映画「サヨナライツカ」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。

 

出世を強く望む男

東垣内豊(西島秀俊)は、出世を強く望む男です。

彼には婚約者の光子(石田ゆり子)がいますが、光子を愛しているわけではなく、出世のために選んだ相手でした。

光子との結婚を控えている豊は、3ヶ月間のタイ・バンコクへの出張を命じられます。

バンコクでの生活に慣れてきた頃、豊は魅力的な女性・真中沓子(中山美穂)と出会い、瞬く間に心を奪われます。

沓子もまた野心を持つ豊に惹かれ、様々な口実を作っては豊の部屋を訪れるようになり、二人は関係を持つようになります。

 

別れられない

豊は、魅力的で謎めいた沓子にますます惹かれ、深みに嵌っていくのでした。

光子に対する罪悪感を抱きつつも、沓子との時間が忘れられない豊は、仕事中でさえ彼女に会いに行くようになります。

豊は次第に沓子との逢瀬を重ねるようになり、彼女と別れられなくなってしまいます。

しかし、光子との結婚を破棄することは自身の出世の道を閉ざすことになり、豊は出世と愛の間で苦悩することになります。

 

光子と沓子

一方、沓子も豊への想いを深めていきます。

外見上は何不自由ない生活をしているように見える沓子でしたが、実際は離婚後に多額の慰謝料を得たものの、愛することや愛されることに飢えていたのでした。

豊と過ごす時間は、そんな彼女の心の隙間を埋めるものでした。

豊と沓子は互いに愛し合いながらも、少しずつすれ違い始めます。

光子に浮気がバレないように気をつけていましたが、異変に気づいた光子は単身バンコクに向かい、ついに豊の浮気を知ってしまいます。

光子は沓子に会い、豊に会わないよう警告し、自らは豊に会わずに日本へ帰国しました。

 

光子と結婚

沓子は光子に別れるように諭されても豊を愛していましたが、豊の気持ちが出世に傾いていること、このままでは二人が幸せになれないことを悟り、別れる決意を固めます。

彼女は海外に行くことを口実に別れを告げ、豊もまた出世を選んだため、二人は別れることになりました。

その後、豊は規定通り日本に帰国し、光子と結婚します。

 

それから25年が過ぎ、

豊と光子には健(日高光啓)と剛(西島隆弘)という二人の息子がいました。

豊は出世し、次期社長に任命されるまでになり、再びバンコクへの出張が決まります。

かつて沓子と会っていたホテルで思い出に浸っていると、声をかけてきたスタッフがなんと沓子でした。

「ずっと待っていた」と言う沓子の一途な想いに触れ、豊の心にも再び愛が蘇ります。

日本に帰国後、社長になるよりも沓子と生きることを選んだ豊は再びバンコクへ向かい、沓子とゆったりとした時間を過ごします。

翌日も沓子に会うためにホテルを訪れた豊は、彼女が亡くなったことを知ります。

実は沓子は既に余命幾ばくもない状態だったのです。

すでに葬儀も終わっており、豊は車を疾走させながら沓子との思い出を振り返り、号泣します。

オフィスの椅子に座り、思いにふける豊。窓に映る沓子の幻に、「愛してる」と何度もつぶやいていました。