一月に帰省したとき、なぜか置きっぱなしにしてしまっていた若松英輔さんの詩集を自宅へ持ち帰った。
大学を卒業してすぐだった五年ほど前に購入したのだと思うけれど、当初はここにある詩たちのもつ厳かさのようなものに少し気遅れしてしまっていたように思う。
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この二、三月はこの詩集を何度も開いた。
特に、「巫女の助言」という詩をよく読んだ。
苦しさに体が疼くとき、
そこにある言葉を心に浮かべた。
要約などできないけれど
悲しむべき悲しみとは思えない苦しみに
うめく思いをして
どうしたってこの身を
愛せないように思えるそんな瞬間に
その苦しみをこそ
あなたはおささげしなさい
というようなメッセージを感じている。
私は宗教的な意味においてはささげるべき先をもたない人間だけれど、ここしばらくで、どれほど救われたかわからない。
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まじめに在ろうとする自分を茶化さなくなり、感じ・考えることをいちいちもぐら叩きせずに済むようになってきたという変化が、
若松英輔さんの言葉を、自分なりに正面から読めるようになってきた理由のように思う。
