YOさんは私の母です。 今年80歳になるかわいいおばあちゃんです
YOさんのわずかな異変に気づいたのは、約3年ぐらい前だった。 YOさんのしゃべり方と歩き方に違和感を感じたのが始まり。 その事象はしょっちゅうではないし、ずっと続くわけではなくて、おや?と思ってずっと気にして見ていると次に見たときにはいつも通りだったりするので、はっきりおかしいとは思わなかったし、本人に「今、○○してなかった?」と聞いても本人も認識してないので、違和感を感じつつもたまたまかなとやり過ごしていた。しかし、そのあれ?と思うことが徐々に徐々にだけど月を追うごとに間違いなく増えていた。
話し方
話ている途中で呂律が回らなくなるような、舌の動きが止まるような、そんな感じ。 最初にまず思ったのは、入れ歯が合わないのかなと思った。本人に聞いてみるともう10年以上同じものを使っていると言っていたので、すぐに歯医者に連れていって新しい入れ歯を作ってあげた。(この時にも歯医者さんでショッキングな事実が判明したけど、それはまた別の機会に・・・) 新しく入れ歯を作っても同じ事象は送るので、その都度「合ってないの?」と、本人にも確認してみるが、「え、別にあってるよ。だって、こないだ作ってもらったばかりだし。なんで?」「や、別に。確認しただけ。」といつもこんな感じ。入れ歯の安定剤を変えたりしてみたけど、変わらなかった。
歩き方
よく病院や施設等でもみかける、お年寄り特有の摺り足。 あれ?いつからこんな歩き方だったかな、と思うと、次の瞬間には普通に歩いたりもする。もちろん、本人も気づいていない。 週に1、2回は卓球教室行ったり、ゴスペルに行ったり、コンサートや展覧会など気になる催しがあれば積極的に行ったりと70歳過ぎても家にこもることなく、結構アクティブな方だと思っていたので、体力は衰えていないと思っていたけど、少しずつ筋力が落ちているのかな~、もう75歳過ぎだしな~くらいにしか思っていなかった。 でも、それらは初めは年齢的に仕方ないのかなと思っていたけど、頻度が増えるにつれて何か違和感を感じたので、もしかしたらと言う思いもあり、半年位して脳神経外科に連れていって、MRIの検査をしてもらった。 結果を見た医師から、提携している向かいのビルの認知症外来の受診を勧められた。幸いなことにその場から連絡してもらい、すぐに診てもらえることになった。
結果
海馬を含む脳の萎縮による認知症初期だった。 あぁ、やっぱりなと言う疑いが確定になった安堵の思いと、自分の親には認知症になってほしくなかったなと言う寂しい思いとで複雑な気持ちでいっぱいだった。 その当時のレベルは、今でいう要観察1に相当していた。 このまま何もなければ認知症は穏やかに進んでいくと言われる。進行速度は個人差があるから、この先、また今までと違うことや変化を感じたら、その都度ちゃんと受診をして、進行具合を確認してください、よく見ていてあげてくださいと言われる。 そして、念を押して言われたのは 「認知症は治すことも止めることもできない脳が萎縮していく病気です。」 ということ。 「ただ唯一、進行を遅らせることができる薬もありますが、まだもう少し様子を見ていいでしょう」という医師の言葉と本人が薬を飲むのは嫌だと言う気持ちを考慮して、経過をみて、もう少し進んでからにしようと言うことになった。 一緒に行った姉は、薬を使うのは進行が進んでからじゃ効果がなく遅いんだから、早期から始めた方がいいって言ってたけど。 この結果を一緒に住んでいる長兄にも伝えたが、お母さんのボケは昔からだから、今に始まったことじゃないって、さらに日常の母が過去にやった失敗話をさも得意気に話し、真剣に受け止めてはいないようだった。今回は今までのとはちょっと違うんだよと説明しても「はいはい、ま、一応気にしてみておくよ。」といつもの通り母も私も見下したような対応だったので、私ももう、それ以上何も言う気になれなかった。 私自身は、複雑な思いと共についに始まったんだなという事実を受け止めていたし、この先母のことは私が見るという覚悟はできていたが、一緒に住んでいないので、その都度適切なケアをしてあげられないというもどかしさでいっぱいだった。