元トヨタの中の人として、皆さんに学んで欲しい事というのがあるのですが、セミナーや講演をすると、皆さんは表面ばかりを知りたがる。
表面を真似しても、すぐ元に戻ってしまうと思うのです。
だから未だに、トヨタ生産方式を完全に取り入れている会社が非常に少ないのです。
1970年代に、トヨタのムダ取り哲学をアメリカの研究者が紐解き、世に発表したこともあり、リーン生産方式(ぜい肉の無い生産方式)がアメリカせも流行ったのだが、成功した例は聞いたことがありません。
日本でもそうです。
かつてトヨタは、米国GM社と合弁で、NUMMIという会社をカリフォルニア州につくりました。
そこでシボレーやカローラを生産したのですが、GMとの協力関係が切れた際、トヨタはNUMMIから撤退しました。 その後も、GMはNUMMIで生産を続行したのですが、トヨタ生産方式は瞬時に無くなり、アンドンも撤去され、みるみる生産が落ち、ついには工場を閉鎖することとなりました。(現在は、閉鎖せずにテスラ社に売却。)
このように、トヨタ生産方式やムダ取りなどの思想は、表面的な運営では根付かなかったということです。
この状態を図で説明すると、私が常々説明で使用しているゴールデンサークルで話しをします。
ゴールデンサークルというのは、アメリカのサイモン・シネックさんが提唱しているもので、WHY,HOW,WHATの3重の円で構成されています。
WHY・・・なぜ、我々は存在しているのか?(会社の理念 世の中のために、、、など)
HOW・・・その理念を実現させるために、どのような方法をとるのか?
WHAT・・そして、何を作った(やった)のか?
です。(ゴールデンサークルの詳細は、ネットで調べてください)
表面だけというのは、この図でいうとWhatの部分です。
「何をしたか?」という所だけを真似しようとしているのです。
「トヨタは、何をしたか?」
要は、トヨタ内で使用しているチェックシートやカンバン方式、アンドンなど、ツールだけを真似ることをしているのです。
でも、なぜ、そのような事をしているのか?という、WHYや、どうやって実現させたか?というHOWを学んでいないため、すぐに廃れるのです。 身に付かないのです。 止めてしまうのです。
前述のNUMMI工場と同じなのです。
トヨタの思想、哲学を学ぼうとせず、できあがったTOOLを欲しがっている人が非常に多い。
そこだけ入手したら上手くいくと勘違いしている。
何を学ぶべきかを理解していない。
一番学ぶべきところは、WHYとHOWなのです。
ですが、それを学ぼうと申し出る人は、ほぼ居ないのです。
本当に不思議なことです。
「TOOLだけ頂戴」
何度聞いたことか。
何度、残念に思ったことか。
2026年の日本のGDPは、インドに抜かれて5位になります。
日本の労働者は、もっと頑張らないといけない。
表面だけを真似ていて大丈夫なのか?
もっと、考え方や精神を真似ないと、人が育たない。
人を育てないと、モノづくりは良くならない。
その理屈すら理解できていない人達。
生産第一だけを考えた結果、GDPの伸びが途絶えてしまった。
それは、人を育てることをしなくなったから。
生産現場を弱くしているのは、我々自身なのです。
もっと本質について考えよう。
