アメリカの歴代大統領は冷戦体制の中で、形の上だけとはいえ
重要な同盟国である日本の総理大臣を極めて優遇した。

総理大臣だけではなく実力者達も大歓迎を受けた。

当時の田中角栄大蔵大臣や福田赳夫外務大臣は、ワシントン郊外の
アンドリュース空軍基地に到着し、そこからヘリコプターでホワイト
ハウスやワシントンモニュメントまで送られ、国賓待遇の歓迎を受けた。

そうしたこれまでの歴史的な事実から見ると、安倍元首相に対する
ブッシュ政権の対応は極めて冷淡だったと言うほかない。
日本のマスコミの中にはブッシュ大統領夫妻がホワイトハウスから
通りをへだてたブレアハウスまで迎えに行った事を「まれにみる歓迎」
と書いたところもあったが、勉強不足というほかない。

これまでもさほど重要ではない外国の大統領や首相を迎える時に
しばしばやっていることなのだ。

関係者が明らかにしているところによれば、アメリカ側は安倍元首相を
国賓待遇にしないことを最初から通告してきている。「国賓としては
招きませんよ」というメッセージは外交ルートを通じて安倍元首相に
伝えられていた。

本人もそれを知っていたはずだが、国民の前には非情に格好の悪い
ことだったのは確かだ。


ブッシュ元大統領と一緒に「北朝鮮には今後も厳しい姿勢で臨む」という
声明を出したものの、北朝鮮で日本が疎外され続けることは間違いない。
拉致問題についても十分な同情を受ける事も厳しいだろう。

このことは日本がいかに国際社会の中で受け入れられていないかを
示している。

長い間多くの経済援助を世界中にばら撒き、平和主義の象徴のように
見られてきた日本は、実際には国際社会で孤立している事を示している。

日本が国際社会の中で権威を持って存在し続けるためには、積極的に
世界の安全を守るための努力を始めなければならない。

世界はこれから冷戦時代とは異なった形の核戦争の危険にさらされ
ようとしているのだ。

残念ながら世界で日本を尊敬すべき国だと思っている国は極めて少ない。
アニメや剣道を含めた日本文化と優れたモノ作りは尊敬されているが、
国家としては尊敬されていない。

その最大の理由は、世界の安全を維持するために日本の政治家が
責任ある行動を全くとっていないからだ。国際的に見れば
「美しい日本」などというのは、たわ言に過ぎない。

歴史的に見れば、経済大国になったいまの日本よりも第二次大戦の前の
日本の方が尊敬され、美しいと考えられていたようだ。



キラキラフミワートキラキラ