佐藤鈴子(蒼井優)は、短大を卒業後、就職活動に失敗し、レストランでアルバイトをする日々を送っていました。そんな中、友人のリコ(平岩紙)からルームシェアの提案を受け、実家を出てリコと一緒に暮らすことになります。しかし、リコは鈴子に黙って彼氏(弓削智久)も同居させる計画を立てており、リコの彼氏が先に転居先に引っ越すことを告げます。

引っ越しの日を迎えた鈴子ですが、直前にリコとその彼氏が別れてしまい、リコとは一緒に住めなくなります。結果的に、転居先には鈴子とリコの元彼氏だけが残る形となり、家賃を一人で払えない元彼氏と鈴子はしばらく同居することになります。

ある日、鈴子が道端で捨てられていた子猫を拾って家に持ち帰りますが、同居していた男は鈴子の留守中に子猫を捨ててしまいます。怒った鈴子は男の荷物を無断で廃棄し、この行為が警察沙汰となり、鈴子は拘置所へ送られてしまいます。

出所後、鈴子は実家の団地に戻りますが、家族との関係はぎくしゃくしています。ご馳走が並べられたテーブルで腫れ物に触るように接する両親と、頭が良く私立中学校を目指している弟(齋藤隆成)から前科者として疎ましく思われてしまい、鈴子は居心地が悪くなります。そして、「100万円貯まったら出て行きます!」と宣言する

鈴子は複数の仕事を掛け持ちして100万円を貯めると、海辺の町へ引っ越すことを決めました。最小限の荷物だけを持って新たな場所に移り住んだ鈴子は、自作のカーテンを取り付けた部屋で生活を始め、近くの浜辺にある海の家でアルバイトを始めます。初めての海の家でのバイトでしたが、鈴子はカキ氷作りの才能を店主(斎藤歩)から認められ、順調に仕事をこなしていきました。

ある日、地元の青年ユウキ(竹財輝之助)に声をかけられた鈴子は、気乗りしないまま彼に誘われてパーティに参加します。ユウキからのアプローチを受けますが、鈴子は100万円を貯めたら次の場所に引っ越すという自分の計画に従い、そのまま海辺の街を後にします。

次に鈴子がたどり着いたのは、山間部のとある村でした。ふと立ち寄った喫茶店で、マスター(笹野高史)から桃農家を紹介され、住み込みで働くことになります。鈴子は、女性に不慣れだが心優しい晴夫(ピエール瀧)と、同じく優しい彼の母親(佐々木すみ江)に迎えられ、農家のお手伝いとして住み込みのアルバイトを始めました。

鈴子は桃の扱いを褒められ、仕事も順調に進んでいました。しかし、仕事を紹介してくれた喫茶店のマスターから、村おこしのための“桃娘”に任命されそうになります。鈴子の意志とは関係なく話が進んでいき、鈴子は改めて桃娘を辞退したいと申し出ますが、村人からよそ者として非難されてしまいます。

困り果てた鈴子は、自分が前科者であることを村人に告げ、その場を去ります。村に居づらくなった鈴子は、晴夫や農家の人々に挨拶をし、村を後にするのでした。

次に鈴子がたどり着いたのは、東京からほど近い地方都市でした。ここで彼女はホームセンターのガーデニングコーナーで働き始め、同僚の中島亮平(森山未來)と出会います。中島は大学生で、鈴子と同い年であり、控えめで真面目な青年でした。彼から仕事を教わるうちに、鈴子は徐々に心を開くようになっていきます。

ある日、一緒にお茶を飲んでいるとき、鈴子は自分の過去を打ち明ける決心をします。彼女は前科者になった経緯と、自分から逃げるために100万円を貯めては別の場所に引っ越しをしていることを中島に話します。話しているうちにいたたまれなくなり、鈴子は逃げるように喫茶店を後にしますが、中島は彼女を慌てて追いかけてきます。

鈴子は、自分が前科者であることを話したことで軽蔑されるのではないかと恐れていました。しかし、中島はそんなことはなく、彼女を引き留めて「好きです」と自分の想いを伝えます。この告白により、鈴子は中島の家へ行き、彼のために夕食を作ることになります。

その後、二人は付き合い始め、幸せな日々が続いていきます。鈴子は新しい場所での新しい生活に満足し、中島との関係を大切にしながら、穏やかな時間を過ごしていくのでした。

鈴子と中島が付き合い始めてしばらくすると、ガーデニングコーナーに新しいアルバイトの女性(悠城早矢)が入ってきます。彼女は中島と同じ大学の学生であり、中島から指導を受ける様子を鈴子は気にかけていました。さらに、中島はいつの間にか鈴子に金を無心するようになり、鈴子の不信感は募っていきます。

ある日、鈴子は中島に自分を本当に好きなのか、お金があるから付き合っているのではないかと問い詰め、中島に別れを告げます。

その後、鈴子は学校でいじめを受けている弟からの手紙を読み、弟がいじめっ子に立ち向かったことを知ります。彼女は、自分が環境を変え続けても変われていないことに気づき、涙します。鈴子は新しい環境で地に足をつけて生きる決意を固めます。

鈴子はバイト先で挨拶を済ませ、去ろうとしますが、中島は借りていたお金を返します。中島は鈴子がこの街から去らないように、わざとお金を借りていたのです。そのことを告げずに見送った中島は、自転車を走らせて駅まで鈴子を追いかけます。

鈴子の姿は見当たらず、あきらめて帰ろうとする中島の近くには、荷物を抱えて駅の階段を上がる鈴子の姿がありました。彼の存在を感じて一瞬振り返る鈴子でしたが、すぐに前を向き直し、次の目的地へと歩き出します。