トヨタは、“標準”を非常に大切にします。
ですが、その“標準”という意味合いがあまり伝わっていないので、ここで解説いたします。
“標準”というのは非常に曖昧な言葉で、目安、規準、平均的、などのイメージがあると思います。
ここでは、一般的な標準の意味を説明するのではなく、トヨタ内でいう“標準”の意味を説明します。
製造現場では、ありとあらゆるものが毎日バラツキます。
部品の寸法、作業者間のバラツキなど、数多くのモノ、コトがバラツキます。
このバラツキを最小限にしなければ、毎日同じ品質のものを作ることができません。
ですから、バラツキを最小限にする方法を考えなければなりません。
バラツキは、以下の図のような正規分布で表すことができます。
ばらつかない状態とは、物事のほとんどが真ん中に近づいている状態です。
この真ん中を、“標準”と呼んでいるのです。
この“標準”のエリアにモノやコトを収束させなければなりません。
そのために、様々なルールがトヨタにはあります。
例えば、作業のバラツキを抑えるための作業標準書。 そして、その作業標準書を作成する際のバラツキを抑える、標準書の作り方。 さらに、教え方標準。 そして、守らせるための監査標準。
様々なところでばらつく可能性を、標準書として規定しているのです。
こういった日常管理を遂行するときに用いるのが、SDCAです。(PDCAではない) *PDCAは、方針管理。
Standard > Do > Check > Actionなのです。
このStandardというのが標準です。
標準をより良いものに改訂していくことが、日常的にやらなければならないことなのです。
ですから、そのために仕組みを作ったり、ルール化したり、見える化をするのです。
Standardは、次のようにも言い換えられます。
Standard 基準 規格 規範 きまり(ルール) 仕組み
標準とは、ルール(決め事、仕組み)なのです。
ですから、トヨタにはたくさんのルールがあります。
私がコンサルを始めて気付いたのは、多くの会社でルールがあまりありません。
就業規則はあるものの、仕組みやルールが無いまま製造をしています。
明文化(文書化)したものがほとんどありません。
なのに、暗黙のルールみたいなものはたくさんあります。
書いた物がまったく無いのに、「空気を読め」と言われます。 マナーだと言う人もいます。
日本の会社で多い現象です。 察しなければ仕事ができません。 1聞いたら10やれと言われます。
「指示待ち部下が多い」「気が利かない」とも言われます。
トヨタでは、質問はしますが指示はしません。
毎回指示しなくとも、やるべきことは明文化しています。
班長のやるべき仕事リスト、職長のやるべき仕事リストなど、文書化されているのです。
ですから、職長(上司)がサボって、班長(部下)に仕事をやらせているような事は発生しません。
ある会社では、班長がすぐ辞めていました。 調査すると、職長がサボって、班長に職長の仕事もさせていたのです。
班長は、2倍の仕事をしていたわけです。 その会社では、損な班長、得な班長と居たようです。
どこの会社も同じですが、“長(Leader)”が付く職制になると、何をしたら良いか分からなくなるようです。
それは、明文化されていないからです。 ですから、部下を手伝ったりしています。 リーダーがやるべき事をしていません。 毎日会社に来て、何事も起こらないように処置をしているだけなのです。
もっと早く作れないかな? もっと楽に作れないかな? もっと安く作れないかな? もっとお客様の為になるように作れないかな? と、現場を見ながら考えなければならないのに。
会社が発展していかないのは、そういった視点で考える人財が居ないからです。
まとめますと、トヨタの言う標準とは、
規則化、ルール化、仕組み化、明文化、視える化
をすることです。(実行)
仕組みとは、ルールを作ることです。
ルールの無い会社は、バラツキを抑えることはできていません。
“真ん中に近づける”規則(ルール)をつくり、それを守らせる。
作業標準書が無いまま作業をしていて、バラツキを抑えることはできません。
作業は、マニュアルが無くてもできていたりします。
ですから、なかなか標準書を作ろうという気になりません。
できる、できないの話しではありません。
バラつかないようにするには、標準が無いといけません。
マニュアルではありません。 マニュアルは、手順だけが書いてあります。
標準には、バラツキを最小限に抑える工夫が書いていなければなりません。
急所やコツ、禁止事項など。
このような本質を理解してください。
面倒くさがっては、良いものはできません。
標準化というのは、手間暇かけてしっかりとやるべきことです。
それを、どれだけ徹底してやれるか?で、一段高い所へ上ることができるのです。
