事故の要因を調査した結果、事故というのは偶発的に発生しているように思えますが、ある程度は必然的に発生していることが分っています。
この図にあるように、不安全な場所で不安全な行動をとったことによって事故が発生しています。
不安全な行動という中に“近道行動”というのがあります。
これは、
「横断歩道や陸橋があるけど自分の立っている場所から100m離れているから、移動するのが面倒くさい。
車の往来も少ないから、注意して渡ってしまえ!」という近道を行こうとするものです。
これは、偶然乗り合わせたバスやタクシーが事故にあったものは含まず、あくまで運転をしている人と環境の関係です。
イライラしやすい人が、渋滞に巻き込まれるとどういう行動をするか。
注意力散漫な人が、工事現場へ行くと何が起こるか。
条件が揃うと、事故が起こり易くなるのです。
もちろん、100%の確率ではありません。 上記の図でもお解りのように、90%前後です。
これは、かなりの高確率です。
これは、事故の例ですが、事件についてはどうでしょうか?
私は、同じようなことが言えるのではないかと思うのです。
事件を起こしそうな人が、事件を起こしてしまいそうな環境に置かれると、事件が発生するのではないでしょうか?
犯罪を犯してしまった人の中には、「魔が差した」、「つい、でき心で」という根っからの悪人でない人もいるでしょう。
しかしこれ等の人も、全体の分布からすると悪人寄りの人だと言えます。
今、世間を騒がしている“闇バイト”。
これは、悪人が悪人寄りの人を使って犯罪を犯させているのです。
悪人寄りの人は、悪いお誘い、誘惑に少し傾くだけで悪人になってしまいます。
環境をつくり出すのも、人です。
人・人・人
人が大事なのです。
事故や事件も、防げます。
人がしっかりしていれば、防げるのです。
そこが揺らぐと、事故も事件も発生します。
トヨタの現場に掲げている旗には、
と、あります。
モノづくりは、ヒトづくり。
良い人が、良い考えで、良いモノをつくります。
製造業に限らず、皆さんの職場はどうですか?
今掲げている方針は、良い人を維持できますか?
過大なノルマ、売り上げ、納期短縮を前面に出して、ヒトが疲弊していないですか?
その時、ヒトは悪魔寄りになると思います。
あなただけでも、良い人になり、周りを導いてあげて下さい。