10月になりました。 肌寒くなって参りましたね。
今年もあと3か月です。
さて、今回は姿勢について書いてみます。
昔から日本では大切にされている事柄ですが、しっかりと気にかけている方はそれ程多くはないように思えます。
姿勢を正そうとすると、少し力を入れないといけませんね。
でないと、形が崩れてしまいます。 常にどこかに力が入っている状態です。
ついては、疲れてしまいます。
明治以降の西洋式生活が広まった結果、我々の生活の中は、常にどこかに持たれかかっている状態が増えました。 椅子には背もたれがあり、ひじ掛けがある。 車の後部座席には、オットーという足置きまでついていたりします。
もうこれは、寝転んでいる状態です。
古来の日本の生活や習い事では、姿勢を大切にします。
茶道、武道、書道など、道のつくものは、姿勢を作るところから始まります。
姿勢が崩れていては、字もよれたり、咄嗟の攻撃に反応できなかったり、所作にムダな動きが入ったりします。
逆に、姿勢が整っていれば、流れるような字も書け、咄嗟の攻撃にも素早く対応でき、ムダな動きがない分、身のこなしが美しく見えます。
以前にも書きましたが、身が美しいと書いて躾(しつけ)と読みますよね。
さて、姿勢とは身体の状態だけではなく、場の状況や物事への取り組み方にも言えます。
プロジェクトの取り組み姿勢とか言いますよね。
自分を律して、ムダなく、邪念なく取り組もうとする心の姿勢のことだと思うのです。
皆さんは、朝一番の仕事の始め方はどうしていますか?
メールを真っ先に見る人が多いですよね。
そして午前中は、メールの処理だけで終わってしまう。 本当は、午前中にしなければならない事があるのに、忘れていませんか?
料理人の料理の始め方を知っていますか?
いきなり野菜を切ったりしませんよね。
まずは、お品書きを作成します。 前菜、椀、焼き物、主菜などなど、何を作るのか決めてから材料を揃える。 そして、お客様に丁度良いタイミングでお出しできるように段取りを計算して、手際よく料理をすると思います。
この手際良さというのは、一番最初の「計画の作成」があるからこそです。
一切のムダが無い作業なのです。
もう作業とは呼べないほど美しい身のこなしです。 所作と呼べると思います。
一流の料理人は、料理が終ると同時に片付けも終わっています。
作業の合間に、片付けも入っているのです。
私が見かける手際の悪い社員は、机の上も乱雑で、計画もなしにメールを眺め、いざ仕事をしようとしても昨日のやりかけの仕事が広がっており、かと思えば、おとといの仕事もある始末。
机の上の「姿勢」がだらしない状態なのです。
仕事がひと段落したら片付けるという「姿勢」もなく、椅子に寝転ぶような角度で座り、あくびをこらえながらパソコンを眺めているという共通点があります。
とても生産性の高い社員とは呼べません。
姿、状態、動き、すべてが姿勢です。
この、いつも力を入れていなければ維持できないことを当たり前としてやるには、訓練が必要です。
常に意識しなければなりません。 そして、疲れる。
ですが、それをあえてやる。
これは、あなたの生き様みたいなものであり、自分づくりを自分で行うことなのです。
この「姿勢」は、今からでも正すことはできますし、もしお子さんが居るのであれば、大切に教えて欲しいのです。
将来、この姿勢の良さがすべてを好転させる要素になるからです。
姿勢の良い不良はいません。
何事も、姿勢です。