イメージする力が大切であると、以前にも書きました。

人間は、過去に経験した失敗や嫌な思いが記憶されており、チャレンジをしようとするたびに思い出します。

常に、マイナスの思想が先に立つのです。

「また、失敗するかも知れない」、「どうせダメだ」などと、悪いイメージが出て来るのです。

これは、ごく当たり前のことで、脳がそのようなシステムで動いているからです。

 

多くの著書に、「プラス思考で行こう!」などと書かれていますが、なかなか切り替えは出来ません。

実は、そう思った時には、既にマイナス思考になっているそうです。💦

無意識にそうなるのであれば、意識的にイメージするしかありません。

 

脳の中では、2つの異なる意見が戦っています。

深層部ではプラスの事を考えていても、前頭葉で過去の記憶を思い出して「上手く行かなかったこともあった」と、少しブレーキをかけます。

このブレーキは、衝動買いを抑える場合などは良い方向で働きますが、ブレーキばかりかけていては前に進みません。

会社や職場で、新しいことにチャレンジする場合は、このブレーキが足かせになってしまいます。

そのブレーキが強めにかかる部下は、6割は居ると思た方が良いでしょう。

 

会社が苦境に立たされた時、全員がマイナスイメージを持っていたら、たちまち状態が悪化してしまいます。

例えば、スポーツにおいても、得点を連続して入れられた時、一気に士気が落ちて負けてしまうことがあるのと同じです。

 

このように、マイナスイメージは連鎖して、一気に「できない」ムードを作り上げます。

では、どうしたら良いでしょうか?

 

トヨタがやっている内容をご紹介します。

 

1.出口を早めにアナウンスする

トヨタの現場では、終業の2時間前には「本日の残業時間」をアナウンスします。

トヨタでは、失敗をした時や自信がない作業があった時は、躊躇することなくヒモを引いてラインを止めます。

それが積み重なると、稼働時間が少なくなるのです。

そうした時は、残業をせざるを得ません。 つくる台数が決まっているからです。

その残業時間のアナウンスは、直前に聞くとガックリくるものです。

「もう終わる」と思っていたら、「今日は残業1時間です」と聞くと、ガックリきますよね。

だから、早めにアナウンスするのです。

すると、残りの作業時間が明確になるので、そこまで頑張ろうとします。

これは、その時間になれば解放されることが具体的にイメージできるからです。

良いイメージを付けることが出来るのです。

時間だけではなく、「目標まであとどれくらい」というのが常に表示されます。

こういう表示は大切なのです。

 

2.何回失敗しても、最後に必ず成功させる

エジソンの話しをします。

電球を発明した時、すぐフィラメントが切れてしまいました。

すでに3,000種類を試して失敗していたで、諦めるように周囲の人が促しました。

しかし、彼は諦めませんでした。

彼の思考は、「(3,000種も試したのだから)その内見つかるだろう」でした。

天才と呼ばれている偉人は、常に未来から現在を見ています。

 

100回失敗しても、101回目に成功すれば良いのです。

そういう考えで、トヨタの上司は部下を育成しています。

部下が何度も失敗しても、上司は必ず最後に成功させます。

最初から成功する方法を教えません。

部下達が、自ら発見するまでサポートをします。

そういう事を繰り返していると、成功体験しか残りません。

すると、窮地に立たされても「大丈夫に決まっている」、「成功するのが当たり前」とプラス思考しか思い浮かばなくなるのです。

これは、根拠もなく自信過剰になっているのではありません。

過去何度失敗しても、最後は成功したという実体験が多く積み重なっているので、「今度も大丈夫に決まっている」という考えになるのです。

「大丈夫かなぁ」という気持ちを、無理にプラス思考にしているのではないのです。

 

リーマンショックの時に、ラインが半年止まりました。(工場による差はあります)

発注が無いので、造ることが出来ないのです。

その時、会社のトップから「利益5,000億円」という目標が提示されました。

世間の人達からは、「絶対に無理」と言われました。

ところがトヨタの社員だけは、「大丈夫。出来る」と思ったのです。

私もそうでした。

そして、目標以上の利益が出たのです。

成功しかイメージできなかったのです。

 

永い間、上司達から成功イメージをつけさせられ、そして自分も部下達にそのようにしてきました。

大事なのは、苦境に立たされても、成功をイメージできることです。

上司は、成功請負人なのです。

 

会社だけでなく、皆さん自身が苦境に立っているのであれば、是非 成功したイメージを具体的に妄想して下さい。

「成功したい」と願うのではなく、「成功した自分」を具体的に妄想するのです。

脳というのは、そういった妄想が、過去の記憶と入れ替えるそうです。

悲観的な考えが無くなり、目をキラキラさせて「大丈夫。うまく行くに決まっている」と思うようになり、その姿を見て周囲も協力してくれるのです。

あなたを好きになった人達が、あなたへツキを運んで来るのです。