この淡水魚、タイリクバラタナゴが正式な呼称であるが、

北川辺周辺ではタランぺラン、あるいはタナンぺナなどといっている。

夏になると赤や青の婚姻色が美しい小魚である。

ドブガイ(カラス貝)に産卵することで知られる。

最近、外来種のジャンボタニシなるものがじわじわ生育域を広げているが、

このジャンボタニシにも産卵するそうである。

 

このタランペラン、同じ魚をお隣の古河ではアカメンタンと呼ぶ。

少年時代、沼や堀で魚釣りしている時、普段見かけぬ子供たちも

釣りをしていて「アカメンタンが釣れた」なんて言っている。

のぞいてみるとタランペランなので、「なんだタランペランじゃないか」

と言うと「違うよ。アカメンタンだ。」ムキになって言い返す。

この言い合いは永久に平行線。

 

三流亭のご近所のほぼ同世代のおじさんがやはりアカメンタンと言う。

古河ではないが伊賀袋出身なので、なるほど伊賀袋は百年ほど前は

茨城県だったからなあと思い至る。

 

タランペランのタラン・タナンは「タナゴ」、ペラン・ペナは「フナ」

の転訛かと思われる。

タランペランもアカメンタンもこの小魚を知る人から見たら「なるほど」

と思わされる、なかなかに優れたネーミングではないか。

しかし、タランペランもアカメンタンもどんな方言辞典にものっていない。

また、この辺で最も簡単に釣れる雑魚、いわゆる「クチボソ」を

「バイラ」と言っていた。

「ハヤ等(ら)」の転訛かと思われる。

正式な呼称は「モツゴ」だそうである。

 

魚の名前は地方により様々な呼び方があるが、

淡水魚は琵琶湖での呼び方が標準となるそうだ。

なお、海の魚の標準は東京・旧築地市場だそうである。