。
日本が卓越した経済力を持ちながら世界の中で孤立し、六ヵ国協議の中で
も浮き上がっているのは、世界とのかかわりに責任を持つべき指導者が、
的確な世界観と歴史観を持っていないからである。

六ヵ国協議でも、拉致問題にとらわれすぎて他の国々から疎外されてしまっ
たのは、日本の指導者が安全保障や外交の問題をすべてアメリカに任せて
きた結果、世界を自分のものとして考えるワールドレベルの政治家が日本
にいないからである。

歴史的に見れば第二次大戦後、国際的に重要な問題が二つある。
一つは広島、長崎の悲劇をくり返さないこと、もう一つはユダヤ人の抹殺
を図ったヒトラーのホロコーストを二度と起こさないことである。

世界の指導者はこの二つのタブーを大切な指標として行動してきているた
め、北朝鮮の核と金正日の存在が国際社会で最も危険だと見るのである。

だが世界観と歴史観を持たない日本の指導者は、拉致問題以外はこれまで
通りアメリカに任せておけばよいと考えている。
自分たちは国内政治の立場から拉致問題のことだけを考えればよいと思っ
ている。

このため日本は六ヵ国協議の中で孤立し、ワシントンからも見放されてし
まったのである。



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