映画「アナログ」のネタバレ

 


翌週の木曜日、みゆきは「ピアノ」に姿を現さなかった。

 

悟は彼女との約束を守らなくなった理由について考え、自分の存在がみゆきにとって重荷になったのだろうと結論し、木曜日に店へ通うのを止めました。

それから1年半後、悟は大阪でのプロジェクトに取り組んでおり、再び高木と山下との再会が訪れました。

二人は、悟に直接話さなければならない「みゆきの過去」について語り始めます。

山下の妻である香織は、ラジオ局の仕事で多くの音楽素材用のCDを持ち帰りました。

山下がそのCDを見たとき、一枚のCDジャケットにみゆきの写真があることに気付きました。

ジャケットに写っていた女性は、天才的なヴァイオリニストである「ナオミ・チューリング」で、かつての名前は「古田奈緒美」でした。

彼女は留学時にピアニストのミハイルと結婚し、ミハエルの急死を経て日本に帰国し、音楽活動を引退していました。

高木はネットで奈緒美が交通事故に巻き込まれ、重傷を負ったというニュース記事を見つけました。

驚くべきことに、その事故が悟がみゆきにプロポーズをしようとしていた予定の「木曜日」と一致していたのです。

山下と香織の協力を得て、悟は奈緒美の姉である香津美と対面しました。

彼女から、奈緒美が事故により脳障害と下半身麻痺を患い、意識はあるものの意思疎通ができない状態であることを聞かされたのです。

それでも悟は彼女に会いたいと切望しました。

再会した病院で、悟は奈緒美に声をかけても、彼女は反応しませんでした。

後日、「ピアノ」を訪れた悟は、香津美から奈緒美の自室で見つかった彼女の日記を見せられました。

そして、日記を読むように頼まれましたが、「読んだら忘れてほしい」との約束のもとでした。

日記には、奈緒美の過去が綴られており、彼女が悟と出会い、「ピアノ」を作ってくれたことに感謝していたことが明らかになりました。

悟は彼女の素性や過去を尊重し、温かさを提供しようとしたことが奈緒美の心を引き寄せたことに気づきました。

玲子の通夜の日、高木が現れて事情を説明したことで、奈緒美は悟のそばにいたいと願い、自分が求めていることを理解したのです。

ある日、海辺で悟は糸電話越しに奈緒美に告白し、彼女は「悟さんと生きていきたい」と答えました。

彼女は自分のヴァイオリン演奏に再び触れることを望み、悟にも演奏を聴かせたいと願っていました。

奈緒美は事故前に携帯電話を購入していたことも判明しました。

後日、悟は奈緒美がリハビリ治療を受けている病院を訪れ、彼女の今後の生活をサポートする申し出をしました。

香織は日記を読ませたことを詫びつつも、悟の申し出に対して厳しい本音を伝えました。

しかし、悟は「自分はみゆきさんと“家族”になろうとした」「少しでも会うことを許してください」と懇願しました。

悟は以前の会社を辞め、海の近くに個人事務所を建てました。

新しい環境で、リモート通話や3Dモデルを使った模型制作など、新たなスキルを駆使し、元上司の岩本から案件を受けることができ、仕事が順調に進展しました。

それと同時に、毎週木曜日に退院した奈緒美と散歩する習慣を続けました。

散歩の途中で悟が何度声をかけても、奈緒美からの反応はありませんでした。

ある日、教会を訪れた際、悟は奈緒美に「結婚してくれませんか」と言葉を発しましたが、再び反応はありませんでした。

一年後、再び奈緒美と散歩に出かけた悟は、いつもの海で彼女と過ごしていました。

帰りに、奈緒美の家に戻るために車椅子の手すりに手をかけた瞬間、奈緒美が悟の手に触れました。

悟は奈緒美に何かを言いたいか尋ねましたが、奈緒美は声を上手く発せず、口を動かすだけでした。

しかし、かすれた声で「今日、木曜」と呟きました。

悟は「今日からずっと“木曜日”ですね」と応え、奈緒美の涙を拭いました。

「寒いから帰ろうか」と言うと、奈緒美は微笑みました。そして、彼女とともに、悟は海を去っていきました。

 

映画「アナログ」の感想>>