映画「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」ネタバレ

映画「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」ネタバレしていきます。

 

優等生

茜は、席替えで隣になった青磁からいきなり「お前のことが嫌いだ」「顔見るのが嫌」と言われショックを受けます。

茜も彼の傍若無人な振る舞いは「大嫌い」だけれど、優等生を意識して心の奥でぐっと我慢する日々。

茜の家族は、母が再婚して4年前に妹の玲奈が誕生し、他に引きこもりに兄がいます。

仕事で忙しい母に代わり、茜は妹の世話と家事をこなさなければならず、精神的な余裕もなくなって成績は下がるばかり。

マスク依存症の茜は、ある日 マスクをせずに登校したことに気づき、吐き気を感じてうずくまってしまいました。

そこに通りかかったのが青磁でした。

彼が介抱し、コンビニでマスクを購入してきてくれたおかがげで、茜は学校に遅刻せずに行くことができました。

 

世界のすべてを見せてやる

茜を毛嫌いする青磁ですが、彼がクラスの人気者です。

青磁は、銀髪で整った顔立ち、ほっそりとした体形、中性的な雰囲気は、学校でも目立つ存在。

美術部で、放課後はいつも絵を描いていました。

文化祭の演劇で主役に抜擢されたときも、絵を描く時間が削られるからと断る

そんななか、文化祭のクラスの輪から離れた茜は、偶然 青磁の絵を目にします。

画面いっぱいの雲の隙間からまっすぐに差し込む光…。

茜は息を飲むほどの美しさに感動して、思わず涙を流すのでした。

茜の姿を見た青磁は「世界のすべてを見せてやる」と、彼女を屋上に連れ出しました。

そこで青磁は茜を挑発して、彼女の本当の気持ちを聞き出します。

「みんな私にばっかりなんでも押しつけて、むかつく。」そう言った茜に、青磁は「言えるじゃないか。」と満足そうに微笑みました。

そして二人は、その場に寝転んで空を見ました。

360度見渡す限りの空に、茜は素直に美しいと感じたのでした。

 

マスク

茜が優等生を演じることになったのは、過去の事件がきっかっけでした。

小学生の頃、クラスの子が持っていた香りつきの可愛いペンを盗もうとした女子がいました。

正義感が強い茜は、みんなの前で「人のものを盗んだらいけないんだよ。早く返しなよ。」と注意しました。

しかしペンを盗もうとしたのはクラスの人気者の女子で、彼女が泣き出したため同級生たちは彼女を庇い、茜を非難しました。

次の日に茜はその女子に謝りましたが、クラスメイトから無視されるようになりました。

それからというもの茜は、自分が正しいことよりも相手の機嫌を損ねないことを優先し、周囲を気遣うだけの性格になってしまいました。

マスクを着け始めたのも、表情から本音を読まれないようにするためです。

屋上で青磁に自分の気持ちをさらけ出したことをきっかけに、茜と青磁の距離は縮まっていきました。

青磁に前では素でいられることに気づいた茜は、彼を好きになっていました。

 

後悔

あるとき茜は、相談に乗ってもらっていた親友の沙耶香にマスクを外されてしまいパニックに陥ってしまいました。

その場にいることがいたたまれなくなった茜は、青磁に助けを求めるように美術室に逃げ込みます。

青磁はフォローしてくれましたが、茜は気が動転して

「あんたみたいな恵まれたやつには、私の気持ちなんて一生わからない! だから、ほっといて!!」

と暴言を吐いてしまいました。

その日を境に、青磁は茜を避けるようになり、口もきいてくれなくなりました。

そんな青磁を見て焦った茜は、後悔したくないという思いもあり

「青磁が好きなの。だから、前みたいに、一緒にいたい。」

と告白しますが、返ってきた答えは、

「知らねえよ、お前の気持ちなんか。俺は、お前とは話したくない。だから、もう二度と話しかけるな。」

 

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』

青磁に会えない日々を過ごしていた茜でしたが、美術部員から彼が県の高校美術展で大賞をとったことを教えてもらいます。

県立美術館で展示されている青磁の絵を見に行った茜は、美しい光と淡く優しい色に満ちた背景の中心に自分が描かれていることに気づきました。

マスクを付けず、朝の光をのようにきらきらとした笑顔で、かがみこむようにこちらを見ている茜の姿。

タイトルは『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』。

それは3か月前に、茜が小説で読んで 青磁に教えた

夜明けに会いたいと思った人が、一緒に朝焼けを見たいと思った人が、あなたにとっていちばん大切な人。

という言葉でした。

「これは、わたしがずっと昔に無くした笑顔だ…」茜はマスクの下で嗚咽しました。

 

出会い

茜は美術展をあとにして、すぐに青磁を探しにいきました。

美術館の展望台で彼を見つけた茜は、久しぶりに声をかけます。

青磁は、そこで茜とはじめて出会った小学生時代のことを話し始めました。

青磁は茜と兄と同じサッカークラブに所属していたことがあり、茜もよく応援に行っていました。

ある日、 相手チームに卑怯なプレーをする男子がおり、茜は思わずコートに入って怒ったことがありました。

殴りかかる男子と茜を守ろうとする青磁。

そして男子を蹴り飛ばした茜。

乱闘のあと、茜は青磁に泣き笑いの表情で「助けてくれてありがとう」と言いました。

青磁はそのときの笑顔を忘れられず、大賞をとった絵のモデルにしました。

だから青磁は、高校生になって周囲に機嫌をとり、作り笑顔をする茜が許せず「だいきらい」と言ったのです。

 

ラストシーン

青磁は中学生のときから小児がんを患っていました。

髪の色が抜けて銀髪なのも、色白で痩せているのも、放射線と抗がん剤の治療のせいでした。

二度目の治療が成功した現在 青磁は普通の生活をおくれていますが、いつ再発するかは分かりません。

再発の恐怖から臆病になる自分が情けなくなった青磁は、茜に幻滅されること恐れて距離を取っていたのです。

それを聞いた茜は、青磁が自分の世界を変えて救ってくれたように、私も青磁を蝕む不安や恐怖をひとつ残らず、全て消し去ってあげたいと話しました。

二人はお互いの気持ちを確かめ合いました。

そのあと青磁は「マスク卒業記念だよ」と言って優しく茜にキスをしました。