トヨタのなぜなぜの手法や、リフレーミング(考える枠を変えてみる)を教えていると、答える内容が、大きく2つのグループの人の塊に分けられます。
1つは、頭だけで考えている人。
2つ目は、心も使っている人。
この差が、大変重要なポイントなのです。
では、頭だけで考えている人とは、どういう人でしょうか?
要は、頭の中の引き出しを開けて、知識だけを引っ張りだして来る人達です。
これは、人によって知識量は異なるのですが、知識をばら撒くだけで、何の解決もできない事が多いのです。
学歴が高く、プライドも高い人に多い傾向があります。
次に、心も使っている人とは、どんな人でしょうか?
それは、知識量の差に関係なく、純粋に本質を理解しようと努め、ニュートラル状態(プライド無し)で考えられる人です。
この種の人は、場の状況を理解しようと努め、常に疑問を持ちながら考える人です。
この人達は、真因を掴むのが早く、感情的にならずに、問題解決ができる人です。
問題解決をする場合、段階に分けて考えることが重要です。
まずは、この “段階” というものがある事を理解しないとなりません。
① まずは、解析をして原因をつかみます。
必要なのは、解析ツール、技術力、知識です。
頭を使うのは、ここです。
ここでは、なぜなぜはしません。
②原因から、なぜなぜをします。 本質に迫り、真因を追求します。
この時、心も使って追及するのです。
心を使わないと、真因がつかめないことが多いのです。
知識だけでは、本質をつかみ難いのです。
頭でっかちの知識ばかりのひとは、心を使うのがヘタです。
逆に、知識が少なくても、真因に迫ることが出来るということです。
心で考える人は、発生した場に居る人達の心情すらも読み取ろうとします。
その時の疑問から、想像力を働かせて、共感することもできるのです。
そういった読み取り能力が高ければ、対策案も的確なものが出てくるのです。
頭だけで考える人は、自分の頭の引き出しに無いものは、出てきません。
東京大学名誉教授の養老孟子先生の著書 「バカの壁」の本には、「東大生にもバカがいる。 バカとは、自分の考えを疑わずに変えようとしない者のことだ。」とあります。
ということで、記憶力の良い、いわゆる頭の良い人が、必ずしも問題解決に向いているわけではないのです。
それでは、心で考える能力を磨くには、どうしたら良いでしょうか?
それは、右脳を活性化させることです。
右脳とは、目、耳、鼻、口、触感などの感覚や、うれしい、楽しいなどの感情をつかさどります。
そういった五感を敏感にします。
では、どうやって?
自然の中に行くことです。 海、山などに行き、風を感じて、気持ちいいと感じることが、右脳を活性化します。
また、瞑想も良いです。 考えることを止めて、陽射しを感じ、風を感じ、音を聴くのです。
私は、良く神社へ行きます。 山のてっぺんの神社が多いです。
そこは、なんとも表現ができない、厳(おごそ)かな感じがします。
それは、空気感と申しましょうか、何者かがそこに居る気を感じ、それは神様なのだと信じています。
そもそもですが、我々日本人は、万物全ての物に魂が宿ると感じており、花、木、人工物であっても、そこに八百万の神が宿っていると教えられてきました。
ということで、そもそも五感は鋭いのです。
様々な物に感謝し、物を大事にする心を、先人達から伝えられているのです。
ところが近年、その伝えが途絶えたのか、知識ばかりを大切にして、お金の事ばかりを考え、誰が上か、誰が下かを競い合う世の中になってきました。
なかなか、そういった環境の中では、本質に迫り、真因を追求し、良い対策ができないようになってきたのです。
少し、スピリチュアルのような話しになりましたが、心で考える、心で感じるというのは、大切なのです。
なぜなぜも、心で考えなければなりません。
今一度、頭だけで考えていないか、心に手を当てて考えてみましょう。
手を当てるだけで、心で考えるようになります。
知識だけでなく、本当の自分として考えることです。