今日は、コスト意識についてお話しをします。
トヨタでは、末端の社員までコスト意識については徹底的に教育されます。
集合教育で徹底しているのではなく、日頃からコストについては厳しく精査し、全社員が意識をしております。
これは、社風と言って良いと思います。
では何故、コストを意識しないとならないのでしょうか?
これは簡単なことで、商品を安くお客様へ提供するためです。
製造業においては、かかるコストが商品の価格に反映されます。 製造業に限らず、サービス業や他の業界でも同じだと思います。 たとえ、事務員の使う文房具や紙についても、大量に消費すれば商品の価格にも影響します。
だから、現場の人間だけではなく、事務に携わる従業員から営業まで、全社員がコスト意識をもって仕事をしなければならないのです。
トヨタでは特に、トヨタ生産方式を学んでいますので、単純な動作一つとっても、それに何秒かけるべきかを判断し、それを足していきます。 一人当たりが車一台の作業に何秒かけるのかを厳密に計算します。
無駄を省いた動作をすれば、その時間内に作業が終わります。 無駄な動きが多いと、時間内に終わらないので、ヒモを引っ張ってラインを停止させます。
作業者は、ラインを停止させないように、無駄な動作をしない作業訓練をするのです。
この何秒かけるべきか?が決まると、作業者はそれより速くても遅くてもいけません。 その秒数ピッタリに作業するのが理想なのです。 そのスピードは、盆踊りをするようなスピードなのです。 テンポ良く、慌てず、確実に作業を完了させる時間を取って、その時間通りに作業ができるように訓練をします。
製造現場以外にも、作業毎に「どのくらい時間をかけるのが理想か?」というのを意識しています。
資料づくりにしても、パワポの作成でアニメーションに凝り過ぎて時間を費やすような事を是とはしません。
凝った資料は必要なく、必要な事は漏らさず、完結に分かりやすい資料が求められますので、あらかじめ資料作成理想時間というものがあります。 それは定時時間内に終わるように設定されますので、その時間内に出来なかった場合は、残業になるというわけです。 勿論、残業をする許可は上司に求めなければなりません。
このように、全ての仕事において、作業毎の標準時間というのを意識することが、作業コストの意識を持つということです。 皆さんは、意識していますか?
その時間内で出来ない時は、能力が足りないのです。 努力をする必要があるのです。
仕事が早い人、遅い人が居ますが、早い人に合わせるのではないのです。 標準的な時間に近づけるということです。
そこまで意識して仕事を設定していますか?
会社が利益を出さなければ、給料はもらえません。
儲け主義に走る会社もありますが、コストを意識しない従業員が居ることも問題です。
どのくらいの利益が出て、必要な経費はどれくらいかは試算できます。
そしたら、何人で働くのが適切なのかも出ます。
少ない人数で働くのが良いのでしょうが、少な過ぎると儲け主義になり、サービス残業ばかりのブラック企業になります。
逆に、コストを意識せずに無駄を放置し、従業員を多く雇えば、一人当たりの給料も少なくなるでしょう。
分け前が少なくなるのは当然です。
企業も、家庭と同じです。 収入内の生活をしなければ破綻します。 将来に必要なお金も残しながら、生活をしなければならないのです。 家族全員が協力しなければ節約も出来ないでしょう。 家族全員が将来の夢、理想の生活を目指して努力しているのです。
長きに渡って多くの人から必要とされる企業であるために、目の前ばかりを見ていてはならないのです。
利益重視も損失無視も、どちらも問題なのです。
皆さんの普段の仕事、何時間でこなすのが標準ですか? それ以上かかっている人を教育(訓練)していますか? エクセルを教えるだけで、標準に近づくことは無いですか?
皆さんの職場は、何人で働くのが標準ですか? 仕事を細かく分担し過ぎて、従業員がどんどん増えていませんか?
コスト意識を持ちましょう。 生産効率を上げましょう。
最適時間、最適工数、最適人数
全員が意識しなければ、何も変わりません。