映画「紙の月」ネタバレを含んだ考察をします。

 

始まり

学校の礼拝堂でオルガンの音色に合わせてクリスマスの讃美歌を歌う女子中学生たち。

一方、教室ではお金を数えて封筒に入れる長い髪の女生徒が一人。

そして、十数年が経った1994年の朝、通勤電車の中。

自分の降りる駅で夫と別れ、ホームに降り立つのは、あの長髪の女生徒が成長した姿の梅澤梨花(宮沢りえ)。

彼女は結婚し、現在は銀行の契約社員として働いている。

以前は普通の主婦だったが、最近は外回りの営業を担当しており、裕福な高齢者の顧客を訪ねては金融商品の販売や預金の受け入れをしている。

 

光太

彼女が訪れた先の一つに、前任者から引き継いだ老人・平林(石橋蓮司)の家がある。

国債を勧めるものの、前任者とのやり取りが違うと苦情を言われる。

しかし、最終的に平林は国債を買うことに同意するが、手続きの前にお茶を入れてくれと頼む。

梨花がお茶を入れるところに平林が手を置こうとした瞬間、平林の孫で大学生の光太(池松壮亮)が現れ、「大丈夫ですか」と声をかけ、事態は難を逃れる。

 

正文

契約社員として大きな契約を成立させた梨花は、喜びを込めて夫の正文にペアウォッチを贈るが、正文はあまり喜んでいないように見えた。

彼は仕事で上海に関わっており、すぐに席を立ち、中国語の勉強を始めた。

梨花は彼の反応に寂しさを感じる。

 

関係

改札で平林の孫である光太と出会う。

光太は梨花の美しい顔を覚えており、改札を出た後も彼女を追いかける。

梨花は彼を気づきながらも、自分の駅で降りる。

しかしその後、再び駅で出会った二人は言葉を交わさずにホテルに向かい、関係を持つことになる。

 

着服

梨花は朝方に家に戻るが、正文は上海出張中で不在だったため、彼女の夜の行動はバレなかった。

正文は帰国時に高価な時計を免税店で買い、梨花にプレゼントするが、彼女の心はそれに触れられなかった。

梨花と正文には子供がおらず、正文が上海に転勤になった際、梨花についてきてほしかったが、彼女は仕事が忙しいと理由をつけて上海行きを断る。

2年間の海外転勤中、梨花は光太との関係に没頭する。

光太が平林から学費を借金していることを知り、200万円を渡すために顧客から預かった金を着服する。