職業柄、どうしてもこういった対策の内容について気になっている次第です。

昨日、国土交通省から当該事故の再発防止に向けた当面の対策の発表がありました。

 

1.No.1、No.2などの離陸待ち機への用語を使用禁止。(滑走路使用順番と誤認する可能性がある)

2.レーダーセンサー検知モニターを、専任で注視する人員を1名追加。

3.目視確認を徹底させる。

4.管制官指示内容を、航空機側で復唱させることを徹底。

 

これ等は、「再発防止に向けた対策」と言われていますので、再発防止ではありません。

ですが、「対策」としています。

私が考えるに、これ等は「応急処置」であり、「対策」とは呼び難い。

応急処置は、発生から30分~1時間以内に講じる対応です。

数日経って、これ等を「対策」と称して発表するのは、安全に対する意識が不十分と言わざるを得ません。

「マニュアル遵守徹底」、「人員追加による強化」というのは、トヨタでは「何もやっていない」と判断されます。

 

そもそも、滑走路進入検知システムのASDEは、12月27日から故障していたとの発表もありました。

誤報なのか?

モニターが“黄色点滅、機体色が赤表示”になるシステムがあるが、これを見逃したとのこと。

見逃したのか? それとも、作動していなかったので気付かなかったのか?

それとも、モニターは変化していたが、警報する音が故障で鳴らなかったのか?

または、警報音は元々鳴るようになっていなかったのか?

 

常識で考えると警報音が鳴りますよね。 鳴ったら見るモニターだったのでしょうね。(普段は見ない)

それが故障だった可能性が高い。

だから、取り敢えず注視する専任者を付けたのでしょう。

私の予想です。

 

そして、故障していたのは“分かっていた”のではないでしょうか?

通常は、その時点でモニター注視専任者をつけるでしょう。

それをしていなかった。 そこが、安全意識の低さです。 (勝手な想像ばかりですが)

 

鳴ったら見るモニターは、管制官の目の前には無かったのでは?とも想像します。

振り向いた所に設置されていて、通常の視界には入り難い位置だったのでは?と想像しています。

警報音が鳴らないのは、致命傷です。

折角、ヒューマンエラーを補う装置があっても、故障していては話しになりません。

 

色々と想像ばかりの話しをしておりますが、人に頼った旧式空港であると感じざるを得ません。

双眼鏡で外を見る管制官をTVで観ていると、なぜ最新式カメラの映像を管制室モニターで観ないのか?疑問に思うのです。

滑走路侵入機も、方位や高角が決まっているのだから、カメラ映像で映すことが出来るはずです。

双眼鏡は補助的に使用すればいい。

 

人を増やして強化して、話し言葉を色々と研究しても、そこにヒューマンエラーを完全に防止できる決定打はありません。

元管制官、元パイロットの話しをTVで聞いていても、これまでやって来た事に沿った改善案しか出てきません。

ここは、本当の意味での第三者を入れて対策を講じなければ、人に頼った安全管理から脱することは無理でしょう。

 

 

長くなりますが、もう一つ。

海保の副操縦士は、誤って滑走路に侵入した上官(主操縦士)に意見をしたのか?という点。

航空機事故の調査結果では、「副操縦士は気付いていたが、主操縦士に言えなかった」というのがあります。

私が昨年4月13日に書いた「上司に意見が言えるか?」で詳しく述べています。

日本は、比較的「上司に意見を言いやすい」国のようです。

そして、意見が明瞭に明確に伝わり易いか?という点においても、伝わり易い言語の国に分類されております。

では、今回はどうだったのでしょうか?

海上保安庁という上下関係の厳しい中で、その調査結果が当て嵌まるのでしょうか?

こういった点についても、原因を究明して対策をしなければなりません。

ボイスレコーダーがあれば、究明されることでしょう。

 

 

こういった事から学んだことを、我々の日頃の仕事の中でも活かすべきだと思っています。

ですから、他人事と思わず、「どうやったら自分達の仕事の仕方、考え方に、今回の事故から学んだことを活かせるのか?」と皆で考えるのが大切なのです。

皆さんも、考えてみて下さい。