映画「空飛ぶタイヤ」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。

 

リストラ

赤松運送の事務所では、経営難に直面した専務の宮代がリストラを提案し、従業員とその家族を守りたいと主張する赤松社長と激しく対立していました。

この緊迫した雰囲気は従業員たちにも伝わっており、昼休みに赤松が若手整備員とキャッチボールをしていると、整備員がリストラの不安を口にします。

そんな時、宮代が一枚のメモを持って駆け込んできます。

メモには警察署の名前と、従業員が運送中に事故を起こしたことが記されていました。

 

事故

赤松は急いで警察署に向かい、そこで歩道を歩いていた女性が事故に巻き込まれて亡くなったことを知らされます。

別室に案内されると、事故を起こした従業員が沈んだ表情で座っており、事故の状況を語り始めます。

緩やかなカーブを曲がっている時に突然タイヤが外れ、その勢いで歩道の女性を直撃してしまったのです。

事務所に戻り、事故を起こしたトレーラーの整備履歴を確認すると、直前に整備を担当していたのは若手整備員でした。

赤松は整備員を呼び出し、事故の重大さを説明しますが、整備員の不服そうな態度に激怒し、解雇を宣告します。

 

取引停止

翌日、運輸局が監査に訪れ、赤松運送の書類を調査します。

その際、解雇された若い整備員のロッカーから、法定以上の詳細な整備項目が記載された自作の点検表が見つかり、事故を起こしたトレーラーの整備が万全だったことが判明します。

赤松は解雇した整備員に謝罪し、会社に戻ってもらうよう頼みます。

整備員が復帰し、運輸局の監査も問題なく終了しますが、警察の疑念は晴れません。

事故車両の検査は生産元であるホープ自動車が行うため、その結果を待つことになります。

ホープ自動車の検査が問題解決の鍵だと知った赤松は、取引先のホープ自動車販社に連絡し、検査の迅速化と途中経過を求めます。

しかし、ホープ自動車は大企業であり、販社の担当者が連絡しても特別な対応は期待できず、検査は進みません。

さらに、長年の得意先から取引停止を宣告され、会社の運営が一層困難になります。

 

新聞記事

赤松はメインバンクであるホープ銀行に追加融資を求めますが、冷たく拒否されます。

家に戻ると、事故の影響が家族にも及び、子供が学校で「父親は人殺し」と罵られていました。

ホープ自動車からの検査結果は、赤松運送の整備不良を示すものでした。

この結果を受けて警察は赤松運送に家宅捜索を行います。

業を煮やした赤松はホープ自動車の販社の担当者に詰め寄り、本社の担当者の名前を聞き出して直接コンタクトを取ろうとします。

赤松はホープ自動車本社のカスタマー課課長の沢田に事故の再調査を依頼しますが、沢田は自社の検査結果を信じて取り合いません。

そんな中、宮代が赤松に新聞記事を見せます。

 

上司から叱責

その記事には、赤松運送と同様にタイヤが脱輪する事故が記載されており、トレーラーはホープ自動車製でした。

宮代はこの類似事故に真実が隠されているのではないかと提案します。

赤松は事故を起こした運送会社を訪ね、状況を聞き出し、トレーラーの構造上の欠陥ではないかと考え始めます。

赤松は沢田に会うべく連絡を取り続けますが、沢田は応じません。

品質管理部の室井が沢田に赤松運送のクレームについて質問します。

沢田は取り合っていないと答えますが、違和感を覚え、同期の車両製造部の小牧に連絡し、事故の情報を探ります。

その頃、赤松運送では事故原因を独自調査する意思を固めますが、事故原因となるパーツだけがホープ自動車から返却されていないことに不信感を募らせます。

小牧は情報網を駆使して後輩から情報を得て、ホープ自動車の『T会議』という極秘会議の存在を知ります。

沢田は会議中の室井に詰め寄り、事件はリコール隠しではないかと問い詰めますが、室井は取り合いません。

沢田は上司から叱責を受け、介入をやめるよう指示されます。

 

リコール隠し

赤松からの電話に応じた沢田は、「部品が返却されないのはホープ自動車として返せない理由があるのでは?」との指摘を受けます。

沢田と小牧は深夜に品質保証部の事務所に忍び込み、T会議の情報を入手します。

そこで常務の狩野が関与していることを知ります。

狩野はホープ銀行にクレジットラインを申し入れ、事故については整備不良と責任転嫁します。

ホープ銀行融資担当の井崎はホープ自動車への融資に嫌悪感を抱きます。

井崎の元に週刊潮流記者の榎本が現れ、内部告発があり、事故はリコール隠しである可能性が高いと告げます。

井崎は榎本の話を聞き、ホープ自動車への支援を止めます。

榎本は赤松に接触し、リコール隠しの件を伝えます。

沢田と小牧の元には品質保証部の杉本が現れ、杉本はリコール隠しを内部告発した張本人でした。

 

国交省への報告書

沢田は実名で社長への直訴状を作成しますが、狩野は沢田と杉本を遠隔地に左遷しようとします。

赤松に対し、部品返却が遅れるお詫びとして一億の保証金を申し入れますが、赤松は被害者遺族の悲しみを見て妥協せず、対応の悪さを理由に遺族から訴えられます。

週刊潮流へのリコール隠し掲載も財閥の政治的圧力で没にされました。

赤松はホープ自動車の隠蔽による事故を追及するため、リストの会社を訪問しますが無駄でした。

富山ロジスティックという運送会社で新車トレーラーが事故を起こした情報、社内調査報告書、国交省への報告書を入手します。

 

結末

国交省への報告書には、事故の原因がホープ自動車製トラックで多発していた箇所と記載されていました。

赤松は警察に情報を提出し、ホープ自動車へも申し入れます。

狩野は無視することを決めますが、沢田は杉本からT会議の議事録を入手し、警察に提出します。

ホープ自動車に警察の家宅捜索が入り、決定的証拠のパソコンが提出されます。

狩野常務は万事休すとなり、事件は解決します。

被害者遺族の誤解も解け、赤松と沢田は一年後に事故現場を訪れ、互いに二度と顔を見たくないと言い残し、その場を去ります。