先日のセミナーで、参加者から以下の質問がありました。

 

「離職率が非常に高くて困っています。トヨタの離職率は、どのくらいですか?」

 

私の働いていた工場での離職率は、私の知っている限りでは“ほぼゼロ”でした。

但し、正規従業員のケースです。

ネットで調査すると、離職率3.8%(20人/529人)だそうです。

それ程高くないのではないでしょうか?

 

すると、「どうして辞めないのですか?」と次の質問。

ん-、悪魔の証明に近い質問だなぁ。

辞めていない人に、辞めない理由を聞いたことが無いので、答えることが出来ない。

唯一答えるとしたら、“辞める理由が無いから”でしょうか?

 

どうも、納得のいかない顔をしています。

「トヨタは、給与がいいからでしょ? うちは、トヨタさんみたいな給与を出せませんからね。 そりゃ、辞めるだろうなぁ。」と。

全く、間違った思考方法です。 何を真似したいのか? 給与の真似ですか?

辞める理由を無くす事を真似て欲しいのに、辞めた理由を調査していないのです。

自社を辞める理由を知らずに、他社の違った観点を真似しようとする。

まずは、何故辞めるのか調査すべきで、それを知らずして対策はできません。

セミナーをしていてガックリくるのは、こういった思考回路で聞かれていることです。

トヨタを真似しようと思っても出来ない。それは、真似をする所が違うから。

勝手に決めつけて、そして諦める。 このパターンがほとんどです。

トヨタの具体的にやっている事を一旦抽象化して、自社でやるならばどうするかを考え、具体的な方法を考える。

具体的事例→抽象化→具体的実施案

この過程をやらないので、早期に諦めてしまうのです。

 

ただ、対策が難しい辞める理由もあります。

例えば、トヨタに於いても期間従業員(3か月毎更新)の離職率は40%以上とも言われています。 理由は、“きつい”です。 体力的なものです。

昨日まで農業をやられていた方が多く、トヨタでボルトを締める作業をやったり、昼勤・夜勤が1週間毎に入れ替わる生活が辛いという理由が多いのです。

このように、離職理由が解っていても、どうにもならない事もあります。

作業は、日々の改善活動で楽になってきていますが、それでも自動車組付け作業は、体力を消耗します。 昼勤・夜勤の2交代を無くすことも出来ません。

対策が難しいのです。

 

ですが、私のいた工場で実施した対策が一つあります。

豪華なお弁当を1ヶ月に一度支給します。

そして、期間工の皆さんと上司とが一緒になって昼食を取ります。

様々な理由があってトヨタへ期間工として応募して働いてもらって、色々なご苦労もあることでしょう。 慣れないことでしょう。 辛いでしょう。

でも、作業には慣れて来ますよ。

そういう気持ちで励まします。

すると、定着率が上昇したのです。

 

声を掛けて労う。

 

それだけでも、離職を思いとどまる人達が居ます。

こういった対策もあります。

 

ただ、先にも言いましたが、自社を離職する理由を調査もせずに、単にトヨタの真似をしてお弁当を支給するのは、間違っていますよ。

 

具体的事例→抽象化→自社分析→具体的実施

 

このプロセスを大事にして下さい。