映画「マスカレード・ホテル」についてネタバレを含んだあらすじを紹介します。

東京での連続殺人事件の捜査で、警察は次なる標的を高級ホテル「ホテルコルテシア東京」に絞り、新田浩介ら刑事が潜入捜査を開始することになりました。ホテル内では、新田がフロントスタッフとして配置され、山岸尚美という優秀な従業員が彼の教育・補佐を担当することになりました。

山岸は以前、客の綾部貴彦からのクレームを巧みに処理した経験を持ち、クールで冷静な対応が持ち味です。一方の新田は不愛想で短気な性格であり、最初は山岸の指導を受けることに戸惑いを覚えます。

やがて、ホテル内での出来事を通じて新田と山岸は次第に対立するようになります。客の不正を見抜いたり、事件の手がかりを見つけたりする新田に対し、山岸はホテルのポリシーを重んじ、接客を優先する姿勢を示します。

特に、客の古橋がチェックアウト時にバスローブを盗んだと見られる状況で、新田は事件の匂いを感じ取ります。しかし、山岸は新田の行動に疑問を抱き、ホテルスタッフとしての信念と捜査の方針がぶつかり合うことになります。

ホテルに訪れた視覚障害者の片桐遥子が、スタッフの目を通じて物事を感じ取るという特性を持っています。新田は彼女の行動に不審を抱き、片桐が手袋をつけていることや、杖の感触に関する不自然さに気付きます。しかし、山岸は片桐がホテルのルールに従っており、何ら問題がないと主張します。

その後、片桐は部屋に幽霊のような存在を感じ、別の部屋への移動を要求します。山岸は丁寧に対応し、彼女の要望に応えます。チェックアウト時には、片桐が実は目が見えることを告げ、そして彼女の訪れが霊感のある夫のための下見であることを明かします。山岸の丁寧な対応に感謝し、彼女はホテルを去ります。

一方、新田は元相棒の能勢との再会を果たし、能勢から事件の新たな情報を得ます。能勢は岡部哲晴殺人事件の容疑者である岡部が不倫関係にあったことを明かし、捜査のため部屋を後にします。この出来事から、新田は犯人が宿泊客だけでなく、ホテルの従業員も狙っている可能性に気づきます。

新田は山岸を屋上に呼び出し、極秘情報を告げ始めました。岡部、野口史子、畑中和之という3人の被害者がいずれも異なる手口で殺害されましたが、現場には暗号らしき数字が残されていたことが共通点でした。その数字を解読すると、次の犯行場所は「ホテルコルテシア東京」であることが判明しました。

新田は犯人が宿泊客だけでなく従業員も狙っている可能性や、犯行には客室が利用される可能性、そして犯人がホテル内に自由に出入りできる従業員の存在を指摘しました。山岸は内部の人間が犯行に関与している可能性を否定し、協力を拒絶します。しかし、新田は山岸に情報を提供することで内部の人間まで監視してもらう計画を立てていました。

新田は宿泊客の栗原健治に応対することになりました。栗原は特に新田を指名して荷物を運ばせ、部屋の交換を要求しましたが、最終的には元の部屋に戻りました。新田は栗原に何か見覚えがありました。栗原は荷物のパソコンのデータが消えていたことに不満を示し、新田に30分ごとに連絡するよう命じて外出しました。

新田の作業を手伝った山岸は、自身がこのホテルに就職した経緯を語りました。大学受験の際に大事なお守りを忘れてしまい、ホテルマンが受験会場まで届けてくれたことで感銘を受け、このホテルで働くことを決意したというエピソードを披露しました。

また、山岸は客の安野絵里子からストーカーの写真を見せられ、ホテルに来たら追い返すよう頼まれますが、山岸は断ります。警察に写真を提供し、経験を新田に語りました。

ある女性が宿泊客の男性の部屋番号を知りたいと要求しました。山岸は客のプライバシーを守るために、男性は宿泊していないと偽りましたが、女性は執拗に追求しました。山岸は客が部屋をキャンセルしたと嘘をつき、女性は諦めて立ち去りました。

その後、ホテルに舘林が宿泊し、山岸はうっかり絵里子に舘林の部屋番号を教えてしまいました。山岸は絵里子に部屋から出ないよう指示していましたが、絵里子は舘林の部屋に向かいました。山岸は監視カメラで絵里子の行動を確認し、絵里子が舘林の妻であることが判明しました。舘林が愛人と浮気している現場を押さえようとしていたのです。絵里子は舘林に離婚届を突き付けて去り、山岸は自分のミスを反省しました。

栗原は実は新田が高校生だった頃の英語の教育実習生であり、新田から英語の発音を指摘されて以来、教職を諦めていたことが判明しました。新田の正体を知らないまま、栗原はリベンジのために無理難題を押し付けたことを認め、ホテルを去りました。

新田が山岸に尋ねた栗原の行動の理由について、山岸はホテルの通話回路網の構造を説明しました。外部からの電話では部屋番号が分からないため、栗原が新田に30分ごとに電話するよう指示したのです。

新田は能勢に、岡部のアリバイを崩す可能性があると説明しました。岡部の同僚である手嶋は犯行時刻に本多から電話を受けており、その様子を目撃した井上の証言があることから、手嶋のアリバイが怪しいと推理しました。

新田の推理が的中し、手嶋と井上は岡部殺害容疑で逮捕されました。手嶋のパソコンからは闇サイトとの繋がりが見つかり、一連の事件の犯人が連携していたことが判明しました。

対策本部は闇サイトを仕切る人物が次の犯行に及ぶ可能性があることを懸念し、ホテルには伏せることを決定しましたが、新田はホテルに情報を提供すべきだと主張しました。一方、山岸は新田の話を上司に伝え、従業員が犯人に狙われている可能性も考慮しました。

高山佳子が打ち合わせに訪れ、山岸が友人からのプレゼントとして渡したワインに異変を感じた新田は、デパートの宅配シールと注射針の跡を発見しました。高山はストーカー被害に悩まされており、警察は彼女が次の犯行の標的になる可能性が高いと判断しました。

翌日の高山の挙式は万全の警備態勢で臨むことになり、能勢は山岸に、新田の才能を生かせていないと指摘しました。山岸は新田に情報を提供した理由を問われ、「今はあなたが新田の相棒だから」と答えました。