「現場は毎日変化する」と言うと、「そんなことは知っている」という人の方が多いと思います。

ですが、多くの人は現場に行って観ていないのです。

「現場の人間に任せている」と言われる人が多いのですが、現場の人間は毎日少しずつ変化することに気付いていないことが多いのです。

 

トヨタでは、管理職も毎日現場に行きます。 現場に行くと、気付く事が多いのです。

ですから様々な点検を、管理職で実施するイベントがたくさんあります。

 

たとえば、

エア漏れ点検。

これは、現場で使用しているエアー(高圧、低圧)が、設備のちょっとした隙間からシューッと漏れているのを点検するのです。

稼動中は、そのちょっとした音を見つけることが出来ないので、現場の昼休み時間に、設備が全て止まっているタイミングで管理職が現場を回ります。

この観察は、月2回程度ですが、毎回数件発見します。

発見したら、赤いテープを漏れている箇所に貼り付け、用紙に工程名と設備名を記載し、保全担当と現場担当に配ります。  そうやって、修理をどんどんしていきます。

 

また、工程設計についても観察会を実施します。

これは、現場が考えたレイアウト構成が良いか悪いかを、ベテランである管理職が点検して回り、是正を促すのです。

点検時には、レイアウト設計を担当した職制も立ち合います。

たとえば、作業者が部品を取りに“後戻り”をしているなどの指摘をします。 ベルトコンベアで移動している車両に部品を組み付けるので、移動先に部品があるのが望ましく、少し戻って部品を取りに行くのは歩行数の“ムダ”が生じているのです。

こういった、細かな点を指摘することにより、レイアウト設計者も勉強になるのです。

 

第三者のベテランが観て回ることにより、多くの気付きがあります。

そして、現場もそこで勉強をするのです。

そうすることによって、トヨタ生産方式も座学で学ぶだけでなく、実践をして学び、ベテランに依る観察が入ることで、スパイラルアップをして身に付いていくのです。

ですから、現場観察は監査ではなく勉強会なのです。

 

勿論、作業が作業標準通りに出来ているか?という監査も、別部隊で日常的に実施しています。

 

写真は、豊田章男さんが現場を観察しているものです。

豊田章男さんは、現在会長職につかれましたが、社長時代は精力的に現場に足を運び、指摘されたり褒められたりしておられました。

私の居た九州の工場へも良く来られました。

現場の人間は、トップが来られるのが励みになります。

「我々の改善を見て下さい!」という気持ちがあります。 そこで指摘されたり、褒められたりするのが、大きな飛躍に繋がるのです。

 

トヨタは、「現場主体」という言葉通りの活動になっています。

時間のある限りは、現場に行きます。

問題が発生すると、現場に集まります。 設計者も呼びます。

その場で即断即決し、役割を決めて全員で動きます。

こういった事が当たり前の風習としてあります。

 

私が定年後に独立してコンサルを始め、多くの企業を見させて頂きましたが、この当たり前は当たり前でない企業が多いのに気付きました。

作業者のリーダー役である班長でさえ、現場に居ません。

呼び出しても、なかなか来ません。

部長や課長は、普段来たことがないらしいです。(現場視察案内の時しか顔を見ないらしい)

 

現場というのは、毎日変化しています。

ベテランが時々観察することにより、是正され向上していくものです。

どんどん現場でイベントを開催してください。

少しの変化を早めに是正することで、大きな問題を未然に防止できるからです。

現場も、ベテランから学ぶ機会を得ます。

 

暑い時期、なかなか現場へ足が向かない人が居ます。

現場の気持ちを理解するには、現場に行くことです。

現場あってこその会社です。

しばらく現場に行っていない人は、行ってみてください。

予想外のことが起こっているかも知れません。