改善が思ったように進まない。 改善効果が出ない。
期待していた改善と違う。
などの相談を受けます。
よくよく話しを聞いてみると、「何をしたらいいか、わからない」というのが本音のようです。
現場の改善は、まずはプロセスを可視化します。
作業内容は見ていれば分かるのですが、詳細に「どこがムダか?」を探す場合は、動きを紙面に落とし、じっくりと検討します。
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4歩あるき(2秒)
指示された部品番号と棚に記載している番号と実際の部品番号を照合し部品を取り出し(4秒)
6歩あるいて取り付け場所に行き(3秒)
部品をコネクタに接続して(5秒)
4歩あるいて定位置に戻る(2秒)
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実際には表とフローチャートで可視化します。
勿論、作業観察をしている中で改善点を見出すこともします。
例えば、「部品を取りに行く時に、後戻りして取りに行く部品があるな。 部品の置き場を変更すれば、後戻りしなくても良いのでは?」と、観察していて気付くこともあります。
どのくらい観察するのかというと、2時間くらい観察することが多いです。
観察の他に紙面で可視化すれば、「歩いている時間が合計で12秒もあるけど、半分に減らせないかな?」など、全体を見渡して気付く点が出て来ます。
また、多くの人数で検討する場合も、紙面を見ながらワイワイ意見を言い合うことが出来ます。
この時に、要素作業に番号を付けておけば、「12番の仕事は13番とくっつければ、無くすことができるのではないか?」など、どのプロセスの事を言っているのかが分かります。
これが、現場の作業観察時に検討している場合は、「さっきのあの動作は、次の動作とくっつけられるのでは?」という表現になり、「さっきって、いつ?」という具合になり、作業を特定するのが無難しいのです。
言葉だけで伝えるのは難しく、仕事を教える場合にも紙面に書いたもので説明して、実際にやって見せることをします。(トヨタの仕事の教え方)
例えば、上図のように△、〇、□が書かれた紙を、言葉だけで同じ図を書いてもらうとします。
相手は、聞いた言葉だけで、A4の紙に図を書いていきます。
このようなゲームを研修の中でやるのですが、同じ図が書ける人は数人です。
もちろん、説明者によって正解者の人数は変わります。
人によって伝わり方が違うというのは、問題です。
同じ事を教えたつもりでも、十分に理解した人と、勘違いして覚えた人も居るからです。
ですから、仕事の手順をフローチャートで紙面に落とし、共通認識の上で議論をすることが大切なのです。
どの部分に時間を要しているのか?(ネック工程)も解り易いし、ダブリ仕事や抜け仕事も発見しやすいのです。
この作業をしないまま、現場観察だけで改善をしようとすると、以前にも書きましたレイアウト変更だけを行って、改善した気になるのです。
レイアウト変更は気を付けないと、作業時間が逆に長くなってしまうこともあります。
目を付けた部品は近くになったけど、残りの7割の部品が遠くなった......等の事例も多くあります。
改善効果があったか、なかったかの判断も、トータル時間で判断しなければなりません。
レイアウト変更をして気分一新! となったかも知れませんが、作業時間が長くなっては意味が無いのです。
改善をする時は、まず現状把握!
仕事のプロセスを可視化してみましょう。
それから、何をすべきか? を検討しましょう。