「言葉だけが伝わって、本意が伝わっていない」と、思うことがなんと多いことか。

トヨタの手法というのは本などから言葉は知っているという人が多いのだが、実際に現場に行ってみると、全く意味を理解していないと感じることが多い。

・なぜ5回

・3ム

・5ゲン主義

・5S

・現場主義

・真因追及、再発防止

 

これは、仕方ないのかもしれない。

というのも、トヨタの手法を書いた本のほとんどが、トヨタの元社員ではないのです。

トヨタを取材したジャーナリストがまとめた本が多いのです。

もちろん、それを読んで理解することは可能なのですが、本というのは本人の解釈の仕方次第のところもあり、万人が万人で同じ理解をしているとは言えないのです。

トヨタの社員や元社員から直接教えてもらう機会は稀有だと思います。

ということで、伝言ゲームのように伝わっていった用語というのは、非常にバラツキをもって理解されているのです。

 

その中で、最近感じた事を紹介します。

【現場主義】

 

これ、驚くような勘違いをしていた会社に行った時の話しです。

その会社は、現場が荒れ放題でした。 標準というものは全くなく、作業者が独自の判断で仕事をしていました。

現場は整理・整頓はされておらず、作業者間の関係は最悪で、協力して作業をすることはなく、実にのんびりと仕事をし、ルールらしきものは存在せず、改善を行う環境では無い現場でした。

工具があちこちに散乱しているが、使う工具は極限られた物だけ。

作業環境も劣悪で、はいつくばって作業をする場面も。

何とか改善をしようと試み、5Sや、作業環境の改善から始めました。

「ここは、このように整理しましょう」「台が低いので、高い台を用意しましょう」

「電動工具は、1人1台持ちにしましょう」などなど

 

多くの改善提案をし、幾つか改善が実施できました。

現場の作業者達は喜び、そういう提案をしても良いという事に気付いてもらえました。

というか、作業者達は、「言ってもやってくれないから」という気持ちでいたのです。

全員、あきらめていたのです。

ところが、上位の管理職にそれを提案すると、どんどんお金を出してくれるのです。

私が言ったからというのもあるのですが。

 

その時に感じたのですが、上位の管理職は全く現場に行かないことに気付きました。

現場を全く見ないのです。 現場の困り事なんて、知るよしもありません。

ですが、提案をすると引き受けるのです。

そして、ある時ふと聞いた言葉が、「この会社は現場主義で動いています」だったのです。

ん? え? は?

勘違いしている。

現場の言うことをきく事を、“現場主義”と言っている。 現場には一切行かないのに。

ああ、こうやって言葉だけがひとり歩きをしているのだなと、しみじみ感じました。

管理職の現場無視と誤解された現場主義

もちろん、改善の目をもっていない現場も問題です。

改善の目を持たせるために、付箋紙に改善提案を書いてボードに貼ってもらいました。

もちろん、ちゃんとした改善提案ができるとは思っていませんでした。

書く癖をつけて、徐々に内容を変えていく作戦でした。

「給料を上げてほしい」「休みを増やしてほしい」「出張手当が少ない」

案の定、このような提案ばかりでした。

内容を聴くと、休みは大企業並みに支給されており、ほぼ全員がそれを使いきっていました。

それでも、まだ休みたいというのです。

出張手当も、少ないとは言い難い金額でした。

 

これは、極端な事例かもしれません。

 

ですが、現場に行かずして“現場主義”と言っている人が多いのです。

現場主義とは何か?

もう一度、考えてみてはいかがでしょうか?