以前にも書いたことがありますが

夫の肺から転移した

鎖骨リンパ節の腫瘍は

まるで生き物のようでした。


記録のために家で定期的に

その部分を撮影をしていましたが、

今見返してみると

とても怖い顔をした

生き物のように見えます。


岩のようにゴツゴツとして

黒ずんだ赤紫色の大きな塊は

今思えば

夫の怒り、苦しみ、悲しみを

表しているように思えるのです。

大きな塊は自壊しながら

姿形を変えて

どんどん増殖し首を半周しました。

本当に生き物のようでした。


夫がつき続けていた嘘、

そしてそれを決して知られまいと

嘘に嘘を重ねながら

必死で隠し続けていたこと、

その心の中のドロドロとした物が

夫の場合

あの腫瘍となり形を現したような

気がしてなりません。


お気に入りのデリ嬢に会うために

長年嘘をつき続けるのは

夫にとって大変なことだったはずです。

毎日、それも1日に3回も4回も

デリ嬢にメールを送っていたり、

仕事に行くふりをして

有給休暇をとっていたり、

出張だと嘘をついたり…


嘘をついて出掛けた日、

何も疑っていない私の

「何時頃帰る?」なんていう問いにもいちいちドキッとしたはずです。

夫は自分で自分を苦しめていたのです。

そこまでして風俗に行きたかったのか。

そこまでしてあのデリ嬢に会いたかったのか。

情けないです。


そして夫は怒りのバリアを張って、

何も言わせないようにしていたのです。

その怒りの意味が

あの頃の私にはわからず、

私が怒らせているんだと

自己嫌悪に陥ったものです。

夫がなぜ怒るのかわからなくて

どんどん自分に自信がなくなっていました。

怒らせないように気を遣い、

なんでも夫を優先して

自分のことは後回しにしてきた自分が惨めで仕方ありません。

夫がデリ嬢にはまって

秘密で通っていたなんて

夢にも思っていませんでした。


夫は何気ない会話の中にも

ボロを出さないように

細心の注意を払っていたはずです。

毎日のメールも

こそこそと送っていたみたいです。

夫はなんてしんどい毎日を

送っていたのだろうと今思います。

そのしんどさも溜まりに溜まって

怒りに繋がっていてのかもしれません。

体だって悪くなります。


夫は真面目なタイプの人間で

その真面目さが

余計自分を苦しめたのだと思います。

ちゃらんぽらんな性格なら

もっと軽いのりでやり過ごすことが

できたような気がします。


夫が亡くなり、

夫の面影を感じることのない所に

移り住んでも

夫の裏切りは薄まることはありません。

夫婦って何なんだろうと

いつも考えてしまいます。


いつも私のブログを

読んでくださっている方には、

前に進めてない内容で申し訳ないです。


今こうして不自由なく過ごせるのは

夫のお陰だと感謝していますが

夫のやっていたことが

どうしてもどうしても

残念でならないのです。