私の一番嫌いな言葉は、“勝ち組、負け組”です。
ずいぶん昔に流行った言葉ですが、今でこそ言葉は廃れましたが、その意識は継続しているように感じます。
SNSを見ても、勝ち組の生活の様子を見せびらかすような映像ばかりです。
そのような世の中になってしまったのは、大変残念で仕方がありません。
そして、そのSNSの影響が会社でも出ているのです。
何でも勝ち負けを決めようとするのです。
会議に出席しても、マウントを取って論破するのに徹してしまうのです。
相手の言葉のミスを拾い、そこを責める。 勝ち誇ったような顔をする。
何の意味があるのだろうか? 同じ会社なのに。
私が長い間所属していた品質管理の部署は、特にその傾向があった。
他部署を動かして品質を上げていく部署であるため、依頼事項が多い。
依頼は聞いて当たり前的な、傲慢な人間が多かった。
その一方で、製造部はそんな傲慢で、自分では何もしない品質管理が大嫌いでした。
私は、両方の部署を経験した稀有の存在だったため、両方の悪い感情を見てきました。
ある日、品質管理の後輩が、大変憤慨して事務所に戻って来ました。
席に着くや否や、製造部の若手エンジニアの悪口を言っています。
「あんなにレベルの低い奴は居ない。 レベルが低すぎて、言っている内容を理解できないようだ。 最低な奴だ。」
その悪口を言われている若手は、私の元部下です。
悪口を言っているのも、直属ではないですが部下です。
話しを聞いていると、依頼した内容を断られたようです。
言う事を聞いて当たり前と普段思っているので、相当腹が立ったのでしょう。
相手も、「とにかく反対。やらない。」の一点張りだったようです。
どうでしょうか? このやり取り。
会社にとって、有益でしょうか?
マウントの取り合いをしただけです。
「俺の方が強い。」 「いや、俺の方が強い。」
こんな事を会社でやっているのです。
そもそも、交渉をするという気持ちがありません。
力でねじ伏せようとしていたのです。「有無を言わずにやれ」なのです。
話しの始まりから、喧嘩腰です。
交渉事は、相手に“敵”だと思われてはいけません。
話しの始め方が大切です。
媚びる必要はありません。
理路整然と、中性的に静かに、ゆっくりと話して行くことです。
相手にとって面倒くさい事をお願いする際でも、会社全体で良しとなる事と、それに貢献して欲しい旨を伝えなければなりません。
あくまで、「お願い」なのです。
相手の疑問、質問にも全て答えられなければなりません。
ですから、データーを準備しなければなりません。
説得材料をたくさん用意します。
そんな事もせず、力任せに敵対心を持って行って、言う事をきかせようとした心がいけません。
慢心、傲慢です。
そんなやり取りは、どこの会社でもありそうです。
一体、何をしに会社に来ていることやら。
同じ会社で、力の上下を決める必要があるでしょうか?
皆、同じ穴に住んでいるのです。
そんな社会と会社。 同じ構図です。
意味の無い争いをしたがります。
正しい交渉の仕方というのがあります。
以前にも、ブログに書きました。
私は、部下に教えていましたが、会社では教えてくれません。
こういった事も、正式に教えるべきではないでしょうか?
これから先、こういった事を大切にしていくべきではないでしょうか?
もう、争いの世界から抜け出しませんか?