映画「カリガリ博士」のネタバレが含まれます。
始まり
舞台はドイツ山間部の架空の村。
村の若者フランシスは、村人が語る亡霊の話を聞いていました。
すると向こうから美しい女性が歩いて来ます。
正気を失っているようにも見える彼女を見つめたフランシスは、自分の婚約者だと言いました。
そして自分達が体験した、ある恐ろしい物語を語り始めます。
フランシスは親友アランと共に村の祭りに出かけました。
並び立つ見世物小屋の中に、カリガリ博士と名乗る香具師の姿があります。
彼は夢遊病者のチェザーレを箱に入れ、見世物にしながら金を取っていました。
カリガリ博士は箱を開けてチェザーレを起こします。
チェザーレには全てを見通す力があり、客の将来を占うことが出来るそうです。
アランは面白がって、自分の寿命はどれほどかと尋ねました。
するとチェザーレは、夜明けには死ぬだろうと答えます。
アランは笑い飛ばしましたが、翌朝、彼は何者かに殺害され遺体で発見されました。
予言通りに
無二の親友を喪い、悲嘆に暮れるフランシス。
彼らが思いを寄せていた女性ジェインも事件を知り、激しいショックを受けました。
チェザーレの予言通りになった訳ですが、フランシスはそこに違和感を覚えます。
村ではカリガリ博士が到着したその夜に、既に1件の殺人事件が起きていたのです。
被害者はカリガリ博士を邪険に扱った市の吏員でした。
2件の殺人事件にカリガリ博士が関与していると考えたフランシスは、ジェインの父オルセン博士に相談します。
オルセン博士もフランシスの考えを支持し、警察に許可を取ってカリガリ博士を調べることにしました。
疑惑
フランシスとオルセン博士は早速カリガリ博士を訪ね、疑惑について問い質します。
ところがその矢先、殺人事件の犯人が捕まったという一報が入りました。
フランシス達は驚き、捕まった男のもとへ向かいます。
しかし男は連続殺人鬼に似せて人を殺そうとしただけであり、2件の殺人事件とは無関係だと主張しました。
欲望
カリガリはチェザーレを道具にして欲望を実現しようと考え、彼を操り奇怪な手口の殺人事件を起こしたとされています。
フランシスはこの情報を元に、カリガリ博士が「カリガリ」という人物に憧れ、彼になりきろうとしたのではないかと推察します。
さらに、フランシスはカリガリ博士が病院に運ばれた夢遊病者を操り、かつての「カリガリ」のように殺人事件を引き起こしていたことに気付きます。
錯乱
その直後、チェザーレの遺体が発見されますが、心臓発作で死亡したとされています。
フランシスはチェザーレの遺体を病院に運び、カリガリ博士と対面させます。
この出来事により、カリガリ博士は錯乱状態に陥り暴れ回ります。
医師達が彼を押さえつけ、拘束衣を着せて精神異常者として病院に留め置かれます。
ラストシーン
しかし、物語のラストでは明らかになる衝撃的な事実が待っています。
実は、フランシスが語る物語はすべて彼の妄想であり、彼自身が精神異常者だったのです。
外の庭で彷徨う患者の中には、彼が幻想の中で体験したジェインやチェザーレの姿もありました。
そして、院長が現れたとき、フランシスは彼をカリガリ博士だと思い込みます。
これにより治療方針が決まり、フランシスは病室に閉じ込められることになります。
物語はそのまま終わりを迎え、フランシスの幻想としての世界が明らかになります。