<シン(新)6S ― 職場をスッキリさせる考え方(清掃)>


 掃除と清掃をほとんど同じと考えている方や、清潔と清掃も同じと考えている方がおられます。
 キレイにすることには違いはないのですが、違いをしっかり理解していなければ、社内で徹底させることが出来ません。

 まず、掃除というのは、見えている埃、ゴミを掃いて取り除くことです。
 清掃は、見えないものまでも薬剤等を利用してキレイにすることです。

 カーペットのゴミだけを掃除機で吸い取るのが掃除。 洗剤を使用して汚れまで落とすレベルが清掃。
 その状態をキープできるようにしくみを作るのが清潔。

 これが、一般的な意味です。

 シン6Sの清掃では、確認する(点検する)、反省するとしています。

ゴミをほうきで掃く作業を、要素作業に分解してみます。
  ① まず、ゴミがありそうな所に移動します。
  ② ゴミがある事を見ます。
  ③ ほうきで掃きます。
  ④ ゴミが移動したか、確認します。
  ⑤ ゴミがなければ、横に移動します。
 この繰り返しです。
 ゴミが残っていれば、③に戻ります。

 残っていない事を確認しながら、徐々に移動しているはずです。

 こうやって、掃く作業というのは、やった事を確認しながら次に移動しているのです。
 これは、QCでいう“PDCA”と同じなのです。
Dでやった事を、Cでチェックする。確認しながら実施していくのです。

 時には、徹底的に清掃するために、薬剤を使って真っ白にする必要もあります。 ですから、皆さんのPDCAも、徹底的に改善しなければならない場合もあるのです。
 小さな改善を繰り返していても、限界が来る時があります。
 そういった場合は、思い切ってやり替える必要性もあるのです。

 トヨタの工場の場合、小さな改善は日々実施されていますが、年に3~4回、大きな改善をします。
 連休などの工場非稼働日に、工事を一気に実施します。 内部のレイアウトをガラッと変えます。 物の置き方、運び方を変更して効率を高めたり、新しい車両を製造するために、新しい工程を追加したりします。

 このように、掃除は毎日するけれども、漂白を年に数回するといった事をやっているのです。
 改善の効果を確認して効果が薄い場合は、大きな改善をするのです。

 「効果を確認する」というのが大切なのです。

 言い換えますと、「効果の無いことを毎日繰り返しても意味が無い」のです。

 皆さんの仕事に対しても同じ事が言えます。
  「この仕事、本当に必要なの?」
  「昔からやっている仕事だけれども、何の効果があるの?」
 効果の有無を確認せずに、闇雲に続けている仕事が無いですか?
 皆さんのアウトプットは、社内で有効に利用されていますか?
 時々、相手部署にも聞いてみて下さい。 今は、必要が無くなった資料かもしれませんよ。 誰も見ていない資料を作り続けていないですか?
 「清掃」することを、お勧めします。


 更に拡大させて考えてみましょう。

 皆さんの脳の中も「清掃」してみて下さい。
 日々の人間関係などで、取り切れないストレス。 寝たら忘れていた事も、最近は中々忘れられない。 挙句に、眠れなくなってきた。
 こうなって来たら、もう掃除では取り除けないものが蓄積しているのです。 漂白しないといけません。

 漂白の仕方は、人それぞれです。
 思い切って4日連続休暇を取って、旅行に行くのも清掃です。
 生活習慣を見直して、朝4時に起きて体操、ジョギングをし、定時で帰り、お風呂に浸かるのを日課にするのも良いでしょう。

 とにかく、「清掃」というのは、思い切って徹底的にやることです。

 同じ事を繰り返していると、本来の目的も忘れがちです。
 時々立ち止まり、「効果はあるか?」、「このままでいいのか?」などと点検をして下さい。 疑問を感じたら、軌道修正です。 それが「シン清掃」です。