誉獅子雄と若宮潤一は、資産家の蓮壁千鶴男からリモートで調査依頼を受けました。千鶴男のもとに、娘の紅を誘拐した犯人から脅迫状が届き、鉱山にある金庫に身代金を準備しましたが、犯人は現れず、帰宅すると紅が解放されていたという奇妙な事件が発生しました。獅子雄らが詳細を尋ねると、突然千鶴男が倒れ、その後息子の千里が帰宅しました。

千鶴男は亡くなり、獅子雄らは警察署で事情聴取を受けました。そこで、顔見知りの刑事から、千鶴男の死因は狂犬病であり、足首に傷があり、誘拐事件の日に赤い目の犬の写真を撮っていたことを聞きます。

獅子雄らは千鶴男の遺産を目的とした殺人と考え、娘の誘拐も含めて調査するため、千鶴男の家族が住む霞島へ向かいました。蓮壁家には現在、娘の紅、妻の依羅、使用人の馬場杜夫、愛犬のヴィルが住んでおり、千里は千鶴男の葬式のために戻ってきていました。また、蓮壁家のリフォームの見積もりをしている冨楽朗子や、千里の小学生時代の家庭教師だった捨井遥人が蓮壁家を出入りしていました。

獅子雄らは紅の誘拐事件当時の状況について話を聞きました。紅はバイト帰りに誘拐され、気づいたときには自宅の前にいたと証言します。獅子雄らが千鶴男が狂犬病で亡くなったことを伝えると、依羅、紅、馬場は「黒犬のたたり」として怯えました。霞島には、墓に最初に入った人は成仏できないとされ、身代わりに黒い犬を殺して墓に入れるという迷信がありました。

馬場は「直ちに立ち退かなければ、黒犬の制裁を受ける」という脅迫状が数回届いていることを打ち明けました。これらの脅迫状は新聞の切り抜き文字で作られており、紅の誘拐事件の脅迫状も同じ形式でした。千里は捨井を疑っており、捨井は大学で地震を予測する研究を行っており、蓮壁家がある地域で大地震が起こると訴えていました。

獅子雄は独自に捜査を始め、若宮は蓮壁家で紅らの行動を見張っていました。若宮は蓮壁家の会話を盗み聞きし、紅がキャバクラでアルバイトをしていたことを知ります。

金庫の中の遺言書を取りに行くために鉱山に向かった千里が遺体で発見されました。千里も赤い目の犬の写真を撮っていたことが判明します。依羅は千里の死を受け入れられず、憔悴していました。

獅子雄は立ち退きの脅迫状の差出人を突き止めました。捨井の研究室にある貯金箱からは、小銭以外の音が混じっていたためです。捨井は紅に好意を抱き、地震発生後に脅迫状を送ったのは自分だと打ち明ければ、彼女が振り向いてくれると考えていました。

若宮は獅子雄の指示で紅に睡眠薬を飲ませ、その後鉱山に向かいました。鉱山で赤い目の犬を見た若宮は平静さを失い、そこに獅子雄が現れました。その後、朗子と彼女の夫、さらに甥も到着しました。赤い目の犬の正体は犬に模したドローンで、甥が朗子らに頼まれて操作していたことが判明しました。

20年前、冨楽夫妻は娘の碧海を誘拐されました。捜査が打ち切られた後も、朗子らは諦めずに碧海を探し続けました。ある日、街中で碧海と目がそっくりの紅と出会い、朗子らは後を追い、蓮壁家に辿り着きました。朗子はリフォーム業者として蓮壁家に侵入し、紅の歯ブラシでDNA鑑定を行い、その結果親子関係が確認され、紅に真実を打ち明けました。

真実を知った紅は、蓮壁家の遺産を狙い、千鶴男らの殺害を計画しました。千鶴男と千里は、朗子らが闇サイトで入手した狂犬病ウイルスを傷口に塗られ、殺害されていたことが明らかになりました。

獅子雄らは蓮壁家へと戻りました。そこでは、紅が眠ったままで、依羅は亡くなっており、馬場は首を吊って死亡していました。馬場は遺書を残していました。

遺書によれば、20年前、蓮壁家には娘の紅がいました。しかし、依羅が目を離した隙に紅はお風呂で溺れてしまいました。馬場は依羅と紅を車に乗せて病院へ向かいましたが、紅は途中で亡くなりました。その際、依羅は千鶴男に叱られるのを恐れ、碧海を連れ去って紅の代わりにしたのです。

依羅は長男の千里が生まれてから、紅に対する愛情を失い、千鶴男も紅が誘拐された碧海であることに気づいていましたが、冷たく接していました。紅は、実の両親に再会できたことと、殺害計画を伝えてくれた馬場に感謝していました。馬場は紅の代わりに依羅を殺し、自ら命を絶ちました。

獅子雄らは、冨楽夫妻と依羅、馬場の遺体を残し、「碧海が目を覚ましたら自首する」と言い残して蓮壁家を去りました。その後、大地震が発生し、目を覚ました碧海は家族3人で死ぬことを望み、冨楽夫妻はそれを受け入れました。最終的に、蓮壁家は崩れてしまいました。