皆さんは、上司に対して自分の意見が言えますか?
これは、自分の考えを言うというより、上司がミスを犯したときに、それが指摘できますか?といった場合です。
「それ、間違えていませんか?」
「それ、ルール違反になりませんか?」
なかなか、難しいですね。 言い方に気を付けないとなりませんね。
指摘のレベルは、6段階あるそうです。 厳しく指摘するのと、やんわりと「もしかしたら、厄介な事になるやも知れませんねぇ~」みたいな独り言のような指摘。
この、“上司に指摘ができるか?”という問題は、安全第一の職場にとっては非常に重要な事です。
例えば、飛行機の運行。 機長と副操縦士との関係は、まさに上司と部下のようなものです。
機長が判断ミスした時に、副操縦士はそれを指摘できるか否かは、飛行機の墜落事故につながるような重要な課題のようです。
現に、航空機墜落事故の原因分析を行っている学者の集めたデータによると、墜落事故の44%が機長と副操縦士の初顔合わせで、さらに、主従関係の厳しいお国柄のため、機長に間違いを指摘できなかったという事実があります。
主従関係に厳しいお国柄というのはあります。
過去にIBMが調査したホフステッド指数というものがあります。
様々な国の文化(国民性)を定量的に測定し、指数化しようとし、米IBMの世界40カ国11万人の従業員に行動様式と価値観に関するアンケート調査を行ったものです。(1980年)
■上下関係の強さ(Power distance index)
上司に自分の意見を言えるか?の指標になり得ます。
上下関係厳しい 差小さい
■個人主義か集団主義か?(Individualism)
個人主義 集団主義
個人主義1位のアメリカは、典型的です。
■不確実性の回避度合い(Uncertainty avoidance index)
確実 不確実
曖昧な物言いをしない度合いです。
日本は、曖昧な表現はしない部類にあります。
注意したいのは、この日本というのは、あくまでも外資系企業であるIBMに勤める日本人のアンケート結果ですので、多少の偏りはあります。
目の前に危険が迫ってこようとしている時、明らかに上司が誤った判断をした時、曖昧な言葉を使わず明確に指摘できる国柄と、言えない国柄があるのは事実のようです。
では、そのような国柄の場合、重大な事故を発生させないように上司と部下のコミュニケーションを改善する方法とは?
実際に、航空機墜落事故が連続していた会社の事例によると、
■教育教官(責任者)を、他国の人にした。
■教育教材全てを、英語にして、話す言葉も英語のみにした。
■実習先を他国のエアラインにして、数年間は欧米人と一緒に働かせた。
要は、自国の文化を全て変えさせたということです。
そうしないと、改善できなかったのです。
いずれにせよ、良い方向に進むのであれば、上司に対しても誤りを指摘するのが良いと思います。
ただし、言い方には注意が必要です。
良くできた部下は、その言い方も優秀です。
明確に指摘はするものの、不快にさせない。
とっさには、そのような優秀な指摘言葉は出ません。
日頃から、シミュレーションしておくのが賢明です。
優秀な人は、必ずシミュレーションしているものです。
あなたも、上司に誤りを気付かせる優秀な部下になってみて下さい。