岩手の地名の由来となった盛岡市にある三つ石神社の鬼の手形の
伝説から宇宙人の実在を導くのは相当な難題である。なにしろ、
語り伝えられているデータが少な過ぎる。

「日本伝説大系」とか「民俗伝説全集」などいくつかの書物を紐
解いてみても、詳しい話が掲載されていない。

こうなると「岩手百科事典」に紹介されている文章しか頼りにで
きない。しかしそれとて、いつの頃からか三つ石神社の周辺に鬼
が住み着いていて、本物の神によって退治されたという程度のも
のだ。

私とて岩手の鬼伝説から鬼が宇宙人であるという仮説を思いつい
たわけではない。他の地方の伝説や鬼の文献を探っているうちに
辿り着いた仮説である。

だが、その仮説が正しいものなら、岩手の鬼伝説もまた宇宙人に
結び付かなくてはならない。真理に多くの例外があってはならな
い。確信を持って岩手の鬼伝説に取り組んだものの、初期段階で
類推するための資料の少なさに阻まれたというわけだ。

もし、鬼が空を飛んで現れたとか、不思議な武器を持っていたと
いういちぶんでもあれば、それ見たことかと勝利を宣言したであ
ろうが、資料にはただ鬼とあるだけで他の情報がいっさい見られ
ない。しかし、三つ石神社に奉られている神が少彦名神(すくな
ひこなのかみ)だという説明を発見した。

これぞ正しく私が求めていた手がかりであり、解答といっても差
し支えない。簡単な説明をする。

少彦名神は出雲の大国主命の国作りに大いなる手助けを果たした
神様で、高天原から天之羅摩船(あまのかがみぶね)に乗って出
現した小人である。子供のように小さかったので少彦と呼ばれ、
おとぎ話の一寸法師の原型とも言われている。

羅摩という名称もつるつる磨かれた円形からきている。つまりは
円盤に乗った小人タイプの宇宙人だ。衣服もきらきらと輝くもの
だったらしいから宇宙服と思える。むろん、これだけの描写で短
絡的に宇宙人だと断定したのではない。

彼は大国主命が国作りを終えると、責任を全うしたと言ってふた
たび高天原に戻った。

大国主命は途端に不安に駆られた。一人では広い国を治めきれな
い。大国主命は少彦名神と出会った浜辺に立って、もう一度戻っ
てくれるように嘆願した。すると海の彼方から光り輝く球体が出
現したのである。球体は海の上に浮かんで一直線に大国主命の頭
上にまで接近してきた。大国主命が驚愕教していると球体から大
きな声が響きわたった。

私はあなたの幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)である。
私はいつもこうして空から見守っている。だから安心して国を治
めなさい。そう言うと球体は消え去った。大国主命の不安も霧散
した。

文脈から考えるに球体の中に居たのは少彦名神と見て間違いない。
そして、今の我々の知識から言うと、球体はUFO以外に考えられな
いではないか。信じられない話だろうが、これは「古事記」にちゃ
んと記載されているエピソードだ。

少彦名神が宇宙人だという仮説は九割以上の確率で当たっている
と私は確信している。

その神が鬼伝説の残されている三つ石神社に奉られているのは決
して偶然ではない。調べれば分かることだが少彦名神を主神とす
る神社は案外と少なくて、しかもたいていが宇宙と関係する伝説
を持つ神社となっている。

鬼という宇宙人が本拠地としていたから三つ石神社が創建された
のか、あるいは少彦名神が現れて悪党を退治してくれたので神社
が作られたのか。いずれにしろ古代に宇宙人が盛岡近郊に飛来し
た可能性は高い。ここでもまた伝説の奥深さに唸るしかない。



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